最終更新日(update) 2017.10.01
平成28年 白岩敏秀 作品
地震のあと 冬 の 街 短 き 橋
紙ふぶき すこし斜め 風の砂丘
嬰 の 顔 ピラミッド 波   頭
汗しつつ

平成29年10月号抜粋の目次へ
平成29年10号に掲載

    
   汗しつつ

青梅雨や葦をぬひゆく水の音

汗しつつ大道芸を見て笑ふ

青田風入れて父親参観日

てのひらに鉄棒の錆夏休

百吊つて百の音売る風鈴屋

夕空へ泡立つごとし百日紅

蝉の木をゆさ振つてゐる見知らぬ子

眠り薬効いてくるころ青葉木菟

平成29年9月号抜粋の目次へ
平成28年9月号に掲載

     
     波  頭

どくだみの軒に日暮れの来てをりぬ

光るとは命継ぐこと恋蛍

夏の海うねりは音をもたず消ゆ

蟹の子の怒りの泡を吹きにけり

蛇行する静脈夏の点滴洩れ

看護婦に涼しく脈をとられをり

水足せば金魚逆立ちして沈む

紫陽花に真昼の遠き波頭

平成29年8月号抜粋の目次へ
平成29年8号に掲載

    
   風の砂丘

如月の水を吸ひゆく粗砥石

春浅し水槽に雑魚ひるがへり

三月の扉を開く面接日

春の闇鯉の跳ねたる水こだま

あたたかし村一番ののつぽの木

大山や楽湧くごとく山毛欅芽吹く

揚雲雀風の砂丘に晶子歌碑

バスの来て人拾ひゆく花の昼

平成29年7月号抜粋の目次へ
平成28年7月号に掲載

     
     すこし斜め

ドーナツの穴より覗く春隣

寒明くる漬物桶に水上がり

春浅しすこし斜めになる切手

春雪や金糸銀糸の加賀手毬

海苔を掻く岩場打ちたる波を踏み

心地よき思ひ違ひをして二月

春泥を跳び越して来る笑ひ声

啓蟄の朝を打ちゐる鳩時計

平成29年6月号抜粋の目次へ
平成29年6号に掲載

    
   風の砂丘

如月の水を吸ひゆく粗砥石

春浅し水槽に雑魚ひるがへり

三月の扉を開く面接日

春の闇鯉の跳ねたる水こだま

あたたかし村一番ののつぽの木

大山や楽湧くごとく山毛欅芽吹く

揚雲雀風の砂丘に晶子歌碑

バスの来て人拾ひゆく花の昼

平成29年5月号抜粋の目次へ
平成28年5月号に掲載

     
     すこし斜め

ドーナツの穴より覗く春隣

寒明くる漬物桶に水上がり

春浅しすこし斜めになる切手

春雪や金糸銀糸の加賀手毬

海苔を掻く岩場打ちたる波を踏み

心地よき思ひ違ひをして二月

春泥を跳び越して来る笑ひ声

啓蟄の朝を打ちゐる鳩時計

平成29年4月号抜粋の目次へ
平成29年4号に掲載

    
   紙ふぶき

噴煙をあげつつ山の眠りけり

寒林を抜けて真向ふ日本海

冬木の芽耳たぶほどの固さもつ

なに見ても少女ころころ初笑ひ

初雀来る紙ふぶき降るやうに

七種を洗ふきれいに水使ひ

日脚伸ぶレール混み合ふ貨物基地

息かかるまで近づきぬ寒牡丹

平成29年3月号抜粋の目次へ
平成28年3月号に掲載

     
     短 き 橋

風呂敷は瓶のかたちに十二月

十二月八日少年鳩飛ばす

冬枯を画布に納めて戻りけり

湯豆腐を囲みて刻を分ち合ふ

鳶一羽暮天に放ち山眠る

笹鳴きに短き橋を渡りけり

自動ドア出でて星空クリスマス

新巻の塩こぼしつつ運ばるる

平成29年2月号抜粋の目次へ
平成29年2号に掲載

    
   冬 の 街

パイプ椅子百を並べて文化の日

立冬や白湯の甘さを噛みしむる

天平の奈良の時雨に遇ひにけり

奈良の鹿初冬の影となり走る

夕暮れの翅の安息花八手

灯台の光の届く返り花

冬の街地震の過ぎたる?熱し

勝男木に鳩の来てゐる神迎

平成29年1月号抜粋の目次へ
平成28年1月号に掲載

     
     地震のあと

勾玉のかたちに鴨の渡りゆく

秋晴へ庭師梯子を伸ばしけり

星月夜賢治の汽笛遠く聞く

風紋を踏めば砂丘に秋の声

新走り目の悦んでゐるをんな

ひよどりに山の日暮れとなりにけり

行く秋やパンにバターのよく伸びて

舌打ちのやうに鵙鳴く地震のあと

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