最終更新日(update) 2020.04.01 | |||||||||||||||
|
|
|||||||||||
句会報(H17-18)へ | 句会報(H19-20)へ | ||||||||||
句会報(H21-22)へ | 句会報(H23)へ | ||||||||||
句会報(H24)へ | 句会報(H25)へ | ||||||||||
句会報(H26)へ | 句会報(H27)へ | ||||||||||
句会報(H28)へ | 句会報(H29)へ | ||||||||||
句会報(H30)へ | 句会報(H31)へ | ||||||||||
|
|||||||||||
|
令和2年1月号掲載 句会報 |
坑道句会十月例会記 |
竹元 抽彩 |
|
令和2年1月号へ |
|
全国各地で猛威をふるった台風十九号も、神在月に入る出雲には幸い被害はなかった。
令和元年十月二十一日(月)午前十時から、坑道句会年間計画のとおり出雲市平田町愛宕山公園の古川師句碑辺を吟行した。早いもので、師の逝去から満十九年半になる。毎年一回は吟行地としているが、令和になり初めての参集である。 当日の天候は雨の心配のない曇りで、気温二十度、心地よい微風もあって、懐かしさの蘇る「晩じる」の句碑辺を句帳を手に深秋の景を探索した。 句会場は古川師邸の隣家、湯谷川を前にした「味彩さかもと」。午前十一時三十分集合、投句五句、締切は十二時。 吟行を終えた者から会場に入り、和気藹々と再会を喜び合った。会場の窓から湯谷川に飛来した初鴨に句帳を開く者もいた。 会食後句会、当日の参加者は二十名。平素より少なかったが、白魚火全国大会が一週間後に迫って、気合十分の句会となった。 句会は十句選、選者は他に特選五句。句会は盛会裏に終了し、午後四時散会した。 選者特選句、当日の高得点句及び参加者の当日の一句は以下のとおり。 安食 彰彦特選 名を知らぬ虫に聞き入る余生かな 荒木千都江 気に入りのおしやれ着につく盗人萩 福間 弘子 草の花摘むやまま子の尻ぬぐひ 久家 希世 草の露揺るれば小さく光りをり 原 和子 白鳥の一羽は淋し池は藻に 山根 恒子 荒木 千都江特選 やがて地に還る落葉や句碑に降る 西村 松子 句碑の辺の黙を解きたる秋の声 渡部美知子 初もみぢ晩じるの句碑明るうす 樋野美保子 句碑の道秋の足音したがへり 榎並 妙子 師の句碑の背にさやぐ竹の春 竹元 抽彩 久家 希世特選 気に入りのおしやれ着につく盗人萩 福間 弘子 秋うららよく啼く山羊の細面 原 和子 美しき紐かと思ふ穴惑 生馬 明子 秋明菊を枯山水の灯りとす 西村 松子 爽籟をふと古川師の声かとも 渡部 幸子 竹元 抽彩特選 晩じるの句碑に虫の音鳥の声 福間 弘子 一声を湖に落として鴫翔てり 土江 比露 句碑の辺の黙を解きたる秋の声 渡部美知子 小鳥鳴く中を黄帽子赤帽子 渡部美知子 やまびこは園児の声や秋の山 大菅たか子 西村 松子特選 晩じるの句碑に虫の音鳥の声 福間 弘子 田仕舞の藁焚く匂ひ夕暮るる 土江 比露 秋気澄む「晩じる」の句碑泰然と 原 和子 五百号記念の句碑へ新松子 生馬 明子 庭園の秋明菊の白映えて 井原 栄子 渡部 美知子特選 秋うららよく啼く山羊の細面 原 和子 五百号記念の句碑へ新松子 生馬 明子 ひと山に園児の声や秋うらら 大菅たか子 爽籟や城跡に聞く街の声 三原 白鴉 一声を湖に落として鴫翔てり 土江 比露 三原 白鴉特選 水かきを張りつめ秋の草を踏む 山本 絹子 一声を湖に落として鴫翔てり 土江 比露 美しき紐かと思ふ穴惑 生馬 明子 秋うららよく啼く山羊の細面 原 和子 色鳥の声専らなり師の句碑辺 竹元 抽彩 渡部 幸子特選 秋明菊を枯山水の灯りとす 西村 松子 五百号記念の句碑へ新松子 生馬 明子 秋深し鵠は池の辺にごろ寝 竹元 抽彩 蔵元の徳利に飾る式部の実 三原 白鴉 旅伏嶺の稜線高く鳥渡る 福間 弘子 当日の高得点句 七点 一声を湖に落として鴫翔てり 土江 比露 秋蝶のひかりを零す旧本陣 西村 松子 六点 秋明菊を枯山水の灯りとす 西村 松子 気に入りのおしやれ着につく盗人萩 福間 弘子 旅伏嶺の稜線高く鳥渡る 