最終更新日(update) 2013.12.01
句会報(H25) 転載
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初生句会 平成25年1月号掲載
広島白魚火会温泉津温泉・石見銀山吟行 平成25年2月号掲載
花みづき句会 平成25年3月号掲載
松江千鳥句会 平成25年5月号掲載
あんず句会 多久市 平成25年6月号掲載
鹿沼と「いまたか句会」 平成25年8月号掲載
群馬白魚火会総会及び句会報 平成25年9月号掲載
白魚火東京句会 発足十か月 平成25年9月号掲載
群馬白魚火原町支部 平成25年9月号掲載
「松江白魚火」句会 平成25年12月号掲載

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平成25年1月号掲載 句会報
          初生句会
水島 光江

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 初生句会は十月の句会報が二九六号だから約二十五年続いている事になり、主宰の仁尾先生の地元で直々に指導を頂いております。
 句会は、毎月第四土曜日の十三時から約三時間じっくり時間が掛けられています。投句は五句で、投句控に十句から二十五句を求められます。句稿は二枚同じものを作る。一枚は先生の選句用、一枚は句会に廻す為のもの。先生は、予選句、本選句、特選句(総投句数の一割程)を採られるので句稿を二枚にしています。
 各自七句選で、披講は毎月順送りです。
 披講役に当った者は、読めない字を隣の人に教わったりして準備はするが、上手く読めるか胸がドキドキです。披講の後、先生の選が読み上げられますが、予選に重点を置いておられる様で、此処を、この様に直せば本線句レベルに良くなるとか、この句の発見は素晴しいが、表現がごちゃごちゃしているので、簡潔を心がける様に等の注意がある。
 又、難しい字にはフリガナが必要、読めないと誰も採ってくれない。どんな字にフリガナが必要かどうかは、心がけておれば追々に分かってくる、又、固有名詞は広辞苑の電子辞書にないのは駄目、これは全国区だから良い等繰り返し繰り返し注意を頂いて居ります。
 白魚火の全国大会には出来るだけ出るようにしていますが、大会で仁尾先生が選評される内容は、私どもが初生句会でお聞きしたものが多く、平常の例句会がレベルの高い句会である事に気付き、仁尾先生に教えて頂く事の有難さを痛感しています。句会長の福田勇さんが、細々した所に気を配ってくれて感謝しています。句会報が句会の翌日には配られるのは福田さんが直ぐにパソコンをしてくれるからです。句会を指導して下さる仁尾先生、福田さんにお礼を言いたいです。
 十月の一句抄
(兼題「神渡し「七五三」」)
荒星のちかちかとせる神の旅     仁尾 正文
玉入れの年の差忘れ運動会      油井やすゑ
神渡し過ぎたる空の青きかな     矢野智恵子
気に入りの徳利に挿す野紺菊     安澤 啓子
自家製の柚餅子を当てに酌めりけり  福田  勇
嶺かけて雲の流るる神渡し      早川 俊久
秋葉道に賽の河原や鬼胡桃      富田 育子
高枝鋏持て余す熟柿かな       川上 征夫
日の温み感じながらに稲を刈る    水島 光江
菊なます酔へば花笠音頭出す     間淵 うめ
即かず離れず男郎花をみなへし    松村 智美
立ち止るいたちと吾との間は五尺   坪井 幸子
短日の籬に凭せ竹箒         坂田 吉康
蕎麦の実の三角帽子山翳る      佐藤陸前子
大根の双葉に夜の通り雨       徳増眞由美
山菜を酒の肴に神渡し        越知 隆一
いにしへの木犀の花一の宮      松本 義久
参道に千枚漬の香が充ちて      中野 元子
熟したる柿より赤い夕日かな     吉原 紘子
神妙に玉砂利踏みて七五三      太田 義郎
霧晴れて穂高の山も墨絵かな     鈴木  寛


