最終更新日(Update)'13.05.01 | ||||||||||||||
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季節の一句 鈴木百合子 |
「踏 青」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 斎藤文子 、石川純子 ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
句会報 松江千鳥句会 荒木美智恵 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 友貞クニ子、中村國司 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(群馬) 鈴木百合子 |
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白といふ白を極めし白牡丹 大川原 よし子 鍵盤をすべる指先薄暑かな 齋藤 都 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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伯 備 線 安食彰彦 陶房の猫ねむりをり木の芽晴れ 霾るやなぞめくロマン三号墓 春の雨降れば家紋の美しき 春雨や青き艶ある古川句碑 春水をすこし遮る石ひとつ 鳥帰る生涯うしろ振りむかず 山と渓削りけづりて茶の芽立つ 伯備線に乗り換へてより日の永し 寒明くる 青木華都子 寒明くる未だ未だ続くとふ余震 赤ペンで書く追伸や寒明くる 春の夜の震度四強とふ余震 一枝にして白梅と紅梅と 探梅や休み処の梅茶漬 早春譜奏づる風と水の音 この池の主は緋鯉や水温む 杉花粉飛ぶ風下にゐて痒し 壺 の 耳 白岩敏秀 春寒や鍼灸院に女靴 木の芽風箆で掘り出す弥生土器 春障子笑ひ声して開きにけり 芽柳や流れは嬉々と堰越ゆる 鞭入るる直線コース下萌ゆる 亀鳴くや磨かれ光る壺の耳 神木をすこし離れて小鳥の巣 倒立の指が天指す春一番 結 氷 期 坂本タカ女 利酒の底をつきたる甕覗く 鮟鱇鍋ひとり依古地がをりにけり 窮屈な氷の隙間抜けて鴨 遠雪崩さ牡鹿猛猛しかりけり 屋根の雪卸す梯子の伸びてゆく 十五階よりの展望結氷期 夕さりの天心の月多喜二の忌 羊飼ふサイロの小振り下萌ゆる 牡丹の芽 鈴木三都夫 達磨市売るるともなく売れてをり 菰内に竦み日を恋ふ冬牡丹 盆栽にして一景の枯木立 庭石に一句を刻む椿かな 一輪は床へ落せし椿かな 膨らみの色に秘めたる牡丹の芽 強東風や兎跳びして波がしら 余寒なほ風紋荒き砂丘かな |
早 春 山根仙花 早春の光を乗せて川流る 早春と思ふ景色の中を行く 梅の香の届くあたりに憩ひけり 野を焼きし匂ひの農衣夜も干す 野を焼きし夜は満天の星うるむ 朝東風の消し忘れたる星一つ 夕東風の野に手を高く振る別れ 一握の花菜明かりの仏の間 雛 の 夜 小浜史都女 梅林に水仙の道出来てをり 大楠に大き空洞冴返る 木の芽張る一日置きに雨と晴 濁りゐることもちからに水温む 初音きく山のあかるき日なりけり 琴の音のやうな水音水木の芽 封筒に文深く容れ雛の夜 七人の敵みなをみな雛めぐる 旅 一 日 小林梨花 雲間より出づる春日の大いなる 春暁や連山あけぼの色に染め 草萠ゆる眼裏にある母の背 首伸ばしのばし白鳥鳥雲に 連立のビルを遙かに暮春かな 春愁や搭乗を待つ人の顔 飛行機の爆音散らす春の闇 少年の笑顔の残る朧の夜 猫 の 耳 鶴見一石子 軒先に潮の匂ひやい嗅がし 被爆線量気になる果実花と鳥 猫の耳ぴくぴくうごく杉花粉 北方四島返還いまだ鳥雲に 笛太鼓持たせ雛を飾りゆく 雪洞は日本の灯り雛の間 雛の夜は雪洞をつけ寝るといふ そんなにも漕がず鞦韆空の蒼 