福間 弘子 当日の一句抄(氏名五十音順) 句碑を守る裸木五本枝を張る 安食 彰彦 名を知らぬ虫に聞き入る余生かな 荒木千都江 泡立草雲州平田を明るうす 生馬 明子 句碑の辺にひらりひらりと秋の蝶 井原 栄子 藪中の祠ひつそり石蕗明かり 榎並 妙子 やまびこは園児の声や秋の山 大菅たか子 山の池水面を埋めて菱紅葉 川谷 文江 十月桜神名備山を遠景に 木村 以佐 いよいよの紅葉に染まる句碑愛しむ 久家 希世 色鳥の声専らなり師の句碑辺 竹元 抽彩 一声を湖に落として鴫翔てり 土江 比露 行く秋の赤松の秀に雲触るる 西村 松子 残る虫朝のしじまを細く鳴く 原 和子 初もみぢ晩じるの句碑明るうす 樋野美保子 気に入りのおしやれ着につく盗人萩 福間 弘子 閉店を告ぐる貼紙地虫鳴く 三原 白鴉 白鳥の一羽は淋し池は藻に 山根 恒子 水かきを張りつめ秋の草を踏む 山本 絹子 倒伏の旅伏野小白鳥和む 渡部 幸子 湯谷川の水面躍らせ鴨十羽 渡部美知子 |
古川句碑 |
|
|
令和2年1月号掲載 句会報 |
栃木白魚火忘年俳句大会 |
上松 陽子 |
|
令和2年1月号へ |
|
県木の栃の木がすっかり葉を落とした十二月一日(日)、栃木白魚火忘年俳句大会が開催された。宇都宮中央生涯学習センターを会場に、当季雑詠五句出句、十句選で行なわれ、二十四名の参加であった。司会は、中村國司さん。星田一草会長の挨拶の後、句会に入った。参加者の協力、運営スタッフの淀みない作業で、清記、選句、披講、結果発表と順調に進み、表彰式があった。上位入賞者はもとより飛び賞、ブービー賞まで担当者の優しい心遣いの賞品が授与された。最後に会長の講評、記念撮影で句会は終了。
忘年会も同日、開催された。句会場からほど近いホテル丸治まで移動。ここは、令和元年白魚火秋季鍛錬会の会場となったホテルである。進行係は、五十嵐藤重さん。十七名の参加者が、和気藹々と楽しい時をすごした。栃木白魚火、いまたか句会の創立当時のエピソードも紹介され、西本一都、橋田一青先生の功績なども話題になった。来年もまた楽しく、研鑚しあえる句会が開催できることを願って散会、イルミネーションの街を横目に帰路についた。 当日の一句(作者名は五十音順) 蒼天に稜線しかと雪浅間 阿部 晴江 医学部に追試の掲示冬桜 五十嵐藤重 命日やははの好みしふかし芋 石岡ヒロ子 大綿の光と遊ぶ余生かな 今井 佳子 背伸びして園児の詰むる落葉籠 上松 陽子 虎落笛裸灯の点る木工所 江連 江女 冬の芽のふくらみ赤きバラ籬 大野 静枝 晴天に初冠雪の奥白根山 加茂都紀女 鴨の水尾風と織り成す幾何模様 菊池 まゆ 上出来と大根ぶら下げ兄来る 熊倉 一彦 遠くより自販機光る十二月 齋藤 都 やはらかな日を包み込む枯野かな 佐藤 淑子 縁台の野菜のとなり日向ぼこ 杉山 和美 冬薔薇一途に真紅とどめをり 髙島 文江 大株の芭蕉ばさらと枯れにけり 鷹羽 克子 落葉時雨まとひて訪ぬ美術館 田所 ハル 粧ひを風に吹かせて山眠る 中村 國司 生まれきて死ぬる幸せ冬銀河 中村 早苗 一枚の葉のやうにゐる冬の蝶 星 揚子 棘固く鎧ひて薔薇は冬に入る 星田 一草 針に糸通してもらふ一葉忌 松本 光子 冬もみぢ茶釜小さき音立つる 本倉 裕子 菊誉めて教訓ひとつ宣教師 谷田部シツイ 残照に色を放てり冬紅葉 渡辺 加代 |
|
|
令和2年2月号掲載 句会報 |
一泊忘年吟行句会 広島白魚火俳句会 |
中村 義一 |
|
令和2年2月号へ |
|
今年の一泊忘年吟行句会は、十一月二十七日(水)、二十八日(木)、岡山県備前市及び瀬戸内市を吟行地に開催された。参加者は二十名。
