最終更新日(Update)'13.12.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 野口 一秋 |
「踊下駄」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 佐藤 升子 、中山 雅史 ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
平成二十五年度 第二十一回 「みづうみ賞」 発表 |
句会報 「松江白魚火」句会 安達美和子 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 大村 泰子、内田 景子 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(宇都宮) 野 口 一 秋 |
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六つの花天為のかくも美しき 小林さつき 定年のことなど思ふ冬の蝶 檜垣 扁理 鶺鴒の近寄りさうで近寄らず 梶山 憲子 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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秋 安食彰彦 誰も居ぬ卓にメモあり水蜜桃 とれさうでとれぬ熟柿の透きとほる 老二人甘露の葡萄つまみつつ 隣りより貰ふ栗飯あたたかし 黄桃をいただきませう妻は留守 焼栗にしようか丹波栗貰ふ 秋鯖を三本さげて来たりけり 箸袋の裏に句を書く新走 韓国ソールタワー 青木華都子 渡らせてもらふ神橋青葉木菟 小刻みに揺るるリフトや野萱草 夜明け前もう咲いてゐる白牡丹 韓国へたつ早朝の二重虹 韓国へ続くこの空夏雲雀 キムチ壺転がしてある炎天下 見上ぐればソールタワーに虹の橋 対岸は北朝鮮や土用東風 塔 の 影 白岩敏秀 下校の子覗いてゆきぬ秋の川 吊されて無駄なき赤さ唐辛子 腰に巻くロープの湿り尾根の霧 鬼灯や婦警の屈む子の高さ 湖の紺深めて水の澄みにけり 萩咲いて仏へ続く奈良の路 斑鳩の秋日のつくる塔の影 冷やかな雨に音ある秋篠寺 秋の午後 坂本タカ女 黒豹の口中赫し秋暑し 見開きて寝まる雪豹秋の午後 蚤をとる猿新涼の毛並かな 秋立つや鬣ながく老いし馬 螺髪めく狛の尾美男葛かな 蝉時雨繁るにまかせ杜の樹樹 影とんでゐて秋蝶の見当らず 底紅や自由の好きな猫なりし 敬 老 日 鈴木三都夫 出し抜けに今朝久闊の鵙高音 月光に触れて穂を解く芒かな 海を出て茶山へかかる今日の月 名を変へて今宵居待の月見かな 又別の虫を加へて虫時雨 子蟷螂こころもとなき斧かざす 間引かれて命はかなき貝割菜 晩酌が一本増えて敬老日 |
小鳥来る 山根仙花 二葉菜の二葉よろけし影並ぶ 朝の日に露草露の色こぼす 妻へ研ぐ菜切包丁小鳥来る 山国の山の彼方を鳥渡る 酔うてゐる獅子舞の脚村祭 柿熟れて村の夕陽を集めをり 研ぎ上げし刃物を試す鵙の樹下 正座して見る貼り終へし障子かな 本丸御殿 小浜史都女 かりがねに鯱はねあげて鯱の門 鯱の門筑紫恋しの鳴くばかり 色変へぬ松本丸の長廊下 御書院も廊下も畳爽やけし 萩匂ふ佐賀の新式火縄銃 軍服に銃弾のあと秋寂ぶる 天守跡末枯れもまた美しき 雁渡る楠に沈みし沈み城 湖上の月 小林梨花 湖風のとどく寺領や花芒 結界に置かれし甕の水澄めり 鬼灯を飾る御堂のあかあかと 月見御膳作る作務衣の僧若し 名月のゆるりと昇る湖の上 月光に湖金色に輝けり 芋羊羹懐紙に包む月明り 被くものなき中天のけふの月 草 紅 葉 鶴見一石子 蹴轆轤の諸手に生るる壺さやか 燈火親しいつも手元に電子辞書 串刺しの橡餅ひさぐ猟の里 狩人の邑の落栗人見えぬ 薙顕粧ふ山の眩みゆく 烏瓜手繰り引き寄す獣みち 死の話すらすらできる秋野かな 硫黄噴く吾妻小富士の草紅葉 蛇 穴 に 渡邉春枝 水溜り大きく跳んで九月尽 蛇穴に入るや駅舎に槌の音 