最終更新日(update) 2011.11.30 |
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平成23年1月号掲載 句会報 | |
群馬白魚火 長月会 | |
(群馬)町田 宏 | |
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日本武尊が東征の折、亡き妻を思って、阿豆麻波夜と詔り給ひき 故にその国を号けて阿豆麻と謂ふとあります。 当地には尊ゆかりの地名が各地に残り往事が偲ばれます。 我が妻 吾妻 吾嬬 東 嬬恋 橘 等 浅間山の麓に広がるキャベツで有名な嬬恋村では、その畑の中央に絶叫台を設え、「愛してるよ〜」と叫ぶ愛妻コンクールが毎年開かれています。 さて長月会、竹渕秋生会長 の活動拠点である吾嬬神社には日本武尊 妃の弟橘媛が祀られて居ります。十年ほど前役員をしておられた、町田一花さんが中心となり途絶えていた句会を復活させ、祭典に併せ奉燈句を揚げた九月を会の名と致しました。 月一回の句会、かたくりの咲く奥宮への吟行近隣句会との鍛錬会の参加等会員相互の親睦と作句力向上に取り組んでいます。 |
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最近の句会より | |
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夕空に一番星や天高し 紅葉する日々の暮しのアクセント スーパーの開店準備冬隣り 愛犬に愚痴こぼしては秋恋ふる 八十路この里しか知らぬ石蕗の花 四囲山の里に住み古り鵙の晴れ 松かさの燠になりたる落葉焚 明日から冷え込む風の向き変る 大根の洗ひあげたる美肌かな 出雲より神迎祭の通知受く 秋うらら熔岩原めぐる車椅子 秋灯やかけがえのなき人と居て さはやかや瀞に電車の映りゆく 炎天下無心になりし草を引く 錦秋の出湯の宿の粥朝餉 |
竹渕秋生 関由美子 宮崎鳳仙花 佐藤延世 黒崎すみれ 篠原庄治 奥木温子 金井秀穂 関口都亦絵 柳田柳水 星野きよ 山田洋一 仙田美名代 岡田茉純 町田 宏。 |
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平成23年4月号掲載 句会報 | |
『いまたか句会』と私 | |
(栃木)高内尚子 | |
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『いまたか句会』の発足の経緯と成り立ちは、今まで何度か先輩の方々が句会報で御紹介されておられると思いますので、入会五年目の私の目から見た『いまたか句会』をお話したいと思います。 私は平成十八年に高校の担任でありました齋藤都先生に誘って頂き『白魚火』『いまたか句会』共に入会させて頂きました。 初めは、「俳句?五七五に季語を入れればいいのね、何か楽しそう」くらいな気持ちで句会に出向きました。…が、行ってビックリ、見てビックリ!! 聞いたこともない言葉と、読めない字が宙を舞っているではありませんか。 これは真剣な勉強会だと気付いた時には、時すでに遅し。(笑)大変な世界に足を踏み入れてしまったと驚愕しつつも、宙に舞っている今まで知らなかった素晴らしい言葉の一つ一つに、すっかり魅せられてしまいました。 星田一草先生、宇賀神尚雄先生、柴山要作先生、三人の男の先生をはじめ、長年やっておられる女の先生方と諸先輩、皆さんが本当に優しくて暖かく、はじめたばかりの未熟な私の、ちっぽけとしか言い様のない俳句をどこをどの様に直したら良い句になるだろうと、思いやりに溢れた御指導に心から感動したことを思い出します。勿論、その感動は今も続いていることは言うまでもありません。 日本人に生まれて知らなくてはいけない素晴らしい言葉の数々をもっともっと勉強していきたいと思います。俳句にありがとうと言います。そして初めに誘って下さった都先生、ありがとうございます。友達も大好きです。 |
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最近の句会より | |
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手を濯ぐ水のまぶしく春兆す 立春の水に沈めし皿洗ふ ゆつたりと下校のチャイム芽水仙 手に享くる鶯餅の仄あかり 山の端にかかる眉月春浅し 覗きたる輪転経蔵春の闇 大寒の猫の背少し汚れをり 早春のぱつと明るき万華鏡 昼の月揚げたる峡の春浅し もう誰も弾かぬピアノの余寒かな 日が昇り田んぼの道の春さがし 正座して雛の衣を裁ちにけり 初市にぶらりぶらりの福の顔 初市の背負はれし子やはしやぎをり 洗へども落ちぬ靴底春浅し 憂きことの少し残りて春浅し |