一日目、八時にマイクロバスにて西条出発、曇天も備前市に入る頃には良くなり、二時間半で特別史跡閑谷学校に到着。閑谷学校は江戸時代前期創建の庶民のための公立学校で、現存するものでは世界最古である。静寂の中に端正な旧閑谷学校講堂があり、丸い石塀は独特の景観を醸す。聖廟前の二本の楷の大木は落葉していた。ここの卒業生と言われるガイドに案内して頂いた。高齢とは思えぬしっかりした口調であった。ここで一時間半滞在後、本日の宿泊先でもある岡山いこいの村に移動した。レストランで、瀬戸内の島や牡蠣筏の浮かぶ海を眺めながら昼食の釜飯に舌鼓を打つ。三句出句で十四時三十分から句会。 十八時から忘年宴会。奥田積さんの開会挨拶、続く渡邊春枝さんによる乾杯、旬の料理を味わいながら、吉田美鈴さんのハーモニカ演奏や参会者のカラオケ、吉田博子さんのオカリナ演奏など出し物が続き、あっという間の二時間であった。最後に全員が輪になってオカリナの伴奏で「瀬戸の花嫁」を合唱し閉会。 二日目、八時二十分に宿を出発、竹久夢二生家を訪問、夢二が生まれ育った家屋や所蔵作品展示室などを見る。その後移動して、瀬戸内の美しい景色で「日本のエーゲ海」と呼ばれる瀬戸内市牛窓町に入る。異国の文化が伝わる古い港町しおまち唐琴通りを吟行。小雨模様の中ではあったが、散策マップを手に江戸時代の道幅のままの狭い通りを、往時の面影の建造物などを巡る。 その後再び、岡山いこいの村に移動して昼食。三句出句で、十三時三十分から句会。 句会終了・休憩後、宿を後にする。天気も回復し、トンネルを抜ける度に全山冬紅葉を目の当たりに、車中今回の吟行句会を振り返りながら帰広。十八時半に西条に無事帰着した。 一句抄(氏名五十音順) 火襷のタイル東司に冬もみぢ 池森二三子 御茶屋窓の裸電球花八ツ手 石原 幸子 芝枯れて三百年の石築地 大隈ひろみ 楷紅葉素読の声の堂に満つ 奥田 積 時雨るるやミナトキネマの古看板 加藤三恵子 閑谷に買ふ論語のみくじ冬日影 神田 弘子 楷の木の樹齢百年冬ぬくし 佐々木智枝子 町並みの黒板塀や花八手 中村 義一 石壁のまろき手ざはり冬日和 挾間 敏子 潮の香と落葉の音や海難碑 原田 妙子 マフラーを取りて一礼閑谷校 葊川 惠子 菊の香や夢二の女首細き 古家美智子 石蕗の花焼板塀の続く町 溝西 澄恵 聖堂の静寂に障子明りかな 源 伸枝 孔子廟に楷の木二本冬ざるる 門前 峯子 出格子の続く小路や冬日濃し 吉田 博子 岸壁に釣果を問へり冬かもめ 吉田 美鈴 孔子廟落葉しぐれの中に立つ 渡邊 春枝 北風吹くや路地に車の魚売 山口 和恵 鈍色の瀬戸の海石や冬かもめ 森田 陽 |
|
|
令和2年2月号掲載 句会報 |
令和元年栃木県白魚火会 第二回鍛錬吟行会 |
加茂 都紀女 |
|
令和2年2月号へ |
|
関東平野に雲ひとつ無い快晴となった十一月十日(日)、本年度二回目の県白魚火鍛錬吟行会が二十名参加のもと、県南方面を吟行地として実施された。
最初に明治二十二年建造という、野木町赤煉瓦焼窯を訪ねた。ガイドさん二名が我々を待っていて下さり、初冬の青空に映えたホフマン式輪窯と煙突は堂々として美しかった。 次にバスは小山市に移動し間々田八幡宮へ、創建は天平年間(平将門乱の戦勝祝)藤原秀郷寄進、源頼朝手植の松、松尾芭蕉句碑等見所一杯、その他毎年五月の奇祭「ジヤガマイタ」の謂れと写真が飾られた神池には、紅葉の下を鴨の群が悠々と游ぎ、時間を忘れるほど。出発!の声に次の小山氏墓所の天翁院へ移動、本堂から聞こえる木魚と読経に迎えられて、累代の五輪塔と宝篋印塔は冬桜の下に、ひっそりと並びその奥は濠と土塁が残されていた。最後の吟行地祇園城址(平安時代守護神として祇園社を奉祀したことが名の由来)、今は土塁や堀等遺構がそのまま保存され広大な城山公園となっていた。 十二時を過ぎたので歩いて近くの思川へ、事務局の用意してくれた豪華な弁当を手に、好きな所へ腰を下ろして昼食―。 小春日や焼肉弁当完食す 朝七時出発、下野の自然と文化・歴史を学習し、堪能出来た吟行であった。 午後一時三十分、駅ビル六階の句会場へ―恒例となった「十句出句、十五句選、内特選二句」。短冊が集められ、即二百句の清記コピーが全員の手元に…。句会係の手際よさに驚きながら、選句は真剣そのもの。三時間の句会が終了。帰りのバスの中で星田会長と加茂の講評があり、日本晴の中有意義な日帰り吟行が終わった。 