最終更新日(Update)'13.09.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 西田美木子 |
「忍野富士」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 小玉みづえ 、髙島 文江 ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
句会報 群馬白魚火会総会及び句会報 群馬白魚火会 篠原 庄治 |
句会報 白魚火東京句会 発足十か月 柏市 荻野 晃正 |
句会報 群馬白魚火原町支部 清水 春代 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 原 和子、鈴木百合子 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(江 別) 西田 美木子 |
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渾身の力出し切りつくつくし 鮎瀬 汀 新盆の母の遺影の瞳の笑ふ 今泉 早知 月赤し残暑といふも猛暑かな 滝見美代子 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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酷 暑 安食彰彦 見覚えのある夏帽子四拍手 湯沸の笛の乱るる酷暑かな 吾の部屋に酷暑を残し降りにけり 下校の児すぐシャツを脱ぐ夏旺ん 番犬の荒き息する酷暑かな 夏料理小さな梅の添へられて 江戸切子一箸づつの夏料理 胃カメラを呑めと云はるる雲の峰 梅雨見舞 青木華都子 丸四角ハングル文字の梅雨見舞 梅雨晴れ間ふる回転の洗濯機 お土産は夏限定のチマチョゴリ 蓮池に放たる二羽の家鴨の子 のど越しのつるりと涼しひやし飴 照り降りにかかはりなくて蓮咲けり 一人づつ渡る木の橋未草 ため池の水かきたてて雨蛙 銅 鐸 白岩敏秀 さくらんぼ遠まなざしをして含む 早乙女の歩幅の水輪生まれけり 根無草水のうねりを見せにけり 銅鐸は弥生のひびき濃紫陽花 青梅の一石年貢納めけり 合歓閉ぢて星の生まるる爆心地 荒縄にどくだみ束ね漢来る 空蝉の爪立てし幹濡れてをり 青 虎 杖 坂本タカ女 虫出しや神木樹齢四百年 鍵を模索す鞄八十八夜寒 恋猫やすつぽ抜けたる薄刃の柄 寢るまへに測る血圧亀鳴けり 錆つきし単線軌道青虎杖 捨榾に茸の生ゆる蝉の昼 蛇穴を出づる祠の南京錠 音もなく蛇の失せたる風騒ぐ ダム涼し 鈴木三都夫 河鹿鳴く応ふるとなく呼ぶとなく 河鹿鳴く幾度人と別れしか 廃屋へ朽ちし吊橋河鹿鳴く 鳴き渡る雨の晴間のほととぎす 水亭を池へ張り出す花菖蒲 方丈を寂と閉せし夏障子 滝の水落下の勢ひもて滾る 峰二つ割つて涼しきダムの水 |
古 簾 山根仙花 古簾吊し平凡といふ暮し 父の世の匂ひの沁みし籐寝椅子 ゆく雲の高さ泰山木の花 夏草の丈に溺れし野の仏 十薬の花浮き立ちて夕べ呼ぶ 畑仕事大好き大き麦稈帽 端居して思ひは遠きことばかり 蓮池の蓮の隙間を雲流れ 目高飼ふ 小浜史都女 大口をもてあます河馬梅雨の天 水無月の水の匂ひの蓴引く 風のほか音なかりけり田植すむ 父母も夫も知らざる目高飼ふ 野萱草いつぽん畦のかがやけり 飯にふる甘酢の匂ひ半夏生 きりもみに散つてくるなり合歓の花 手のひらにのせて冷たし夏椿 大歩危峡 小林梨花 またたびの花を左右に高速路 渓底の家の四五軒梅雨滂沱 目のくらむやうな断崖船遊び 床上げてふ船を吊り上げ出水川 蔓橋のかづら艶やか思ひ草 竹床を鳴らす平家の夏館 落ち合うて句会始まる鮎の宿 丸亀の団扇を賞に句会果つ 山 王 峠 鶴見一石子 株立ちのじやうじやう機嫌青田波 夏炉燃ゆ一刀彫りの自在鉤 