最終更新日(update) 2019.10.01
平成30年 白岩敏秀 作品
鹿  沼 記念切手 午後の手紙
こふのとり 過 去 形 砂 丘
四月の雨 吹 く 風 大きな眼
手押しポンプ

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令和元年10月号に掲載

 手押しポンプ 青葉木菟手押しポンプの生きてをり 教室の二階に見えて枇杷熟るる レース編む窓辺に白き雲ほどき 海へ出て出水濁りの広がりぬ 団扇の手一番星を指しにけり 炎昼の口笛に犬戻しけり 月光の海月に影のある不思議 星祭る子の糸切歯よく切れて

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令和元年9月号に掲載

 六月の水に浮かせて豆腐切る 月光の降り来海芋咲きにけり 覗く子に跳ねてバケツの濁り鮒 生まれたる目高に今日の日射あり 星の夜の青さを残し明急ぐ 田植機の進む列車と同じ向き 田植終ふ浮き苗流れゆく日暮れ 鹿の子の海を見てゐる大きな眼

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令和元年8月号に掲載

 四月の雨 四月来る木々に愛語の飛び交ひて 芹を摘む水は過敏にすぐ濁る 花こぶし空仰ぐこと思ひ出づ ここだけの話に桃の咲いてをり 春祭足袋のほつれを縫うてをり 月明の風に敏くて藤の花 春惜しむ砂丘に砂を積み上げて 平成の終はる四月の雨降つて

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令和元年7月号に掲載

 四月の雨 四月来る木々に愛語の飛び交ひて 芹を摘む水は過敏にすぐ濁る 花こぶし空仰ぐこと思ひ出づ ここだけの話に桃の咲いてをり 春祭足袋のほつれを縫うてをり 月明の風に敏くて藤の花 春惜しむ砂丘に砂を積み上げて 平成の終はる四月の雨降つて

令和元年6月号抜粋の目次へ
令和元年6号に掲載

    
      砂 丘

耕して田を水平にして戻る

木の芽風鶏の羽毛の吹きこぼれ

摘草や橋でつながる隣町

野遊や子の口笛は湖へのぶ

雲雀鳴く砂丘の空の明るさに

春ともし鶴を織り出す機の音

波音に別れてゆきぬ遍路杖

飛び石にゆらぎのすこし雛送り

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令和元年5月号に掲載

     
     過 去 形

混沌の底の水餅つかみ出す

朝の日を湖上に広げ春立ちぬ

山焼や風が炎となり奔る

白魚の紙漉くごとく掬はるる

首の鈴鳴らして恋の猫となる

過去形の話ばかりの春炬燵

調教の馬のいななき水温む

子どもらの夢のぼりゆくしやぼん玉

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平成31年4号に掲載

    
      こふのとり

神鏡に映りてしんと鏡餅

朝刊のことんと軽くなる三日

出初式空を濡らして終はりけり

小寒や音たて破る菓子袋

こふのとり死す冬椿ひとつ咲き

参詣の玉砂利寒の音たつる

風花を追うて少女となりにけり

銅鐸を鳴らせば応へ寒の空

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平成31年1月号に掲載

     
     午後の手紙

返り花少年すでに変声期

電柱の影は日時計冬田打つ

湯豆腐の真昼の音に煮えてをり

短日や午後の手紙の濡れて着く

朝の湯に柚子の香りの残りをり

吊るさるる鮟鱇の目に見えしもの

初雪や鏡くもらす朝の息

寒鴉おのれ励ますごと啼けり

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平成31年2号に掲載

    
      記念切手

枯蟷螂見えざるものに鎌あぐる

蜜柑むきしあはせの香を広げけり

モナリザの縄文土偶冬ぬくし

芭蕉忌や記念切手を旅に買ふ

産土の森に風鳴る神の留守

切干のちぢみはじめの色となる

冬もみぢ怒涛は崖に音を捨つ

木枯や鳥は斜めに流されて

平成31年1月号抜粋の目次へ
平成31年1月号に掲載

     
     鹿  沼

深秋や祭のまちとなる鹿沼

ジャンプして少女のつかむ草の絮

温め酒鉄橋に鳴る汽車の笛

朝寒の声玄関を出てゆけり

はぐれ鹿耳振つて雨払ひけり

零余子落つ余熱冷めゆく登り窯

木の実独楽双子に違ひ現るる

新走り女杜氏の薄化粧

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