星田一草 宇賀神尚雄 柴山要作 中村國司 鷹羽克子 田原桂子 齋藤 都 星 揚子 高島文江 本倉裕子 西山弓子 島 澄江 田口孝子 渡辺加代 高橋裕子 高内尚子 |
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平成23年5月号掲載 句会報 | |
社会保険センター 円坐A | |
(浜松)大村泰子 | |
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円坐Aは、平成元年社会保険センターの生涯学習の一環として発足しました。今は、会員も増え、円坐A、B、Cと三講座あります。仁尾正文主宰の直々のご指導と上村均講師の指導のもと、円坐Aは月二回、十九名の会員が受講しています。出席率は大変良く、五句投句、六句選となり当番制による披講が行なわれています。上村講師の本選、特選に続いて仁尾先生による予選、本選、特選の順に発表されます。予選の一部を先生に添削していただいた句は、とても良い句に変り感心すると同時にとても勉強になります。又特選の講評をいただくと、改めて句の良さがわかり中味の濃い二時間です。自由に意見交換出来る雰囲気のある中、ほど良い刺激を受け、これまで俳句を続けて来て良かったと思っています。 毎年円坐A、B、Cの講座の人達で合同句集『円坐』を発行しています。俳句二十句とエッセイを添えたもので、まもなく二十集が発刊されます。人生経験の豊かな人が多く、題材も幅が広く、気楽に書かれた文章は思いの外評判がよくて、楽しく拝見しています。又吟行句会も年数回実施され、皆さん積極的に参加されます。先日も国宝となった久能山東照宮に、円坐A、B、Cの有志二十二名が参加され、今年白魚火賞を受賞された、佐藤升子さんのお祝いも兼ねて行って来ました。 二代将軍秀忠の命により造営された、権現造りの社殿は桃山時代の技法を取り入れた江戸初期の代表的な建物です。丁度梅の見頃と重なり、一層華やかな境内となり、眼下には駿河湾、伊豆半島、そして優美な富士山を一望できる壮大な景観が楽しめました。吟行には打って付けの場所、力作も出揃い、句会も大いに盛り上がりました。句友とこの様に楽しいひとときを過ごせる幸せを感じています。 |
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薄氷や棒のごとくに鯉沈み 山並の一峯とがり下萌ゆる 甘酒に舌焦がしをり達磨市 春霞む日本平の富岳かな 恋猫の音たて走る屋根の上 奉納の四斗樽並べ梅見茶屋 おにごつこしたる広場の下萌ゆる 下萌や誕生餅を背に八歩 囀りや花束届く誕生日 蜜を吸ふ鳥の逆さま寒桜 宮掃除薄氷ありて早仕舞 拍手の男のよかり梅真白 春浅き小川跨ぎて野に出づる 下萌にブーメラン追ふ子犬かな この国を侵すシベリア寒気団 寒明くる道路工事の急ピッチ きさらぎの秒針耳につきにけり 紅梅の八重にふくらむ神楽殿 神駒の眼は春光を放ちけり 立春大吉農園で花を買ふ いしぶみに潮鳴り高し水仙花 |
正文 均 芙美子 務 文子 信昭 瑞之 ひろ子 はるゑ くに子 順一 升子 誠 ルミ子 旨利 修 葉子 安子 忠義 照代 泰子 |
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平成23年6月号掲載 句会報 | |
『浜山句会』 | |
(出雲)藤江喨子 | |
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浜山句会は上川みゆき先生指導のもと平成四年にスタートして、今年十九年目を迎えました。現在の会員は十二名、全員が白魚火誌友です。その間高齢や家庭の事情で多少の出入りはあったものの常に十名以上の会員を保っております。 句会は毎月一回、第三金曜日の午後一時半から、出雲市大社町の荒木コミュニティセンターで行います。 兼題を含めて五句を出し、選句、披講のあとは、上川先生のご指導をいただきながら句を直したり意見を言い合ったりします。先生は厳しさの中にもユーモアをもって教えて下さいますので、句会はいつも明るく和やかです。 ベテランも新人も一緒になって学ぶ充実の時間です。 年に一〜二回は吟行に出かけます。ありがたいことに出雲地方は神話と歴史の地で、吟行地には事欠きません。出雲大社もよく行く場所の一つです。 忙しい毎日が続くと俳句どころではない≠ニつい思ってしまいますが、句会が近づくと歳時記を広げ、辞書を引き、指を折っている自分がいます。そして句会が終るとやっぱり句会はいいなあ≠ニ思うのですから、不思議です。 月に一度の句会は、私にとって特別な場です。席題に挑戦する緊張感は刺激的ですし、句作りを通して新しい言葉に出合ったり歴史や文化を見直したり昔を思い起こしたりと、心豊かな時間をすごすことができます。句会に学び癒され、励まされてきた十八年‐‐‐。 |