平成25年2月号掲載 句会報
広島白魚火会温泉津温泉・石見銀山吟行  
中山  仰

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 広島白魚火会恒例の年末吟行忘年会が十一月二十八日(水)二十九日(木)の両日に、温泉津温泉・石見銀山を吟行地として行われました。広島白魚火会は水曜句会、土曜句会のほかに天神通信俳句会、御薗宇句会、高屋句会をもっていて、それらから幅広く参加者がありました。さらに長く共に学んで来た角田和子さんは、お子様と住まわれるために出雲に引っ越されましたが、そこから駆けつけて久々の再会となりました。仲間たちは、彼女に出雲の句会のやり方などを興味深くたずねておられました。どこへ越されても、白魚火で繋がっている絆を感じます。総勢二十八名でした。それは中型バスの定員だったからです。ところがバス会社のやりくりがつかずに、同じ料金で、大型バスをあてがってくださいましたので、はじめから分かつていたら募集人員を広げられたのにというのが幹事の談でした。
 広島県と島根県は背中合わせになっており、わずか三時間で温泉津まで着いてしまいます。後一時間ほどで本部のある出雲に行けるのだと思うと、なぜか嬉しい思いを感じてしまいます。
 一日目は、焼き物の里で、バスを降りてから重層になっている登り窯を見学し、古刹や温泉津の町並みを見学しながら沖泊までゆっくりと降りて来て、そこからは宿の送迎バスで船を繋いだ鼻ぐり岩を見学し、妙好人浅原才一の菩提寺と生家などを見学しました。宿へ戻って昼食後いざ句会に入ります。句会の後は、外湯の元湯温泉と薬師温泉に銘銘浸かりに行きました。中には、二件はしごした温泉好きの方もいらっしゃいました。
 夜はいよいよ忘年会です。今年一年の憂さを晴らし、一年俳句を続けられたこと、健康をささえられた恵みを感謝して大いに盛り上がりました。一部は広島白魚火会恒例の全員の一分間スピーチです。昨年参加してくださった仁尾主宰からおほめの言葉をいただいたように、皆さん年々上手にまとめられお互いの近況なども伺いながら楽しい時をすごしました。二部はカラオケ大会です。藤尾千代子さんの日舞もなくてはならないものとなりました。最後は、舛岡美恵子さんの指導の下「瀬戸の花嫁」のフラダンスで締めました。来年の全国大会は京都ですから、比較的近いので、フラダンスで広島のまとまりを見せるようにと渡邉春枝選者からの檄が飛びました。
  小春日を才一の歌を読み歩く     千代子
  飯銅の口に冬日あまねしや      春 枝
  花石路やひらがなばかりの石碑読む  美恵子
  紅葉散る鼻ぐり岩の並びをり     幸 子
  手ずれ濃き才一の小槌冬うらら    敏 子
  風化せし墓碑ひろひ読む小春かな   伸 枝
  小六月鰻絵の竜の雲に乗り      恵 子
  冬めくや古道に並ぶ石仏       富美子
  湯の町の鼻ぐり岩や小春凪      恭 子
  大甕の数多転がる枯野かな      澄 恵
  窯跡の飯銅のかけら菊枯るる     弘 子
  膝ついて登り窯見る枇杷の花     啓 子
  焼き窯に登る一筋蔦紅葉        栄  
  舟だまり冬日を返す返り潮      スエコ
  ちんまりと才一の座像冬ぬくし    ひろみ
  二日目は世界遺産に指定されている石見銀山です。六十五名ほどおられるガイドさんの中から古沢さんという女性のガイドさんが案内してくださいました。とても好い方に出会って、よい吟行ができてラッキーでした。三時間の予定を少し越えたほど熱心に学び、また熱心な説明を受けました。これほど熱心なお客さんたちも珍しいと言ってくださいましたが、ガイドさんのお人柄もよく、俳句や俳句を読むことに興味を持たれたようです。〈普通「狂い花」としか知りませんでしたが、「返り花」とも言うんですね〉とメモされておられました。話し上手は聞き上手だと思わされた一こまです。
 二日目の吟行の高得点者に出口廣志、サツエ夫妻が期せずして選ばれました。ある意味で当然の結果かなと思います。毎年吟行のために下見をし、用意周到にプログラムを組んでくださっておられるからです。そのために、お金も時間も私たちの倍以上かけられているのです。お二人の俳句歴と素養に加えて、じっくりと写生が繰り返してなされるのですから、さらに深い良いものが生まれるのでしょう。
 出口ご夫妻にはみんなの共通の思いですが、毎回の吟行準備にあたり、細かいところまで、気を配ってくださり丁寧なご準備に頭の下がる思いです。今回もとても楽しく行って来ることができました。また広島白魚火会の俳句の仲間の皆様にも心から感謝しています。
  無縁墓あまた抱きて山眠る    サツエ
  身に入むや身幅の間歩に鑿の跡  廣 志
  採掘の悲話に聞き入る冬山路    稔  
  代官所の残る獄舎や雪蛍     暮 煙
  鼻ぐり岩道辺に石路の花咲けり  照 子
  天領の遺産抱へて山眠る     クニ子
  寒禽や凹みに水の要石      妙 子
  かんざしと下駄の出土や帰り花  和 子
  散り紅葉踏みて覗ける間歩の口   積  
  間歩跡の暗き深さや花八つ手   米 美
  坑道は身の丈身巾青木の実    二三子
  山茶花の清流へ散る白さかな   和 恵
  着ぶくれて銀山間歩の狭きかな   仰  
 来年の一泊吟行が楽しみです。
  良き句友に恵まれ、囲まれてまた新たな年に向かって臨めそうです。