星田一草 特選 煉瓦窯明治遙けし小六月 田所 ハル メタセコイヤの並木真つ直ぐ冬に入る 菊池 まゆ 柴山要作 特選 投炭孔の蓋の丸みに冬日射 杉山 和美 煉瓦窯煙突高し秋高し 星田 一草 星 揚子 特選 回廊のぴたりと閉まる障子かな 渡辺 加代 累々と積みしレンガの冬の色 田所 ハル 松本光子 特選 葉も茎も痩せて大輪冬薔薇 中村 國司 一握りほどの零余子を土産とす 星 揚子 中村國司 特選 褄を取る右手に父の手七五三 秋葉 咲女 切り岸を搦手として秋澄めり 柴山 要作 加茂都紀女 特選 冬ざくら小山城主の墓ひそと 松本 光子 煉瓦窯の耐震パイプ黒の冷え 上松 陽子 一句抄 (氏名五十音順) 粉炭孔の蓋のずれより秋の声 秋葉 咲女 頼朝の手植ゑの松の新松子 阿部 晴江 こども園名札大きく菊小鉢 石岡ヒロ子 空堀の高き土塁や落葉踏む 上松 陽子 冬もみぢいろのまだらな煉瓦窯 大野 静枝 メタセコイヤの並木真つ直ぐ冬に入る 菊池 まゆ 才媛は力も自慢冬ぬくし 熊倉 一彦 切り岸を搦手として秋澄めり 柴山 要作 輪窯なる十六の孔小六月 杉山 和美 無患子降る寺や城主の墓所 鷹羽 克子 煉瓦窯明治遙けし小六月 田所 ハル 菊展の作者ばら組さくら組 中村 國司 六地蔵の顔みな違ふ花八手 中村 早苗 冬晴や寺院のやうな煉瓦窯 星 揚子 阿も吽も笑ふ狛犬秋うらら 星田 一草 冬ざくら小山城主の墓ひそと 松本 光子 冬ぬくし時に向き合ふ番鴨 本倉 裕子 古井戸に蓋しつかりと石蕗の花 谷田部シツイ 大屋根に輝く寺紋冬桜 渡辺 加代 煉瓦窯に入る初冬のヘルメット 加茂都紀女 |
|
|
令和2年2月号掲載 句会報 |
群馬白魚火会 祝賀忘年句会報 |
遠坂 耕筰 |
|
令和2年2月号へ |
|
令和元年十一月二十五日、渋川市の小野上温泉に於いて、祝賀句会及び忘年会が行われました。参加は二十四名でした。祝賀会では、令和元年度白魚火同人に推薦された次の四名の方が紹介されました。(敬称略)
青栁一誠 篠原 亮 関仙治郎 山口悦夫 引き続き句会となり、当季雑詠五句投句の五句選、披講の後得点上位七位までに賞品が渡されました。また、鳥雲同人及び新同人から特選句に短冊が贈呈され、最後に金井秀穂鳥雲同人より講評をいただき句会を終了しました。 篠原 庄治 特選 炊き上がる湯気の香ばし今年米 水出もとめ 金井 秀穂 特選 揺り起す根株に芋の子踊り出る 篠原 庄治 関口都亦絵 特選 間がもてずタバコ取り出す冬座敷 竹渕 秋生 奥木 温子 特選 木枯や風怒らせて唸らせて 篠﨑吾都美 鈴木百合子 特選 山の名で牧場よばれ冬深し 篠原 亮 飯塚比呂子 特選 折鶴の千羽を目差し夜なべかな 竹内 芳子 篠原 亮 特選 抱かれて胸の幼子マスクして 篠﨑吾都美 山口 悦夫 特選 綿虫の付かず離れず道案内 仙田美名代 青栁 一誠 特選 身に入むや故郷まるごとダムの底 水出もとめ 関 仙治郎 特選 影正し初冠雪の浅間山 飯塚比呂子 得点上位五句 雪吊の縄の遊びに影遊び 鈴木百合子 落葉掃く僧の作務衣の朽葉いろ 遠坂 耕筰 み仏はなべて福耳鵙日和 水出もとめ 溶岩原に風の笛生む冬浅間 関口都亦絵 大根の恵みの土を洗いけり 遠坂 耕筰 一句抄 野反湖の湖面に浮かぶ草紅葉 青栁 一誠 小さき手にふつと吹きやる雪ぼたる 飯塚比呂子 衣被酒の肴に母語る 岩﨑 昌子 浅間嶺に残る夕日や枯尾花 荻原 富江 色鳥の声をかぎりに霧襖 奥木 温子 弧を描く鳶冬空を独り占め 金井 秀穂 木枯や風怒らせて唸らせて 篠﨑吾都美 句談義の何時尽きるやら温め酒 篠原 庄治 山の名で牧場よばれ冬深し 篠原 亮 雲の上に雲の重なる冬日和 清水 春代 初雪や今朝の浅間の薄化粧 関 定由 小雪や白き奥山県境 関 仙治郎 猿追の空砲響く霜の朝 関本都留子 綿虫の付かず離れず道案内 仙田美名代 茄子の実の付きたるままに霜枯れぬ 高橋 見城 折鶴の千羽を目差し夜なべかな 竹内 芳子 陽が昇りかたづけごとや霜日和 竹渕 秋生 一柱の神を真中に山眠る 福嶋ふさ子 やはらかな小春の風を胸に受け 八下田善水 奥四万の湖に柔ら日冬に入る 山口 悦夫 |
|
|
令和2年3月号掲載 句会報 |
栃木白魚火新春俳句大会 |
熊倉 一彦 |
|
令和2年3月号へ |
|
令和二年一月十二日、宇都宮市中央生涯学習センターに於いて二十六名の参加者で栃木白魚火新春俳句大会が開催されました。
