最終更新日(Update)'13.08.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 石川 寿樹 |
「文 机」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 星 揚子 、弓場 忠義 ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
句会報 鹿沼と「いまたか句会」 高内 尚子 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 吉川 紀子、星 揚子 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(出雲) 石川 寿樹 |
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籠枕度忘れ多き頭置く 鈴木喜久栄 暁の風なまぬるき原爆忌 西田 稔 石ひとつケルンに重ね山下る 舛岡美恵子 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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出雲大社 安食彰彦 賑はひの門前町や出雲朱夏 梅雨雲を押し上ぐるごと千木聳ゆ 炎天の千木を眺めて黙考す 数珠繋ぎの車をつつむ梅雨曇 門前町の警備の男暑に耐ふる 門前町東西南北梅雨深し また眺めゐる神苑の夏舞台 夏燕銅の鳥居をくぐりけり あめんぼう 青木華都子 蹲をこぼれ落ちたるあめんぼう 水の輪に水輪重ねて水馬 牛蛙鳴くやのんどをふくらませ 落し文お地蔵さまの膝の上 葉の先に来て天道虫つひに落つ 渓流の水すれすれに夏の蝶 暮れてよりいよよ蛙の田となれり 雨粒が雨脚となり雷兆す 杉 山 白岩敏秀 桐の花郵便局へ橋渡る 青蜥蝪砂丘の隅を走りけり 若葉風力をこめて鍋磨く 杉山に昼餉をひらくほととぎす 草笛の野の音となる少年期 海鳴りの砂丘金雀枝咲きあふれ ひとすぢの音ひとすぢの滝の水 振れば鳴る新茶の封を切りにけり ものがたり 坂本タカ女 谷地蕗やてんてこ舞ひの豆水車 移り気な蜂くる蝦夷の延胡索 靜けさの渉る水面や水芭蕉 水飲みにくる山鳩や水芭蕉 種おろすこれより米のものがたり 白鳥のこゑ帰りゆく盆地かな 桜咲き満ち鎮魂碑軍馬の碑 見に来たる牛見当らず春惜しむ 緑 摘 む 鈴木三都夫 緑摘む竹結界を外しけり 緑摘む庭の要の一樹より 摘み終へし松の緑の男ぶり 延滝の音のかそけき茶室かな 老鶯の声ふりかぶる観世音 群落の著莪に埋もれし趺坐羅漢 散り際を取り乱したる牡丹かな 牡丹の崩れし一部始終かな |
郭 公 山根仙花 春落葉掃きかけてあり僧不在 蛙鳴き夜の闇重くなりにけり 麦熟れて風腥くなりにけり 締め直すネクタイの紺風五月 濯ぎもの若葉の匂ひして乾く 柿若葉てらてら大き日を返す 海の青空の青五月のカレンダー 郭公や話の弾む夕餉の座 豊 後 梅 小浜史都女 午後からも海風強し姫女苑 風荒れて立浪草の立ちあがる 棕櫚の花匂ひ城址に孝女の碑 甲冑の朱房涼しく結びあり 献上の蛸唐草の壺涼し 麻のれん糀屋とあり糀箱 家老屋敷真昼さびしと牛蛙 まろまろと捥ぎごろなりし豊後梅 奉 祝 小林梨花 緑陰の奥より響く神楽笛 国譲りとふ神楽舞ふ推若葉 万緑の杜に地の神天の神 まつさらな千木夏空へ刺さりけり 神苑の桂並木の青葉かな 奉祝の提灯門に夏館 八足門軋ませ閉ざす夕薄暑 梅雨深し雪洞灯る御神前 師の一句 鶴見一石子 麦秋の畝の先なる岩手富士 廃坑となりし入口滴れる 風鈴を吊りて客待ち風を待つ 戦中の話に勢み武具飾る 師の一句見入る扇を使ひをり 雲海を吐きて育てし羅臼岳 宿房の百疊三間の夏座敷 夏炉燃ゆゆらりゆらゆら鬼女の面 朴 の 花 渡邉春枝 夏に入る風のそよぎも水音も 白牡丹夜のとばりの幾重にも 老鴬のしきりに雨の大山寺 吊橋に定員のあり渓若葉 なほ奥に住む人のあり朴の花 標高七〇〇山芍薬の群生地 