平成25年3月号掲載 句会報
         花みづき句会
松本 光子

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 栃木白魚火会の中の女性だけの花みづき支部の会員は十四名ですが、住まいの関係や仕事の都合等で常時句会に出席できるのは十名ほどです。
 今回はお正月ということで青木華都子副主宰のお宅での新春句会です。玄関を入るとずらりと並んだ胡蝶蘭やシクラメン等の花に迎えられ、女性の句座にふさわしい華やかな雰囲気に包まれました。
 当地のお正月は好天に恵まれ、雪を冠した男体山を主峰とする日光連山や歌枕としても有名な筑波山が際やかな姿で恰好な句材を提供してくれます。
 今日は寒の入りですが暖房のきいた応接間で各自五句出句、十句選で始まりお正月らしい初筑波や男体山の句が沢山披露されました。そして披講に続き青木先生の丁寧な講評をいただきその後の合評では少人数ならではの忌憚のない意見が次々と出て非常に充実した句会となりました。また記念写真の後は青木先生からの金箔入りのカステラ等の食べ切れないほどの菓子やみかんをいただきながらしばらく歓談してとても楽しいひとときでした。
 当日の作品は次のとおりです。

  青木華都子副主宰詠
裏木戸を開けて立ち去る雪女郎
寒禽の鋭き声前後左右より
山の宿各部屋にある置き炬燵
綿虫の綿ふはふはと浮遊せり
初凪やさざ波きらりきらら寄す

  特選句
一滴の水まろびゐる筆始    阿部 晴江
正座して子等の頂くお年玉   阿部 晴江
鉛筆を削りすぎたる寒さかな  小川 惠子

  各自詠
境内のひと口嗽ぐ寒の水    阿部 晴江
正座して子等の頂くお年玉     〃  
初筑波向き改むる風見鶏    安納 久子
竹針の音こつこつと毛糸編む    〃  
鉛筆を削りすぎたる寒さかな  小川 惠子
越天楽聞いて日本のお正月     〃  
息白く手摺にすがる磴十段   小林 久子
冬の雨傘ひらきたる手のもつれ   〃  
徳川の御領に雪の化粧して   成田 幸子
大囲炉裏魚と芋とゆで野菜     〃  
霜柱五センチ強や朝の庭谷   田部シツイ
小寒や日光連山一望す       〃  
鳶一羽風に乗りゆく初筑波   松本 光子
臘梅や風吹き上ぐる一の宮     〃