夏富士の樹海に人の気のうごき 浄土平と云へど炎暑の竈めぐり 世界地図あらためて見る巴里祭 冷素麺晩年背中押されがち 万緑の山王といふ峠越ゆ けふを謝し明日への命夕端居 万 緑 渡邉春枝 近道の急勾配や夏あざみ ひと気なき昼間の団地梅熟す 万緑に沈みさうなる無人駅 紫陽花の色の定まる芙美子の忌 師の背を叩きて毛虫落しけり 噴水の飛沫に顔の濡るるまで 夏萩の風捉へては離しては 書きかけの文の上なるてんと虫 |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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天 道 虫 野口一秋 神橋を渡る日傘を躱しつつ 螢袋三十粍の雨の中 羅をまとふ五体の在り処かな 五色沼ピカソの青に染まる夏 予科練も天道虫も七つ星 十薬を刈りし匂ひの露地小路 風 涼 し 福村ミサ子 霊山は海霧の中なり三光鳥 枇杷熟るる燈台官舎いま茶房 天草干す表参道ややそれて 梅雨晴や鳶が卍を画きをり 峽谷にせり出す宿や鮎膾 風涼し湖をそびらに一都句碑 大茅の輪 松田千世子 踏ん張りしまま流れゆくあめんぼう 幕間があり田蛙のはたと止む 大茅の輪先づは宮居の風通す みくじ結ふ花橘の匂ひ立つ 人質の頃の家康花なつめ 南瓜蔓夜這の花を咲かせけり 頂上の一花 三島玉絵 番水のあはやに解かれ梅雨激し 草茂る崖響々と列車過ぐ 頂上の一花は神へ泰山木 風に錆び日に錆び泰山木の花 離農して住む百町の植田中 植田より上りし泥の足のあと 須磨離宮 今井星女 須磨涼し離宮の庭に青畝句碑 噴水は三段がまへ須磨離宮 童顔の敦盛像や須磨涼し 一つづつ名を違へたる薔薇の花 その中のアンネの薔薇に歩を止むる 惜しげなく薔薇の盛りを摘みとりぬ 梅雨晴間 織田美智子 旅信五月ばらの切手の美しく 庭先に鶺鴒の来し梅雨晴間 箸茶碗桶に沈めて濃紫陽花 梅雨晴間五人掛りの庭手入れ 小鳥来よ山桃の実のかく零れ 抱へ来し白百合胸を汚しけり |
浜 日 傘 笠原沢江 友引は僧の休日実梅取る 坪畑の茄子太らせて盆の牛 留守番の婆丸く寢る浜日傘 滝水の合うて音増す流れかな 絵袋を読み秋播きの種を選る 切幣を財布に納め夏祓ひ 大雪湧水 金田野歩女 夏のダム真白に吐きぬ放水路 踊り子草大雪湧水噛んで呑む お花畑傾斜の緩き遊歩道 昨日より雪渓細る大雪山 蔓手毬柱状節理の裳裾かな 朝の気を肺腑に落す滝仰ぎ 風 薫 る 上村 均 貸ボートきらめく波へ滑り出す 白南風の波垣高き河口かな 青芦や諸鳥遊ぶ洲の沈む 夏雲雀道一筋が野を劃す ハイカーが木の根に憩ふ時鳥 山寺を訪ふ人まれに栗の花 更科紀行日本橋 加茂都紀女 神木の緑蔭に入り地図開く 半夏生草縁切絵馬の文字滲む 日本橋へゴールインして暑気払ひ 天麩羅の熱熱盛りを納涼舟 水先提灯梅雨を点して屋形船 浅草の夜明けの鐘の梅雨ごもる 明 易 し 桐谷綾子 限りなく夫を偲べば明易し 卯の花のかくもはげしく散ることも 野花菖蒲水音さへも紫に 逢ふときも別るるときも髪洗ふ 姫春蝉の孵化を見つむる方丈も 富士山の五合目梅雨の明けにけり 忍 野 野沢建代 逆さ富士やすやす超ゆるあめんばう 老鶯の真つ直ぐ届く庵かな 一杓に喉ならして泉飲む 縁側から上る庵や夏の萩 朴の花少し離れて仰ぎけり 雪渓を池に写して忍野かな |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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小玉みづえ 舟小屋の舟の出払ふ麦の秋 髙島 文江 父の日のサッカーボール父へ蹴る |