星田会長より新年のご挨拶と松本光子さんより新加入の齋藤英子さんの紹介がありました。続いて星田一草、柴山要作のお二人が曙同人に、中村國司さんが鳥雲同人に推薦されたことの御祝の花束贈呈がありました。続いて句会が開催されました。 句会は、五句出句で七句選(うち特選一句)、役員・曙・鳥雲同人は十句選(うち特選二句)で行なわれました。句会終了後は総合成績、特選賞の表彰を行い最高の盛上がりの中散会となりました。 選者特選句及び参加者の今日の一句は、次の通りです。 星田 一草特選 〇きらきらとピアスの揺るる初詣 髙島 文江 目標の年まで生きて大福茶 江連 江女 加茂 都紀女特選 着ぶくれてポケットにある探し物 松本 光子 〇折鶴の中に飴玉初句会 江連 江女 齋藤 都特選 田に畑に光あまねく淑気かな 高橋 裕子 〇読初の花の歳時記花図鑑 中村 早苗 柴山 要作特選 〇笑顔のみ応ふる母の御慶かな 高橋 裕子 〇一病をかこちて古希の七日粥 中村 國司 星 揚子特選 〇おもちや箱元に戻して初箒 谷田部シツイ 胃に落ちて命大事に寒の水 髙島 文江 松本 光子特選 〇生き甲斐は随筆と添へ賀状書く 齋藤 英子 〇初春の香煙に伸ぶもみぢの手 上松 陽子 中村 國司特選 〇読初の花の歳時記花図鑑 中村 早苗 〇綿飴に夢のふくらむ初詣 今井 佳子 阿部 晴江特選 冬うらら亀ありつたけ首伸ばす 星田 一草 春待つや大きく開く舞扇 上松 陽子 秋葉 咲女特選 〇三カ日いつも濡れ手の寺の嫁 加茂都紀女 妣の手の温もり今も除夜詣 柴山 要作 大野 静枝特選 〇新暦月の予定が埋まるなり 石岡ヒロ子 初男体荒薙いよよ耀へり 柴山 要作 田原 桂子特選 相老ひて健やかなりし年の暮 渡辺 加代 〇朝の陽をみごとに返す初山河 佐藤 淑子 (〇は今日の一句) 今日の一句 初笑ひ司会のうまき子に釣られ 星田 一草 山鳩のくぐもり鳴ける初景色 齋藤 都 添へ書に力を得たり年賀状 柴山 要作 補聴器を見せ合うてゐる初句会 星 揚子 いつの間に背丈越されし初写真 松本 光子 藁の端長押に反れる注連飾 秋葉 咲女 初釜の滾りて香る桜炭 阿部 晴江 初釜や正客の師は九十歳 大野 静枝 初富士や富士見穴てふ遠眼鏡 熊倉 一彦 お茶菓子が机の端に初句会 杉山 和美 夜廻りの鐘緩慢に四辻行く 田所 ハル 寒晴や石の窓持つ石の蔵 田原 桂子 新成人ゆるりとゆくや女坂 本倉 裕子 清潭を抱く神橋雪真白 渡辺 加代 |
|
|
令和2年3月号掲載 句会報 |
坑道句会十二月例会記 |
金築 暮尼子 |
|
令和2年3月号へ |
|
朝から四温光の降り注ぐ素晴らしい天気に恵まれた令和元年十二月十六日(月)、坑道句会十二月例会は、宍道湖の一望できる「宍道湖グリーンパーク」を吟行し、開催された。此処は宍道湖西岸の出雲市園町に平成八年に開園した公園で、観察舎を中心に樹林、散策路や観察池などが整備されている。整備主体は、自然環境の保全を目指して設立された公益財団法人「ホシザキグリーン財団」である。近くには、汽水をメインテーマにした体験学習型水族館「宍道湖自然館ゴビウス」、本格的スケート場「湖遊館」がある。
駐車場から昨年四月にリニューアルオープンした「野鳥観察舎」へと散策路を向かう私たちを、朝降った霜が宝石のように輝き、迎えてくれた。 野鳥観察舎へつくと、早速句会場として提供していただいた新しい「レクチャールーム」でグリーンパークの専門指導員から施設の概要等についてお話を聞いた後、二階の「体験フロア」に上がり、望遠鏡での野鳥観察の術を教わり、小鴨、鶚、川鵜、田鳧等の様子を代わる代わる観察した。 その後、湖岸に下り指導員の方の解説に耳を傾けながら、湖の縞模様の波に触れ、冬草の赤の愛おしさに触れ、裸木の力に触れ、もちろん可愛らしい仕草を見せてくれる水鳥は言うに及ばず、湖の向こうに輝く大山、軽快な音の蜆舟、湖岸を行く一畑電車等々に心躍らせた。 そうしてあっという間に句会本番の時間も迫り、句会場へと戻って、数多の句材を前に皆真剣に作句に没頭。出句締切りの十二時までに全員五句を出句し、会食後いよいよ句会へ。 当日の参加者は、年末のせいかいつもより少し寂しい二十名であったが、天気にもたくさんの句材にも恵まれ、多くの佳句が生まれた。