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水脈引いて鴨縦横に光りけり 霾天やいつもの倍の車間距離 鐘朧うるみてゐたる梢かな 多喜二の忌小魚咽に刺さりけり 吾がために買ひ求めたる雛人形 笛ひとつ失せたるままに雛飾る 春の風ヨガ教室の指定席 早々と家族総出の雛飾り 春の雪湖に浮かびし嫁が島 樹木医の手当の跡や芽吹き初む 海鳴りや弥山の峰に残る雪 雛の軸掛け古民家の梁太し |
みゆき あさ乃 絹子 恒一郎 房江 美知子 三千女 美也子 八重子 陽子 律子 喨子 |
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平成23年7月号掲載 句会報 | |
静岡白魚火「穂波句会」 | |
(御前崎) 田部井いつ子 | |
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私たちの穂波句会では、例会の他に月一回の吟行を行っております。句会発足の経緯、運営等は、先輩の方々が御紹介されておられますので、今回は吟行について紹介してみたいと思います。 吟行は、車に分散しての半日が中心です。ちょっと足を延ばした時には一緒に昼食をとったりと、会員同士の楽しい語らいの場にもなっております。 鈴木三都夫先生にも御都合のつく限り出席を頂いて、その時使える季題、的確な言葉等を生で御指導頂きます。「説明しない」「平易な言葉で」などの教えも実物を前にしてなのでよく理解できます。 一年を通じて訪れる所は藤枝市の蓮花寺池公園、不動峡、御前崎市の浜岡砂丘などです。 蓮花寺池公園は池に植えられた蓮とそこに集う野鳥が四季折々の姿を見せてくれます。 不動峡には磨崖仏、水車小屋、蚕小屋、つり橋が見られます。昨年ここで聴いた降るほどの河鹿の声は忘れられません。 浜岡砂丘は、震災以来全国的に有名になった浜岡原発の隣にあります。浜豌豆に、浜昼顔、浜防風、風紋等ここも句材は豊富です。真冬一面の砂に風の吹き付けるだけの砂丘も趣があります。 「俳句は長寿の秘訣」「身近な自然を巡り言葉を紡ぐ」素晴らしい歳を重ねておられる先生はじめ先輩の方々を見ると確か頷けます。私も少しでもあやかれるよう精進していこうと思っております。 |
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命愛し句も亦今日の桜かな 実はどこにどうしてなるのか花あけび 茶摘女の三人ほどは結仲間 知らぬ子とすぐに仲良しチューリップ ここだくの椿再び地に咲きぬ 紫雲英草鋤き込まれても色を見せ 囀の一塊の降る朝 その辻に昔鋳掛屋風光る じやんけんの小さな拳花の昼 苔むせる句碑の歳月躑躅燃ゆ 玉椿地に落ちてより華やげり 山藤に棚を貸したる雑木山 夢詰めて鳴るランドセル春隣 会へば避け会はねば捜す蝮草 |
三都夫 智保子 松枝 昇子 よし子 かつ 美佐子 利子 悦子 綾子 梢 光代 ふみ子 いつ子 |
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平成23年8月号掲載 句会報 | |
坑道句会報 | |
小林梨花 | |
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坑道句会では、昨年の春六十周年記念の合同句集を発刊致しまして皆様にお読み頂きましたが、その後も以前と変わりなく定例の吟行句会を通じて会員の研鑚をはかっております。 去る五月十六日(月)は三十二名の出席者を得て松江での吟行句会を致しました。午前中は自由吟行、十二時には会場に全員集合して楽しく昼食をとり、その後、出句は一人七句で締切は十三時、全員で清記、そして一人十五句の選、曙、鳥雲作家六名の選者の特選五〜六句と入選二十句ばかりを採る。 最後に山根仙花先生の選評、安食彰彦先生の「白魚火」の現況についてのお話があり、質疑応答、等で解散。 坑道句会の魅力は、短時間(約一時間三十分)の吟行で七句の出句と集中力を養うのに良い句会であること。多人数の選者での選で面白味がある。等で、出席率が良いのではないかと思います。 今回の吟行地は、平成十九年の白魚火全国大会の開催地、松江でしたので、大会の時のことを懐かしく思い出しながらの句会でした。 松江城では天守閣が隠れる程の新緑、三の丸には真白な「なんじゃもんじゃ」の花が咲き、堀川の遊覧船からは杜若の花も見えた。八雲旧居、天輪寺の一都句碑、卯浪立つ湖に浮かぶ嫁が島、そして開府四〇〇年の記念に最近新築された武家屋敷風の歴史博物館 等等。思い思いの場所での吟行でしたので、句題も多く秀句揃いで選句に困りました。下記に当日の句十句余りを取り上げさせて頂き句会報と致します。 |