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早乙女の結の顔ぶれ揃ひけり 塩壺の塩重くなる戻り梅雨 青梅雨の渡船に膝を濡らしけり 虹立てて毛野の国原天気雨 梅雨晴間手足のびのびしてをりぬ 舌打ちて寄する夏潮湖岸堤 夏帽の一団改札口を出づ 唐津湾落暉抱きて夕凪げる 梅雨の鬱銜へ煙草と擦れ違ふ 島に来て島々眺む夕焼かな 踊子草探す図鑑の湿りかな 手土産の丸亀うちは細身なる 長雨や吊玉葱の落ちし音 螢待つ水音暮れて来たりけり 遅咲きの桜を追つて小さき旅 |
福本 國愛 原 和子 飯塚比呂子 中村 國司 林 浩世 寺本 喜徳 村松 ヒサ 谷口 泰子 和田伊都美 友貞クニ子 大菅たか子 伊藤 政江 川本すみ江 佐藤陸前子 堀口 もと |
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鳥雲逍遥(8月号より) |
青木華都子 |
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行く春の薬膳料理浅みどり |
田村 萠尖 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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出 雲 原 和子
替へ靴をしのばす梅雨の旅鞄 群 馬 鈴木百合子 これよりは武蔵の国や麦の秋 |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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替へ靴をしのばす梅雨の旅鞄 原 和子 今年は梅雨明け前から猛暑が続いた。その頃作者ら島根の女流たちは徳島県の西端三好市に吟行旅行をしたようだ。この辺りは、吉野川が四国山脈を横断する唯一の所で瀞や激湍があちこちに見られる。吉野川の両岸は、切り立った崖で大歩危、小歩危という地名からも分るように険しいV字渓谷をなしている。 くれなゐの掛緒の遺墨沙羅の花 鈴木百合子 沙羅の花は夏椿のことだとどの歳時記も辞典にも書かれている。沙羅は樹高十米から三十米とあり見たことはない。山道を歩いていると白い小さな花びらを見ることがある。仰ぐとさるすべりのような樹肌の高木に花らしいものが見えるがよく分らない。姫沙羅だろうと思う。一方、園芸種であろうが、白妙の花弁に黄金色の蕊、樹高は五米程で花は一日で終る。落花も香り気品がある。夏椿といえばこの高雅な花を思う。 歩けると喜び合ひぬ茄子の花 後藤よし子 整形外科には色々の病因で脚、膝、腰や上肢の悪い患者で溢れている。作者は何処も悪くなく自由に歩ける。歩ける人と喜び合っている。歩けることは健康ということで長寿が約束されている。季語の「茄子の花」が絶妙である。 銀色を押し立て毛虫急ぎをり 牛尾 澄女 生えぶりのいたづらならぬ毛虫の毛一都 紀州五十五万石の青葉かな 塩野 昌治 紀州家は徳川三家の一。紀伊藩は紀伊水道を抑えた要衝で八代将軍吉宗はこの藩から出たことは知られる通り。この句は「紀州五十五万石の」迄一気に読み「青葉かな」と読み納めたい。紀州家の権勢を諾なった声調を「青葉かな」と生々とした景で結びたい。作者の意もそこにあったであろう。 病む夫へそろりそろりとうちは風 中西 晃子 闘病の夫は本復をめざして療養に務めている。介護の妻は身心を尽して本復を助けている。「そろりそろりとうちは風」が両者の気持を具象化した。一つ屋根の下に居てもこういう機会はあまりない。互に感謝していても言葉には出しにくいのだ。だが、掲句は素直に感謝の言葉や雑談が出て、しみじみと絆を思っている。 父の日の父なき父を子等描く 藤田 光代 もう二昔にもなろうか。全国児童俳句コンクールの一位になった |
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