句会は、選者六名の方々は特選三句、並選十句を、一般参加者は十句を選句した。 師走の終日の晴天に感謝し、皆「大山を湖を眺めて年惜しむ」(たか子)の心持ちで、午後四時散会した。 選者特選句、当日の高得点句及び参加者の当日の一句は以下のとおり。 安食 彰彦特選 ひたすらに鴨の行方を見てゐたり 榎並 妙子 着膨れて湖の渚に小半時 竹元 抽彩 細波を揺り籠にして浮寝鳥 今津 保 湖眺め鳥をながめて納句座 大菅たか子 蜆舟の引くや冬日の濃くなりぬ 渡部美知子 久家 希世特選 冬の湖そそぐ光に響き合ふ 金築暮尼子 望遠鏡の引き寄せてゐる冬の蝶 三原 白鴉 冬凪や大き輪を描く漁舟 三原 白鴉 きらめけり猟船の水脈鴨のみを 原 和子 湖眺め鳥をながめて納句座 大菅たか子 竹元 抽彩特選 冬の湖そそぐ光に響き合ふ 金築暮尼子 群青の海や番の鴨乗せて 今津 保 水鳥の光の粒となる水面 渡部美知子 足裏に野路の冬草柔らかし 井原 栄子 岸に来て畳むささ波浮寝鳥 三原 白鴉 渡部美知子特選 鴨の名を教はる湖畔遠大山 生馬 明子 麦の芽や斐川野をゆく一輌車 井原 栄子 冬凪や大き輪を描く漁舟 三原 白鴉 細波を揺り籠にして浮寝鳥 今津 保 枯葦や水に光りて揺れもせず 金築暮尼子 三原 白鴉特選 水鳥の光の粒となる水面 渡部美知子 鴨の陣四方へ散らしぬ戻り船 渡部 幸子 ひたすらに鴨の行方を見てゐたり 榎並 妙子 群青の海や番の鴨乗せて 今津 保 双眼鏡のぞけば蒲団干す二軒 渡部美知子 渡部 幸子特選 細波を揺り籠にして浮寝鳥 今津 保 麦の芽や斐川野をゆく一輌車 井原 栄子 笹鳴きや河口に広き空のあり 小林 永雄 宍道湖の隅にぬき足冬の鷺 福間 弘子 きら波を散らして冬の鰡飛べり 福間 弘子 当日の高得点句 十点 水鳥の光の粒となる水面 渡部美知子 笹鳴きや河口に広き空のあり 小林 永雄 九点 宍道湖の杭の一本みさごの座 安食 彰彦 八点 湖眺め鳥をながめて納句座 大菅たか子 しらしらと宍道湖凪げり霜の花 渡部美知子 七点 寝釈迦山をぐいと引き寄せ冬木立 渡部美知子 当日の一句抄(氏名五十音順) 宍道湖の杭の一本みさごの座 安食 彰彦 えらさうに胸張る河鵜羽ひろぐ 生馬 明子 足裏に野路の冬草柔らかし 井原 栄子 細波を揺り籠にして浮寝鳥 今津 保 ひたすらに鴨の行方を見てゐたり 榎並 妙子 湖眺め鳥をながめて納句座 大菅たか子 冬の湖そそぐ光に響き合ふ 金築暮尼子 貫乳音聞こえてきさう冬田かな 久家 希世 笹鳴きや河口に広き空のあり 小林 永雄 青空や笹鳴き聞こゆ葦の原 杉原 栄子 着膨れて湖の渚に小半時 竹元 抽彩 鴨一群思ひおもひの水脈の向き 原 和子 きら波を散らして冬の鰡飛べり 福間 弘子 岸に来て畳むささ波浮寝鳥 三原 白鴉 望遠鏡設へ覗く冬の句座 山根 恒子 おだやかな湖をのぞみて笹子鳴く 山本 絹子 代わる代わる田鳧追ひたる遠眼鏡 渡部 幸子 双眼鏡のぞけば蒲団干す二軒 渡部美知子 |
|
|
令和2年4月号掲載 句会報 |
旭川白魚火「新年句会」 |
淺井まこと |
|
令和2年4月号へ |
|
一月十八日(土)、季節はもう春かと思うほどの暖かい日差しの元、旭川白魚火の新年句会が催されました。
当初は坂本タカ女先生が入居されているグループホームでの開催予定でしたが、ホームにノロウイルスが発生したために急遽会場を変更、タカ女先生も外出禁止となり不参加となってしまいました。久しぶりに会えることを楽しみにしていたのですが・・。とかくこの世はままならぬと、実感した令和二年の初句会となりました。 私事ですが、昨年七月に入籍したのですが新年会にしか会えない大作佳範さんからお祝いとしてアップルパイを頂きました。この場を借りてお礼申しあげます。また、急な会場の変更にも関わらず当日の準備や連絡をして下さった皆さんお疲れ様でした。 新年句会は、賑やかに昼食の食事会から始まりました。その中で二十代の富樫春奈さんが白魚火に入会されたとの報告がありました。春奈さんはテレビの「プレバト」を見て、独学で俳句を学び、個人で「旭川市民俳句大会」に飛び込み、そこで吉川紀子さんに誘われ白魚火に入会されました。