梅 香 る 渡邉春枝 閉校の最後の授業梅香る 薄氷に触れし指先くれなゐに 掛軸に春光いたる茂吉の忌 一糎ほどの土筆にひざまづき 少年の大き靴跡地虫出づ 入れ替り立ち替りして雛の間 雛らの息づく部屋の句会かな 百年の刻止まりゐる雛の目 |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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涅 槃 会 野沢建代 本堂の畳冷え切る涅槃かな 緑青の浮ける鰐口余寒なほ 涅槃図の前で甘酒いただきぬ きらきらと日差しこぼるる椿かな 馬酔木咲く巣箱に小さき屋根のあり 初音聞く峠越ゆれば三河なり 春 の 雪 星田一草 凍空にさらす紺屋の白木綿 春寒しなき妻あての書が届く 満天星の芽のくれなゐに春の雪 飛行機雲真二つに裂く春の空 堰水のまぶし春光あふれしめ 猫柳日の斑まぶしき川面かな 牡丹の芽 奥田 積 立春の雨の明るき一日かな 畦焼火水面に落ちて立ち上がる 末黒野を小走りにゆく鳥の影 法灯の上棟式や鳥雲に 雛菓子の鯛の尾鰭のはねてをり 記念碑を離れてしるき牡丹の芽 薬 研 彫 梶川裕子 薬研彫の藩主の墓石梅三分 鰐口の紐のささくれ戻り寒 鉛筆を削り揃へて大試験 日めくりは二日のままの追儺寺 埴輪の目三角もある春愁 すれ違ふ人襟立つる余寒かな 春 北 風 金井秀穂 幾世代秘湯守り継ぐ大囲炉裏 風止めば日差し明るき二月かな 二月尽餌台に置く呆けりんご 蕗のたう凍てし土よりこそげ採る 予後の妻の鼻唄洩るる春厨 篁の日がな悶えつ春北風 若 布 坂下昇子 まだだれも踏まぬ風紋冴返る 若布採り腰の籠より潮垂るる 新聞を二枚つなぎて若布干す 三椏の花に狂ひのなかりけり 薄氷に載りて鴨の子水に入る 薄氷の咬みし枯草離しけり |
春 浅 く 二宮てつ郎 竹林の揺れ柔らかく寒終る リモコンの出す声春の立ちにけり 拡大鏡頼みの漢字春浅く 強風の残る日向やいぬふぐり 春夕べ小湾遠く灯り初む 木の洞に差し込む夕日二月尽 犬ふぐり 大石ひろ女 星ひとつ足らぬ二月の天道虫 移りゆく時をあれこれ犬ふぐり 大楠の洞十畳や涅槃西風 鞦韆や未来へつなぐ空の色 自分史に偽りのなく鳥帰る 春一番分かりさうなるピカソの絵 祈りの刻 奥木温子 十字架の影の突き刺す斑雪 看護師のモンローウォーク春遅々と 大根を半分買つて風は春 忌を修す祈りの刻のしづり雪 盆梅を日向に出して猫と居り 毛衣や日毎に太る辛夷の芽 水 温 む 清水和子 遠州に風吹かぬ日や水温む 盆梅の花小刻みに風に揺れ 一房の馬酔木の垂るる山路かな 下ばかり見て登りけり梅匂ふ 春宵や消し忘れたる二階の灯 春あけぼの飯炊く匂ひ家中に 鳩 時 計 辻すみよ 夕刊の後に郵便日脚伸ぶ 独り来てひとりの歩巾犬ふぐり 春田打つ同級生も老いにけり 若布を拾ふをりをり強き波しぶき 見えてゐて採れぬ若布のもどかしく 啓蟄や声の飛び出す鳩時計 春 の 風 源 伸枝 沈丁に音なき雨や忌を修す 灯台へ高波走り冴返る 春灯を雨にこぼせる礼拝堂 十字架をつつむ潮風春の雪 山国のうるむ星座や猫の恋 保育士のいつも小走り春の風 |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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斎藤 文子 靴買ひに立春の橋渡りけり 石川 純子 一発で味付け決まる根深汁 |
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沈丁の冷たく匂ふ夜雨かな 折り上げて影の生るる紙雛 大寒の水に打ちたる蕎麦晒す 来る鳥に差しし蜜柑の心置き 山國の空青ければ弊辛夷 山笑ふ窓に大きなぬひぐるみ 春立つや赤き表紙のパスポート 春立つて始発電車の客となる 春の波こえて一気に出漁す 永き日の石狩川の小濁り 葡萄酒の淡紅色に透く余寒 去り際に一ひら散りぬ冬牡丹 満潮の河口膨るる蘆の角 麦踏みの大き足跡残りけり 春隣窓辺へ鉢を置き変へて |