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銃眼になんじやもんじやの花覗く 黄菖蒲の未だ初々し御濠端 若葉風切妻破風の深き彫り 深深と青葉静もる天守閣 命綱付けて城垣草を取る 城山は松江の要松の芯 卯浪立つ湖に真向かふ句会場 聳え立つ城の若葉の濃く淡く 堀川の女船頭花菖蒲 卯浪立つ岸に小さき鳥の群 望楼を緑の風の吹き抜けて 朝まだき旅の車窓の山の藤 薫風とカラコロの橋渡りけり 船頭の声高くして躑躅燃ゆ |
牧野邦子 今津 保 船木淑子 福間弘子 山根恒子 伊藤和代 小沢房子 錦織美代子 渡部信子 渡部清子 生馬明子 金築暮尼子 荒木友子 杉原 栄子 |
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平成23年9月号掲載 句会報 | |
磐田支部「槇の会」 | |
埋田あい | |
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槇の会は、ただいま三十四名。槇の会と二つの勉強会で成り立っています。白魚火会員は、複数の句会に出席する人と、どちらか一つに席のある人がおります。また他結社に属している人、浜松の会員、遠方から不在投句の方もおります。ともかく自由に、しかし、はっきりと黒崎治夫先生は受け入れて下さっております。俳句は、品格と調べをとよく言っておられます。時に応じて、俳句の歴史や、仮名遣い、文法等について述べられています。五句投句。無記名でコピーされた全作品の中から自由に取捨した五句を発表していきます。どこが、どの様によかったのか、作者の意とするところと違いなぜ採られなかったのか反省し、各人の考え方、先生のアドバイス等笑いのうちにも緊張した楽しい三時間半は、「あっ」と言う間にすぎていきます。厳しい中にも温かみのある教室です。 この三月に天竜浜名線の吟行。六月には、浜松の会員有志の方と岐阜の犬山城に吟行にまいりました。どちらも湖や川を配した風光明媚なところでした。 毎年の市の文化祭には自慢の句を短冊に書き出品し、又、公民館祭にも参加して盛り上げます。磐田市文化協会の観月会があり、浜松の奥山方広寺の観月会があります。(有馬朗人先生、仁尾正文主宰外) 常に句会に出席できる方は、男性七人女性十五人位でしょうか。昨年の暮、先生と村上尚子さんのお骨折りで「槇」と言う合同句集が出版されました。それ以後みなさんは、さらに切磋琢磨しております。年令は五十代から九十歳を越した方まで多様で、いつも面白い作品が出されます。毎月それぞれの会に、皆さんがどんな句を出されるか、お会いする日が待遠しく思われてなりません。 ・幹事 村上尚子 高田茂子 斎藤文子 |
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桐箪笥小さき母の単衣かな 袋掛夕日を包み終りけり 酒二合呑んで父の日終りけり 誰か木に掛けてゆきたる蛇の衣 子に送る葉付きのままの夏みかん 四辻のひとつは城へ風涼し 老鶯の一声飛騨の朴葉味噌 燈台の遠くに見ゆる麦の秋 駅薄暑岡本太郎の大壁画 草笛のつれなき音の一度きり 手に鱗ひかり釣師の沖なます 掛け花にふうりんの音届きけり 水無月のひと日を神に仕へけり 二ノ鳥居三の鳥居や青葉風 金華山望む天守の風涼し 相聞歌割つて冷たき葛ざくら |
金子きよ子 福岡菊雄 村上 修 村上尚子 溝口正泰 鈴木敬子 鈴木喜久栄 影山 園 高田茂子 斎藤文子 武田貞夫 新村喜和子 埋田あい 大坂 弘 村上千柄子 黒崎治夫 |
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平成23年11月号掲載 句会報 | |
浜松白魚火「梧桐句会」 | |
伊藤巴江 | |