平成25年5月号掲載 句会報
松江千鳥句会  
中山  仰

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 松江千鳥俳句会は田口一桜先生にご指導を頂き、平成十五年五月発足、田口一桜先生、澤弘深先生のご指導を仰ぎました。現在は福村ミサ子様、梶川裕子様、諸先輩のご指導のもと、毎月一回第四金曜日に公民館で句会を行っています。七句を持ち寄り、互選で十句と特選一句を当番制で披講し、各自の選んだ特選の句について捉え方、考えを披講し、その後、推敲・添削・ご指導をして頂き、有意義且つ緊張の時間を過ごします。
 私達の住む松江は水の都と言われ、また城下町の面影を濃く残す観光の町でもあり、宍道湖に沈む夕日、蜆舟、等々句材は沢山あります。見て、触れ、感じたままを、先入観を持たず心に残ることを素直に自分の言葉で・・・と田口先生が教えられたそうですが、私自身は思うように表現出来ないもどかしさを実感しながら諸先輩のご指導、ご助言を頂き、拙いながら俳句にいそしんでいます。また年二回、春と秋には吟行に出かけます。食事後、毎月の例会と同様選句と披講、推敲、添削、ご指導を頂きますがいつも以上に緊張するひと時です。未熟な自分に悪戦苦闘の日々ですが、例会の日は先輩のアドバイス、パワーを頂きながら、季語の事、詠みかた、表現方法、言葉の使い方等々のご指導をしていただく勉強の時間であり、感謝いっぱいの時間であり楽しい大切な時間です。
 日々研鑽を重ね、少しずつでも成長したいと願っています。
涅槃仏の髭まで撫づる女人かな   ミサ子
縦書より横書き多き受験絵馬    ミサ子
埴輪の目三角もある春愁      裕 子
朝寝する家のどこかに電子音    裕 子
くるぶしにまとはる風や野梅咲く  松 子
新しき魞を砦のごとく挿す     松 子
大根のその純白を供へあり     美和子
寒鯉の一所に身寄せ巨花なせる   美和子
春立つや普請の音の高きより    よう子
山繭の弛ぎなきままさみどりに   よう子
武家屋敷白梅仄と香を持てり    美智恵
畑を打つ兄の仕草の父に似て    美智恵
崎立ちほほ吹く風に春を知る    恵美子
峰高く般若の響き小雪舞う     恵美子



平成25年6月号掲載 句会報
        あんず句会 多久市
大石ひろ女

平成25年6月号へ 

 仁尾主宰より、小句会立ち上げのお勧めをいただいたが、多久市に余り馴染みのなかった私は、どうしたものかと躊躇していた。
 そこでまず、地元の句会「あざみ句会」に参加する事にした。しばらくして句友の方に、初心者向けの俳句会を開きたい旨を相談したところ、賛同して貰い自らも加入して、会員の紹介等の協力を得て、平成二十二年一月に小句会を作る事が出来た。
 当地多久市には、学問の神様とも言われる孔子様を祀った多久聖廟がある。
 孔子は、杏の木の下で弟子達に学問を教えていた。との謂れがあるところから、句会の名前を「あんず句会」とした。
 当初は五名で発足した。途中病気で退く人も有ったりしたが、現在八名である。
 毎月一回、第四水曜日の午後に市の中央公民館を借りて開催している。五句持参、五句選を行う。選に入る前に、分からない漢字や言葉の質問タイムを設けている。この事で句の内容をより理解し、鑑賞を深めることに繋っていく様である。
 互選の後は一句一句について、文法上の誤りや切れ字の用い方、季語の重り等の誤りがないか等の意見を出し合う。この時間になると句会の緊張が取れ、時には横道に逸れて俳句とは全く関わりのない話で爆笑したりして楽しい俳句会である。
 白魚火誌でも、三句欄にほぼ定着し、百花寸評や白魚火月評にも時々取り上げて貰い、お互いに良き刺激を与え合っているようだ。
 昨年九月には、佐賀白魚火の合同句会にも初めて参加し、皆んなとの親睦を深める事が出来た。これからは、出句数を少し増やし、俳句を楽しみながら、句会の向上と融和の為に努力して行きたいと思う。