梅雨晴れや帰化植物の土手おほふ 新緑の庭に据ゑある珊瑚岩 |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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夏 霞 富田郁子 藩公の帰依厚き寺葵咲く 城の鬼門木の間がくれに青葉木菟 重文の瑠璃光如来緑さす 追ひ追はれ茂みに沈む恋の蝶 島前も島後も見えず夏霞 寺小姓吉三の墓や蟾の声 黄 水 仙 田村萠尖 九十にして春眠をむさぼりぬ かたかごの反り競ひつつ揺れ合へる 從順にかたかご雨に打たれをり 行く春の薬膳料理浅みどり 雨粒にうなづき合へる黄水仙 たそがれの庭浮きたたす黄水仙 著莪の花 桧林ひろ子 かなぶんの体当りして死んだふり 山の風川の風来る著莪の花 修復の成りし外堀残り鴨 目ん玉の青葉に染まる一日かな 空港の草の中より揚雲雀 藤娘隠れて居さう山の藤 青 梅 武永江邨 十薬を反り身で手繰る軍手かな どくだみは雨を呼ぶ花棚曇る 青梅の数拾ひ読む不作かな 日を返すたびに艶めく柿若葉 供華替ふる指で追ひやる雨蛙 午後よりの風に気負へる鯉幟 更 衣 桐谷綾子 つつじ園琴の調弦はじまりし 緋牡丹の崩るる刻のあはれとも 函嶺の空押し上げて夏の山 生姜香を褒めて甘酒茶屋の午後 母のものほどきリフォーム更衣 ツアールートキャンパスマップ風薫る 更 衣 関口都亦絵 初蝶の絹の羽透きかろく舞ふ 若葉冷ときをり疼く糸切歯 ヨーヨーを提げてそろひの浴衣の子 片言の子のそれなりの祭髪 聞き役も大事な介護更衣 紅茶好きビールなほ好き夕薄暑 |
明 易 寺澤朝子 明易や上げ潮に乗るタグボート 手摺まで鴎来てをりサングラス 藍流す川の名残や濁り鮒 何事もなき日が過ぎぬ枇杷熟れて 汗ばみつスイーツ片手に次男来る 夏の山見に行く電車乗り継いで 白 雲 木 野口一秋 竹の皮脱ぐや神馬は立眠り お結びを割れば郭公鳴きにけり どんみりと雲の垂れきし桐の花 朴の花リフトに乗りて審か 咲きそめし白雲木の一朶二朶 パラソルをひらけば木蔭生まれけり 行 々 子 福村ミサ子 神奈備の裾広々と植田澄む 花あやめ水路の多き城下町 草刈りのあとや濡刃の匂ふなり 葭切や板一枚を棧橋に 葭の原ゆらして恋の行々子 雨の日の続く出雲のかたつむり 花あやめ 松田千世子 古城なる池畔に濃ゆき花あやめ 賴りなき色に始まる七変化 万緑の参道といふ隙間かな 退院の植田の景を眺めをり 起き抜けに西瓜畑を一巡り 道に迄西瓜の花の盛りかな 遷 座 祭 三島玉絵 緑立つ御遷座成りし大社 若葉光破風美しき檜皮葺 高々と千木上げ青嶺背にす 一の鳥居一閃燕翻る 遷座祭終りし畑の茄子胡瓜 聞きとめし一声確と雉子なる 雛 流 し 今井星女 引潮を見定めてより雛流す 雛載せてゆるりと川の流れけり 雛流し見送つてゐる鴎たち 海の果まで見送りし雛流し 流し雛難破しさうや東風強し 鎮魂の海へ雛を流しけり |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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星 揚子 鉛筆の芯また折れし薄暑かな 弓場 忠義 矢車のからからと日の暮れゆけり |
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湖畔の灯とろとろ暗し夏木立 夏来る嬰児のふぐりかがやけば 半顔を夕日に染めて早苗植う 端居してよき句に心とめにけり おとうとは母に甘えて釣忍 緑立つ寺に跡目の決まりしと 子を産んでトースト二枚麦の秋 緑蔭や野外授業は昼休み 牧柵のむかうに落つる夏雲雀 馬小屋の窓の小さし鴨足草 電球を替へ母の日の母の部屋 夕暮るる川が匂ひて薄暑かな 風よりも大きく揺れし茅花の穂 嬉しき日たんぽぽの絮飛ばしけり 明易し始発列車の通過する |
大久保喜風 上武 峰雪 荻原 富江 大山 清笑 陶山 京子 北原みどり 大隈ひろみ 大城 信昭 高島 文江 田久保峰香 横手 一江 山西 悦子 清水 純子 徳増眞由美 柴田 佳江 |