春奈さんと初めて会う方も多いということで自己紹介の場が設けられました。北見の金田野歩女先生、鷹栖から二名、旭川から十四名の総勢十七名。投句は三桁の一〇六句!(不在投句二名)。新年句会ということでおめでたい句が揃いました。その中で、小林布佐子さんの句「恵方とは師がすこやかに住むところ」が突出して票を集めました。 残念ながら参加できなかったタカ女先生を思う気持ちは、皆同じでした。私もタカ女先生に「良い句よ!」と言って頂くのが無性に嬉しかったものです。なぜ俳句を始めたのか、なぜ俳句を続けているのか、自分にとっての俳句というものをそれぞれの心で考えたように思います。人と鑑賞し合うことで句の味わいは何倍にもなります。人との繋がりの場である句会の良さを改めて感じた新年句会となりました。 一句抄 霧華咲き儚き夢のごとく散り 平間 純一 雪晴やどの枝も纏ふ雪の紐 金田野歩女 世話役の行き届きたる初句会 萩原 峯子 かく晴れてよりゆるびなき寒昴 吉川 紀子 こつちこつちと十日戎の人の波 小林さつき 初暦画鋲は同じ穴に刺し 大作 佳範 どんど焼たやすく燃ゆるお札かな 今泉 早知 どんど燃ゆ輪の中にゐる顔見知り 石川 純子 大寒や香炉にさせる燐寸棒 沼澤 敏美 数の子を噛む音を噛む夢を噛む 中村 公春 陣を敷き一意専心寝正月 淺井まこと 読初は圧力鍋の説明書 淺井ゆうこ 刺されさうなり故郷の大寒波 三浦香都子 皿触るる音に目覚むる大旦 小林布佐子 袢纏を背負ふ焚火のもみ手かな 山羽 法子 宝石の山積もるごと雪積もる 富樫 春奈 分厚いのに替へる俎板年用意 山田 敬子 初みくじ大吉揃ひて気が漫ろ 伝法谷恭子 青畳双六広げ昭和かな 西中 裕一 |
|
|
令和2年5月号掲載 句会報 |
坑道句会二月例会記 |
小澤 哲世 |
|
令和2年5月号へ |
|
二月二十四日(月)、令和元年度最後の坑道句会が十六島湾周辺を吟行地に、JA島根北浜店を句会場として開催された。
前日来の雨はやみ、十六島湾は青々と輝き、北山山地に林立する二十六基の発電風車群のうち、湾から見える十数基の大風車がゆったりと陽光を弾きながら回る絶好の吟行日和。二十八名の参加者は、会場に着くと早速三々五々浜辺や防波堤、風車公園などを吟行した。 出句はいつものとおり五句で、締切りは十二時。十一時過ぎには殆んどの者が句会場に帰り、出句時刻までそれぞれ推敲や選句に取り組み、全員の出句後会食となった。 句会は、午後一時から。一般選は十句、選者選は特選五句、入選十句で行われた。 選者特選句、高得点句及び参加者の当日の一句は、以下のとおり。 安食 彰彦特選 海苔島は海光の中二月尽 井原 栄子 春をよぶドレミ奏でる波よする 福間 弘子 黒鯛を攩網で掬ひし釣天狗 船木 淑子 春めくやみな柔らかき物の影 荒木千都江 木の芽風竿売りの声流れ行く 榎並 妙子 久家 希世特選 海苔を干す海女のいつもの浜言葉 安食 彰彦 道端の蒲公英に日の降り注ぐ 今津 保 明日雨になるかもしれず木の芽晴 安食 彰彦 切り通し越す白梅と日本海 船木 淑子 正文忌坑道句会見えますか 渡部 幸子 荒木千都江特選 群青を展べてさゆらぐ春の海 渡部美知子 ひたひたと春の足音きく渚 渡部 幸子 梅凛と薄くれなゐの風渡る 金築暮尼子 飛んでくる潮の香りや春浅し 渡部美知子 天敵の声を遠くに地虫出づ 渡部美知子 竹元 抽彩特選 春めくやみな柔らかき物の影 荒木千都江 海苔を干す隣は浜の駐在所 安食 彰彦 祝日の校舎にチャイム春の風 三原 白鴉 如月の藻草の匂ふ風にあふ 久家 希世 春の波音符の如く浜に寄す 今津 保 渡部美知子特選 祝日の校舎にチャイム春の風 三原 白鴉 師の眠る山に一礼いぬふぐり 大菅たか子 春光や風車ゆるりと日を反す 竹元 抽彩 浦の春竿竹売の来てゐたる 原 和子 海苔島は海光の中二月尽 井原 栄子 三原 白鴉特選 如月の藻草の匂ふ風にあふ 久家 希世 海苔島は海光の中二月尽 井原 栄子 春ですよ囁くやうに波の音 樋野久美子 正文忌坑道句会見えますか 渡部 幸子 海苔を干す隣は浜の駐在所 安食 彰彦 渡部 