  各自近詠句 二月
日脚伸ぶ猫の歩きし煉瓦塀     惇 子
梅咲いて慶事の多きカレンダー   清 子
やはらかな春の日射しに身をほぐす 浩 二
一山に槌音響き冴返る       明 美
種薯を四つに割つて春隣      のぼる
冴返る桟橋鉄の音立てて      鈴 子
紅の色すこし濃く引く桃の花     和 
浅春や自分探しの汽車に乗る    ひろ女


平成25年8月号掲載 句会報
 鹿沼と「いまたか句会」  
高内 尚子

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 鹿沼は、栃木県の中部に位置し、県庁所在地の宇都宮市と、世界遺産を頂く日光市がお隣という恵まれた環境の中に安住している。
 そんな中、際立った名物がないという意見もあるが確かに世界遺産という輝かしいパフォーマンスの前には成す術もないのも否めない。
 しかしながら、身近にある自然と、大きな災害に見舞われないという有り難い恩恵も忘れてはならない。
 二年前の震災、原発事故の恐ろしさ、悲しさは幼い子供の脳裏にも深く刻まれたことと思う。あたり前に有る木や花が、同じ場所で同じ形、同じ色を毎年見せてくれることが、どれ程幸せなことなのか強く感じさせられた。自然が優しい顔を見せてくれればこそ、俳句の季語も歩き出すことが出来る。季語に添って俳句を考えているうちに自ずと感謝の気持ちが生れてくる。
 これからの子供達、若者達に一番感じてほしいことだと思う。
 鹿沼は平和が故に忘れがちになりそうな感謝の気持ちと、感動できる感性を呼び覚ましてほしいと願っている。その為にも、子供の頃から俳句を生活の中の「すぐ傍」に置いておくという習慣をつけてみてはどうだろうか。
 感謝と感動から、決して「いじめ」は生まれないと私は信じている。

柿の花陣屋に残る撥釣瓶       星田 一草
神杉の秀に灯りたる梅雨の星     宇賀神尚雄
休み窯踏まれてゐたり蟻地獄     柴山 要作
城といふ崩れゆく端の竹煮草     中村 國司
中天に薄き日の暈麦の秋       鷹羽 克子
花うつ木どこもくまなく日のそそぐ  田原 桂子
父の日や家紋の袱紗ゆづられし    齋藤  都
大利根の六月の水黒光り       大野 静枝
穏やかな朝の植田や一青忌      星  揚子
さつぱりと拭く六月の畳かな     髙島 文江
教室は正に青春更衣         本倉 裕子
くるくると日傘まはして橋渡る    西山 弓子
六月や届く封書の滲み跡       高橋 裕子
六月は転機の月と占い師       島  澄江
揚花火矢の字に締し博田帯      渡辺 加代
父の日を祝へぬ児らの多きかな    石岡ヒロ子
祭日のなき六月の過ぎにけり     高内 尚子




平成25年9月号掲載 句会報
     群馬白魚火会総会及び句会報
群馬白魚火会 篠原 庄治

平成25年9月号へ 

 風薫る五月、会員多数の出席を得て平成二十五年度定期総会と句会を実施しました。
 平成二十四年度の群馬白魚火会は大きな成果を挙げる事が出来たと思います。
 同人賞、みづうみ各賞、鳥雲集同人と永年の研鑽を積み重ねた結果大きく花開いた事、会員一同心より喜びを味合った年でした。この喜びを忘れる事無く二十五年度以降も研鑽を続けるべく総会に於いて年間行事を主とし諸々の事を鋭意検討しました。
 先ず、ややもすると閉鎖的になりがちな各句会間の交流を盛んにする為に、会長を始めとし会の幹部が各会に出向き新会員の開拓、作句指導を通じて会員同志の和を築くこと。
 次に、吟行会、各種句会大会、等々企画立案を行うと共に己の句会の中に閉じ篭らずにあらゆる機会を見つけ、地域社会に溶け込んでゆくよう心がけ俳句の普及に力を入れる事とする。
 尚、新会員の獲得は自分達の会は元より白魚火社の発展に寄与せる上でも最も重要な事と認識のもと群馬白魚火会の活動重点事項として行く事とします。
 白魚火社本部におかれましては、今後とも群馬白魚火会に対して尚一層のご指導ご支援を戴きますと共に、参考となる情報提供、又ご連絡等々よろしくお願いを申しあげます。