うすれゆく昭和の記憶鳥渡る 古書を捨て過去も捨てたり夜の長し 満月や捨てたる夢のよみがへり コスモスや締切りと言ふ枷いくつ 近道の公園抜くる後の月 爽やかやきのふと違ふ風に会ふ |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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天 高 し 富田郁子 天高し高原カフェに彫刻展 萩括り開拓村に人を見ず 延命水を汲む里の朝草雲雀 秋暑しトロッコ列車待てど来ず 爽やかに延命水汲む米寿かな 寡婦として迎ふる米寿や身にぞ入む す ず 虫 桧林ひろ子 夕食の座にすず虫の加はりし 灯の入りて庭の千草の露点る 群れ咲きて一茎一花曼珠沙華 今宵又月の名新た寢待月 敬老日空気のやうな二人かな 水引草先の先まで手を抜かず 豊 の 秋 武永江邨 字ごとに宮の森あり豊の秋 境内は昔の遊び場木の実落つ 山家みな一戸に一樹柿熟るる 決断へ到る熟柿を啜りけり 熟柿喰ふ峽の碧落濁りなし 二万歩を歩みなほ行く稲穂道 山 の 湯 桐谷綾子 山の湯はうすき塩味秋時雨 秘密箱色なき風に木地晒す 庵暮るる萩のそよぎのたをやかに 露草の千の瞳の花の色 水引草絆の一穂露光る 横笛を吹きゐる武者の菊人形 木 犀 関口都亦絵 木犀の香のふりそそぐ道の神 虚子旧居金木犀の香り立つ 敬老日口紅だけの身だしなみ 巫女ふたり萩の花屑掃き寄する 通院の夫助手席に萩の道 リハビリの手に転ばせる椿の実 秋 深 し 寺澤朝子 一人に風呂立つる贅あり月今宵 次々とヘリの飛び立つ良夜かな 路地てふは親しさびしと昼の虫 井戸残る一葉旧居秋深し 朝顔や賢治啄木住みし町 芸大の野外演奏銀杏の実 |
崩 れ 簗 野口一秋 狭庭にも蟲の宴の始まれり 相撲草蒲生神社の土俵潰ゆ 石大尽美男葛の垣根かな 一番湯妻に許して月今宵 簗崩れ水は自在をとりもどし 噴煙のますぐに那須の初紅葉 蕎麦の花 福村ミサ子 あはあはと沿線染むる蕎麦の花 御仏に今宵の月に絵らふそく 立枯れの樹を彩れる月夜茸 流木の龍と化したる十三夜 雨あとの空まつさらや新松子 岸遠く初鴨らしき屯して 稲を刈る 松田千世子 母になき齢を生きて稲を刈る 台風一過先づ蟷螂の跳び出せる 白露かなこんな処に忘れ鎌 新藁を詰め込む納屋の日の匂ひ 末の世の花とや背高泡立草 瀬の音に急かされながら草紅葉 登 り 窯 三島玉絵 秋天へ黒煙を噴く登り窯 陶片で埋むる轍草紅葉 ちちろ虫木箱に祀る窯の神 伏せて干す素焼の器秋日濃し 色鳥や女の使ふ絵付筆 責め焚きの炎噴き出す雁渡し 蟬 の 殻 今井星女 街中に蟬の楽園ありにけり 空蟬の穴指差してのぞきみる 爪の先まで精巧な蟬の殻 ハンカチにふはつと包む蟬の殻 蟬の殻土に戻して帰りけり トラピスト蟬の世界となりにけり 月 祀 る 織田美智子 ナイターの最終回の本塁打 昼近く咲く朝顔や蜑の路地 枯れきつてもう向日葵とは呼べず 渋滞の真只中の赤とんぼ 梨園の中に梨売る漢かな 月祀るかつて縁側広かりし |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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佐藤 升子 台風の圏内にゐて白湯を飲む 中山 雅史 落し水湖の青さに落しけり |
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波の間に光を零し月昇る 露草の露を零して花開く 赤とんぼ見しより空の美しく 雀らの拾ふ落穂となりにけり 思ひ切り距離を伸ばしてばつた翔ぶ 大鬼怒の鮎落ち果てし水の色 鮭骸婚姻色を残しをり 新涼の風を吹き込む火吹竹 魚影見せ塩入川として澄めり 墨を磨る音の滑らか秋澄めり 冬立つや丹頂鶴の羽ばたきに 快晴の空が耀く運動会 さらさらと木々の囁き秋の風 まとまらぬ会議終りぬ十七夜 流木に座して海見る秋思かな |