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梧桐と句会名が変わって十六年となり先輩方の培って下さった会を現役十六名で日々研鑽をし会の名に恥じぬ様努力をして居る処です。 方広寺門前のつづら坂を行くと今年で八年目となる「仁尾正文主宰の句碑」が在り葺替えた方広寺の大甍を右に見肘折れて行くと三重の塔があり、奥山高原、梅林へと続き春夏秋冬吟行には良い場所です。毎月四人程当番で句碑の掃除に参ります。樹下の広場はいつもさっぱりとしております。 句会は十一時から門前の竹内旅館にて仁尾先生に御足労いただき行います。タクシーにて御出掛け下さる様お願いをしていますが今もってバスにて御出で下さっています。 出句は七句の八句選で披講は順番制で、する側受ける側共に緊張をする良い時間です。先生には予選入選特選と選んでいただき、予選は特に懇切丁寧に御指導下さいます。季語の斡旋推敲の足りなさ等互に頷き合い納得することしきりです。特選は十句程で誰れしもこれを目指し励みます。 新人の方達は野沢建代さんの適切なアドバイスとはきはきとした教え方に、めきめき上達し本人の努力共々敬服をいたします。 この会は毎月全員で揃って賑やかに昼食をするのが特徴かと思います。 食事を挟んで三時間半の予定で定例句会を終えます。 今回で第五回目となる有馬朗人先生主催の「奥山方広寺観月の夕べ」亦「井伊谷宮奉納俳句大会」等も地元ですので、全員参加をし異なる結社の方々の句に触れ刺激を受けて居ます。 次に仁尾先生の一句を含め全員それぞれの句を添えて句会報とします。 |
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川中島産の白桃届きけり 初秋の旅に使ひぬ銀の箸 ふらり来て庭木にいこふ黒揚羽 送り火の腰掛け並べ夫を待つ 露に濡れ朝餉の葱を抜いて来し 遊覧船見ゆる高さの猫じやらし 酒樽の上に匂へる菊の綿 竹林に秋の風あり京の旅 盆道に忘れしままの軍手かな 桁下は五尺余りや男郎花 筧より音絶え間なし山清水 花木槿矢来結ひある山の寺 竹垣の透き間を抜けて萩の風 夜つぴとい沢音どどど秋出水 |
正文 建代 美代子 いし 陽子 絹代 純江 秀子 滋世 弘子 章子 三千代 知子 巴江 |
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平成23年12月号掲載 句会報 | |
静岡白魚火「穂波句会」 | |
坂下昇子 | |
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平成23年12月号へ | |
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静岡白魚火は七つの句会に分かれており、穂波句会もその一つです。会員は現在十三名です。 私達の句会は吟行に力を入れ、毎月吟行を行っております。吟行には鈴木三都夫先生にもご都合のつく限りご参加頂き、ご指導を仰いでおります。 吟行地等については今年の七月号の白魚火誌にて紹介した通りです。今回は九月の吟行について少し紹介したいと思います。 「倉沢」という山里に棚田が残っているというのでそこへ行くことになりました。その日は秋晴れの吟行日和でした。棚田には稲が黄金色に稔っていました。棚田の一枚一枚にそれぞれオーナーがあって、稲の育ち具合もまちまちでした。棚田を伝って流れる落し水の音も心地好く、周りには栗や柿、通草の実等も見れました。蜻蛉や蝶も飛び交い、畦にはもう彼岸花も咲き、正に季題で溢れているという感じでした。 この日は先生はご都合がつかず私達だけの吟行でした。先生はいつも「季題となるものをじっと見つめていれば季題の方から話しかけてくれる」とおっしゃいますが、私には季題の言葉を受け止めることができません。吟行に行くとついおしゃべりが楽しくておしゃべりの方に夢中になってしまい、先生から注意されることも多々あります。句帳には見たもののメモだけです。先生は「吟行したらできるだけ早く、印象の鮮明な内に句作するように」とご指導下さいます。 これからも吟行を積極的に行い、季題と仲良しになりたいと思うこの頃です。 |
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稲架襖裏も表もなかりけり 水平線離れて大き今日の月 花芒揺れて侘しさ紛らはし 取り入れはまだ少し先蝗飛ぶ 威し銃鳴る時だけの威しかな 園児よりじじばば多し敬老日 初秋の風を両手で包みけり 忘れゐしことも忘れて踊り出す 刈田して畦の露わに千枚田 引くほどの色には遠き通草かな 法師蝉惜しみ鳴きせる茶亭跡 蓮の実の明日飛ぶ勢ひ見えてをり 僅かなる風にも応へ萩の花 葛の蔓引けば青空近寄り来 |
三都夫 か つ 利 子 綾 子 松 枝 智保子 梢 ふみ子 よし子 美佐子 光 代 いつ子 悦 子 昇 子 |
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