 続いて行いました句会は各自が会心の作句を出し合い美景獲得に期待しました。
 田村萠尖先生より講評に先立ちお話があり俳句は先ず楽しもうではないか其の上で感動を読むこと季語に思いを託す(どっきり)(すっきり)(はっきり)素直に単純に思い切って表現する等ユーモアを交え解りやすく有意義なお話をして戴き盛会裡に終了しました。

 田村萠尖先生 選
特選
母の日やいつものやうに母のゐて    百合子
特選
透き通る空を吸い込む青嶺かな     幸 尖
特選
白藤の白きひかりを眩しめり      妙 子

赤飯の大きおむすびみどりの日     比呂子
雷鳴は冥土の峨堂名乗りかも       宏 
荒畑に踊り子草の踊りけり       妙 子
貰はれり甘え上手な子猫より      比呂子
薫風や畦に開きし膝弁当        庄 治
薔薇のアーチ抜け来し人ら香をこぼす  都亦絵
うぐひすや背戸まで引ける山の水    百合子



平成25年9月号掲載 句会報
白魚火東京句会 発足十か月  
柏市 荻野 晃正

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 平成二十四年九月に新たに発足した「白魚火東京句会」は、当初七名でしたが、現在、寺澤朝子さん指導の下に、全員九名で月一回の句会を、以前と同じ文京区男女平等センターにて、開いております。この会場は、東京の下町、文京区本郷真砂町にあり、近くに東京大学の赤門を始め、その昔文人たち(石川啄木・樋口一葉・二葉亭四迷等々)が多く住んでいた本郷の町にあります。
 会場は東京のど真中ですが、会員は、東京の端から、千葉県・埼玉県・神奈川県・茨城県等々と、遠距離の人達の集まりとなってます。それでも、発足十か月が過ぎ、ようやく会員の名前と顔が、一致するようになり、寺澤朝子さんの指導の下に、七句の雑詠投句選句、披講、と会員全員の遠慮なき合評と、句会本来の句座を、探しつつ、それぞれの一句に、各自が日夜研鑚し、楽しい句会となっています。
 また今月は檜林さんが特別に参加してくださり、どなたでも、自由に参加してくださることを、歓迎いたしております。
 さて、私事ながら、多くの人が時間と労力を句作に励んでおられますが、一句一句にどのような「思い」を込めているのであろうか?…そして又、「俳句とは?…」一体何なのだろうか?…
 そんな答えを探しながら、句座の中に、追い求めている昨今である。

明昜や上げ潮にのるタグボート   寺澤 朝子
特別参加
海草のサラダの匂ふ夕薄暑     檜林 弘一
雷の音追ひかけて雨走る      河島 美苑
日の本の早苗田かくも美しき    加藤 德伝
紫陽花や昏れゆく駅の長停車    高橋しき子
ポップコーンの如く盆梅花もてる  富岡のり子
生え初めし乳歯輝く庭若葉     萩原 一志
菜種梅雨午後の時間の長かりき   浜野まや子
一枝に千歳の重み滝桜       増田 尚三
かはたれの何に急かるる蚊食鳥   荻野 晃正