北原みどり 渡邊喜久江 石川 寿樹 橋本 快枝 上武 峰雪 樋野久美子 西田美木子 松原トシヱ 田口 耕 小林さつき 川島 昭子 五十嵐藤重 村松 綾子 廣川 惠子 堀口 もと |
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鳥雲逍遥(4月号より) |
青木華都子 |
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影落とし噴煙なびく初浅間 |
田村 萠尖 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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東広島 友貞 クニ子
春風や自転車をこぐ赤い靴 鹿 沼 中村 國司 寒夕焼直立不動ゆるぎなし |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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雛の間に琴の調弦してをりぬ 友貞クニ子 雛祭は、正月七日の人日、三月三日の上巳、五月五日の端午、七月七日の七夕、九月九日の重陽の五節句の一つとして、古くから貴族、庶民、老若男女の別なく皆んなして祝ってきた。『日本大歳時記』には雛祭の副季題が五十語近く出ており、例句も五十余句が掲げられていることが如上のことを証している。 薄明のすでに青める寒の空 中村 國司 別れとは知らずに別れ流氷期 小林さつき 「じゃあまたね」と手を挙げて別れたのが永別になってしまうとは。「無常迅速」という語が人事でなく思い知らされた。 春泥に十三文の靴の跡 清水 春代 一文は一文銭の直径で約二・五センチ。一時代前、足袋や靴のサイズは八文半とか九文とか言っていた。拙作の「朴落葉十六文は優にあり」の十六文は約四十センチ。プロレスラーのジャイアント馬場の十六文蹴りからの発想であった。この句は割合に評判がよかったので朴落葉が実際に十六文もあるか確かめに出かけた。十六文はおろか十八文、二十文もあるものがありほっとしたことだった。 土塊を道に落として田打終ふ 森 志保 田打を終えた農機が道路に土塊を落して過ぎ去った。何でもない景であるが、言葉を飾らず詠んでポエムを感じさせる。 ラッセル車降り一服の峠駅 平間 純一 今冬の北国は豪雪に見舞われ又暴風が吹き異常気象が続いた。青森県の酸ヶ湯温泉では春雪が一昼夜に五五〇センチ余も積もり気象台の観測記録を更新した。各地のラッセル車や除雪車は正にフル稼働だった。掲句は登りを働きづめのラッセル車が峠の駅に到着して一休みしている所。こういうリアルな景を見せられても雪のない地に住む者には本当の痛みは分っていないのであろう。 一湾に春寒の星限りなし 安食 孝洋 もう四十余年もの昔、この作者夫妻や西村松子(旧姓石原)さんらの白鳥句会が古川先生の直接指導を受けており、筆者も折々この句会にお邪魔したことがあった。理容師の作者は筆者の社宅のすぐ近くに店を開いていたのでよく店へ寄っていた。その後本店へ帰って、どうしたのか俳句を中断してしまった。一都選で四句欄五句欄に居た実績があるので今回の復帰は喜ばしい。 鞦韆やときめく心吾になほ 荻野 晃正 鞦韆にまつわるロマンスが若い頃あったのであろうか。ときめく心がまだあるということは青春の只中にあるということ。奮発を期待している。 |
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