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鳥雲逍遥(7月号より) |
青木華都子 |
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不器用な母に筍煮て届く |
富田 郁子 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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旭 川 吉川 紀子
さへづりや寄生木数へながら行く 宇都宮 星 揚子 初夏や雑魚はぴたりと影引いて |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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夕桜優佳良織の帯締めて 吉川 紀子 優佳良織は、旭川の染織作家木内綾が創作した工芸品である。羊毛を手で紡いで糸とし二百色から三百色の染料で染め、手織で織るという、すべて手作業によっている。流氷をイメージした一片のつづれ織を見たが、基調の海の色の紺にも十種程の染料が組合わされ、流氷の白にしても、寄る鳥にしても繊細微妙な沢山の染料が用いられて、うっとりとした別世界に引き込まれる思いがした。「はまなす」「ななかまど」「さんご草」等々をイメージした、さまざまな作品に、北海道知事賞、同文化賞、通産大臣賞や文化庁長官賞、NHK賞等数え切れぬ程の賞に輝き、海外でもスエーデン、ハンガリー、ニュージーランド等でも多くの賞を受けている。当初は「ユーカラ織」としていたが、文化勲賞受賞の版画家棟方志功が「優佳良」という美しい字を当て、一層幻想的な趣が出てきた。 穏やかな朝の植田や一青忌 星 揚子 栃木県白魚火会長であった橋田一青氏は、平成十三年五月十五日八十三歳で逝去した。昭和三十三年一都先生が宇都宮地方貯金局長で来られ長野へ転勤する迄の三年間一青氏は直接指導を受け先生に心酔した。現役時代、栃木県高等学校長会会長であった関係で高校の教師だけでなく中・小学校の教員に至る迄、大勢を白魚火会員に勧誘し栃木の白魚火会員の幅を広くし厚くした。氏によって白魚火へ来た作家達が現在大活躍していることは誌友の知る所である。 ほととぎす五更に及ぶ月の色 上武 峰雪 一夜を初更(午後七時より九時)二更は午後九時より十一時と二時間毎に区切った時刻の呼称がある。掲句の五更は午前三時から五時の暁である。ほととぎすはこの頃飛びながら鳴くが、句はこの頃の耿々とした月の色を呈示して写生でほととぎすをクローズアップさせた。この作者は博識で語彙が豊富である。今九十三歳と白魚火では最高齢のグループの一人である。その作者がこのような秀句を見せてくれることは何とも嬉しい。 花散らす雨となりたる行宮址 後藤 政春 「花散らす雨」は花の雨より雨粒が大きくて冷たいような感じがする。行宮址は行幸のあった仮宮の標であろうが、吉野山で詠んだ拙句「行宮の十畳飛花を許しけり」とイメージが重なる。頭掲句のしらべは悲運の後醍醐を悼んでいるように思えてならない。 四捨五入せば七十歳木の芽和 横木はるみ 句稿欄のこの作者の年齢は六十六とある。四捨五入すれば確かに七十歳になるが、六十六と年齢欄に記入しながら「六十路」と詠んでいる者もある。「六十路」は六十歳だけのことなので年齢のサバを読んだと言われても仕方がない。掲句は「木の芽和」の季語を置いてさっぱりしているので面白い味が出た。 遺言書に署名捺印夏座敷 重岡 愛 遺書未だ寸伸ばしきて花八つ手 波郷 藤柄の袴の捌く五月場所 鈴木 順一 藤色の袴は立行司にのみ許されるのであろう。袴の色を呈示して行司を詠んだ句は余り目にしたことがなかったので、とても新鮮に思えた。 |
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禁無断転載 |