平成25年9月号掲載 句会報
        群馬白魚火原町支部
清水 春代

平成25年9月号へ 

 平成八年十二月故あって十二年間続いた若桐会が解散となり、翌年平成九年に御指導して下さった吾亦紅先生が御逝去、今一度会を纏めるよう先生から勧められておりましたので、元若桐会で共に学んだ人達に声をかけましたら心良く承諾、若桐会改め原町支部として発足。会場は私が運転出来ないので吾家にして頂き再開しました。まだお元気だった笛木我堂先生に参加をお願いし御指導を迎ぎましたが十九年七月に鬼籍に入り、ご高齢の会員の方々も亡くなられたり、退会されたりで会員の方々もほとんど入れ替り現在に致っております。句会終了後はお茶の時間となり、出句の講評し合ったり、推敲してみたりとなごやかな時間を過します。
 七年位前に東京在住の須田英子さんが生れ故郷である東吾妻町に於て脳梗塞で倒れ、原町の赤十字病院に入院治療され、退院後しばらくリハビリに通院、その間、原町支部に入会、誌友となりました。一年程で体調も良好となり、東京のご自宅に戻りその後は毎月欠席投句として送って下さいます。句会の結果はその夜の内に書き写し返送しております。多少の後遺症もあり高齢でもあるのに、お手紙、ときには電話等で励まし合っておりますが、何事にも熱意のあることに、私の方が元気づけられております。

 六月句会より
雨蛙最初ケロから大合唱     富沢 幸子
夏木立白玉砂利の神の道     高橋 光子
翁にも記憶とどめぬ旱かな    神保紀和子
カヌー漕ぐ湖面を渡る風涼し   高橋 見城
雲流る行方定めて早苗植ゑ    須田 英子
カラフルな服の行列山開     清水 孝を
梅雨の川一つ気に越ゆる渡し舟  宮崎鳳仙花
岳樺多き峠や青嵐        清水 春代



平成25年12月号掲載 句会報
「松江白魚火」句会  
安達美和子

平成25年12月号へ 

 九月十七日(火)この日は久々の爽やか日和。いよいよ秋の到来。松江白魚火の例会の日である。全員出席。夏の疲れが吹っ飛んだように活力が漲っていた。
 かつて荒木古川先生がおられる頃は会員は三十数名いたのだが、加齢とともに現在は十三名、毎月第三火曜日に松江城にほど近い「サンラポーむらくも」で開かれる。会長は寺本喜徳氏、選者は会長と富田郁子氏。寺本氏は主として文法の指導、学生時代に返ったような眼で真剣に勉強させてもらっている。富田氏は俳句に向かう姿勢について、最近強調されているのが見た通りの写生、つまり報告文になってはならない。吟行をしても同じ所を見ると同じようなものが出来る。俳句は創作が加わってこそ面白いと主張されている。

 秋澄むや叩きをかくる古書店主   寺本 喜徳
 旅にして鳥上の峰鳥渡る      富田 郁子
 飛び石の一つ石臼萩の風      生馬 明子
 蜩に急かされてをり夕炊き     池田都瑠女
 長畝の先の水音菜を間引く     小村 絹代
 引揚げの開拓地なり菜を間引く   梶川 裕子
 鰯雲ガラスのやうな機影消ゆ    小玉みづえ
 画き上げてほつと一息虫の声    武田美紗子
 試食して夫婦異なる梨を買ふ    永島 典男
 焼香の背を色なき風通る      西村 松子
 秋気澄む小瓶に満たす延命水    林 あさ女
 開拓は昔語りや花芒        福村ミサ子
 猛暑日本漢も日傘さしてゆく    安達美和子

 当日の作品は選者の特選句それぞれ五句と一般句それぞれ二句を「松江白魚火」会報に掲載し、翌月配布される。季節の素敵なカット入りで昨年から永島典男氏が率先して受け持ち号を重ねている。この九月で五百五号を数え、「松江白魚火」の歴史を語る誇らしき証である。
 松江は国際文化観光都市で風光明媚な水の都。文豪小泉八雲、志賀直哉、芥川龍之介、里見弴など居を構えた縁の地でもある。いずれの文豪も静かな城下町と水に魅せられ作品に残している。日本で七番めの広さを誇る宍道湖は朝の蜆舟、睦み合う水鳥、美しい夕日、句材には事かかない。またヘルンの愛した城の小径、神社仏閣など趣きのある所も多く四季折々に吟行を楽しめる地でもある。

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