最終更新日(update) 2018.06.01
平成30年 白岩敏秀 作品
青き地球 和  紙 日の温み
海 光 る 魔 法 瓶 民  話

平成30年6月号抜粋の目次へ
平成30年6号に掲載

    
   民  話

山畑や老婆のために梅白し

虫出しの雷や因幡は雨となる

豆腐屋が団地を通る雛まつり

産み月の牛へ因幡の木の芽風

ふるさとの民話に拍手あたたかし

沈丁の香り乱して鶏走る

添へ竹の葉のひらひらと豆の花

墓石の濡れてゐるなり放哉忌

平成30年5月号抜粋の目次へ

     
     魔 法 瓶

くもりなき白さをもちて寒卵

静電気びびつと寒の明けにけり

立春や魔法よく効く魔法瓶

ひとつぶの星早春の城下町

後ろ手に風を握りて麦を踏む

グローブにバシッと直球下萌ゆる

半濁の米の磨ぎ汁建国日

啓蟄の大地を削り畝つくる

平成30年4月号抜粋の目次へ
平成30年4号に掲載

    
   海 光 る

餅を搗く音夕暮れの音となる

青空をこぼれて二羽の初雀

女正月シャンパンの栓とび上がる

寒析の路地に響きて路地に消ゆ

警策のひびくや寒の固まりぬ

寒林や遠きところに海光る

屈み込む少女のひとみ薄氷

梅の花万葉集に恋の歌

平成30年3月号抜粋の目次へ

     
     日の温み

大根洗ふ悲鳴のごとき水しぶき

枯菊を抱けばなほある日の温み

電柱の影伸びきつて日短し

湯豆腐や部屋の小窓に星映り

夕映えの明るき窓の柚子湯かな

少年の朝シャンをする冬休

宿題の終はらぬ夜の虎落笛

出勤の巫女の割りたる初氷

平成30年2月号抜粋の目次へ
平成29年12号に掲載

    
   和   紙

大根のすつと抜けたるよき日和

芭蕉忌の暮れゆく山を見てゐたり

小春日の手首に輪ゴム溜めてをり

綿虫はいつも日暮れの貌で飛ぶ

山茶花に日差しの低し峡の村

電柱の等間隔に時雨れけり

拝殿につがひの鳩来る神迎

あたたかき和紙の手触り笹子鳴く

平成30年1月号抜粋の目次へ
平成30年1月号に掲載

     
     青き地球

木犀に止めし靴音遠ざかる

身を折つて秋刀魚焼く火を育てをり

列なして青き地球を雁渡る

新米の音の入りゆく米袋

灯に映ゆる林檎の紅き怒り肩

秋草やもう木を挽かぬ製材所

木瓜の実やそくそくと日の暮れてゆく

行く秋の切り取線の鋸目かな

禁無断転載