曽根すゞゑ 篠原 凉子 梶山 憲子 保木本さなえ 渡辺 晴峰 中村 國司 平間 純一 福嶋ふさ子 宮澤 薫 溝西 澄恵 五十嵐藤重 福間 静江 河島 美苑 中西 晃子 山崎てる子 |
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鳥雲逍遥(11月号より) |
青木華都子 |
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学生の遺作見し夜や星流る |
富田 郁子 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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浜 松 大村 泰子
小鳥来る星の形の砂糖菓子 唐 津 内田 景子 足音を忍ばせて秋来たりけり |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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大き石一つ外して水落す 大村 泰子 稲が熟れた頃を見計らって田の水を落し口から落す。水口や落し口にはコンクリートの落し蓋を上げ下げするものもあるが、掲句は昔ながらの大きい石を堰に使ったもの。石を斜めにして出口を狭くしたりもするが、今回は大きい石を外してしまったのでみるみる内に田の水が減り始めた。稲刈機が自在に動ける固さにするためだ、なつかしい景だ。同時掲載の 胸中を爽やかな風が吹き抜けるような一句。単純化が果されているのでしらべがよい。平易なことばで何の苦労もしなかったように見えるが、そこが技なのである。よく引き合いに出す 草の花夫婦二人の小商ひ 根本 敦子 作者は、オホーツクに近い所に住むので夫婦二人だけの小商いとは海産物の店を営んでいるのかもしれない。こういうコト俳句は季語が成否を決するといつも申しているが「草の花」がいい。大儲けもないが不自由のない暮しが想像できるからだ。 身に入むや雪隠にある刀掛け 西田 稔 東海道の旧本陣で畳を敷き詰めた雪隠を見たことがある。大名といえどもさぞ緊張したことであろう。掲句は家臣用のもので刀掛が用意されていた。帯刀のまま雪隠は使えないが、無防備の用便なので別の緊張が必要だった。 別れとはまた逢ふことやちちろ鳴く 高内 尚子 別れにも三年間の留学とか単身赴任の類の別れや死別など色々あるが、この句は季語からも、例えば句会が終った後「じゃあ、また来月ね」というような気楽な別れのような気がする。句は演歌のような打ち出しであるが仲間も選者も作者を知っているので「愉しい句」になった。 蔓たぐり俄に軽くなりにけり 牧沢 純江 南瓜畑の蔓たぐりをしていると俄かに引く手が軽くなった。見落しの南瓜があって、これが蔓から外れたのだろうと思ったが果してそうであった。決して小さくはない南瓜だったので何となく丸儲けをしたような気になった。 三世代ゴルフを競ふ敬老日 渡辺 晴峰 作者の年齢は八十二歳であるので、子、孫と三世代がゴルフを楽しんでいる。何れも健康であることが至福。季語から、あるいはパークゴルフかもしれぬがそれは問題でない。一家睦じいのが羨しい。 反橋をのそりと牡鹿渡り来し 石川 寿樹 安芸の宮島であろう。一匹の牡鹿がのそりと橋を渡ってきて目が合った。明らかに餌を求める目であった。宮島は鹿が殖えに殖え、どの家も鹿除け垣を施している。まるで鹿の大群の中に人々がひっそり暮らしている様だ。観光客の無配慮と餌売り商人のせいである。動物とよい関係で共生することに真剣に取組まねばならぬ。 封印に代る一文字秋ふかし 鈴木百合子 封書の封じ目に「封」と書いたり斜線を引いたり○を付すことは本人以外開封してはならぬという意志表示である。箱に錠の代りに紐で縛っても中の物を取るなという意志表示。 |
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