幸子特選 春を待つ磯馴れの松は上り竜 樋野久美子 たぷたぷと小舟腹打つ春の風 三原 白鴉 早春の風まだ硬き日本海 竹元 抽彩 沸々と色湧き出づる春の山 金築暮尼子 のどかさに風を忘れし風車かな 船木 淑子 当日の高得点句 十点 釣糸をとばす反り身や春そこに 荒木千都江 九点 正文忌坑道句会見えますか 渡部 幸子 群青を展べてさゆらぐ春の海 渡部美知子 八点 春めくやみな柔らかき物の影 荒木千都江 春ですよ囁くやうに波の音 樋野久美子 潮風や慈母観音にすみれ咲く 樋野美保子 たぷたぷと小舟腹打つ春の風 三原 白鴉 七点 海苔を干す隣は浜の駐在所 安食 彰彦 師の眠る山に一礼いぬふぐり 大菅たか子 春光や風車ゆるりと日を反す 竹元 抽彩 当日の一句抄(氏名五十音順) 海苔を干す海女のいつもの浜言葉 安食 彰彦 釣糸をとばす反り身や春そこに 荒木千都江 定置網ゆらす風あり春の色 生馬 明子 海苔島は海光の中二月尽 井原 栄子 浜風も潮の匂ひも二月かな 今津 保 木の芽風竿売りの声流れ行く 榎並 妙子 師の眠る山に一礼いぬふぐり 大菅たか子 水温む小川で野菜洗ひをり 落合 武子 梅凛と薄くれなゐの風渡る 金築暮尼子 忠霊碑に寄り添ふ桜芽吹きをり 川谷 文江 如月の藻草の匂ふ風にあふ 久家 希世 鳴り渡る出船の汽笛春霞 小澤 哲世 灯台のはるかに見えて木々芽吹く 小林 永雄 声落とし一湾巡る春の海猫 杉原 栄子 十六島湾を隈取る春の波 竹元 抽彩 碑によく日の当たり百千鳥 原 和子 春ですよ囁くやうに波の音 樋野久美子 若葉風ソーラーパネルの陽の温み 樋野タカ子 潮風や慈母観音にすみれ咲く 樋野美保子 春凪に干さるる魚の透けてをり 福間 弘子 のどけしや港江の釣天狗どち 船木 淑子 こぞり立つ辛夷の苞に日の溢れ 牧野 邦子 揚げ舟に匂ふ魚の香海猫渡る 三原 白鴉 草青む浜一面のメガソーラー 山根 恒子 起き上りこぼしのやうな春の浮き 山本 絹子 正文忌坑道句会見えますか 渡部 幸子 戻りくる一舟春の波蹴立て 渡部美知子 句会終了後、令和元年度及び過去三か年の皆勤賞のご褒美が授与された。 令和元年度皆勤賞 安食彰彦、大菅たか子、久家希世、 竹元抽彩、山根恒子、渡部幸子 三年間皆勤賞 安食彰彦、山根恒子 ささやかなご褒美ではあったが、皆んなの拍手に会場が和んだ。 最後に、幹事から「二〇二〇年度坑道句会のしおり」が配付され、新年度の吟行計画が発表された。この「しおり」は、句会場、集合場所や時刻その他の吟行句会ならではの細かい通知事項を整理して、各自が一年間の吟行句会の計画を把握できるよう幹事によって作成されたもの。しおりは、一年分の投句用紙、清記用紙、選句用紙などの用紙類や吟行地のパンフレットの入った封筒に貼り付けられており、とても便利なものである。 しおりに書かれた新年度の吟行地に思いを馳せつつ帰路についた。 |
|
|
令和2年5月号掲載 句会報 |
出雲俳句大会 |
白魚火社 安食彰彦 |
|
令和2年5月号へ |
|
四月二十六日のこの俳句大会に参加する人が主宰を含めて九十人となりました。
こんなに大勢集まるのは初めてであります。ぜひ催行したいと思っておりましたが、新型コロナウィルスが日本中で増えており、また、高齢者が感染すると危険であることから、残念ではありますが中止することといたしました。参加者は、一人三句ずつ出句されており、選句の方は主宰をはじめ曙・鳥雲同人の選をすでにいただいておりますので、ここに選者の選を発表し、出雲俳句大会を終了させていただきます。 白岩 敏秀特選 風花や石垣ゆるぎなき城址 岡 あさ乃 墓じまひの便りありけり盆の月 生馬 明子 探梅や野川に渡す板の橋 牧野 邦子 成人の子をまん中に初写真 杉原 栄子 うすらひのゆるびそめたる空の色 荒木千都江 白岩 敏秀選 津に遺る鼻ぐり岩や春の潮 松崎 勝 窯跡に残る煉瓦や草青む 藤原 益世 潮待ちの漁師の顔に風花す 樋野美保子 低きより一つづつ消え吊し柿 佐藤 あき 動かざる寒鮒釣りの小舟かな 木村 以佐 早春の高きに鳥の声重ね 金築暮尼子 丹の橋を戻り鍋焼啜りけり 朝日 幸子 湯豆腐や少しの酒に酔うてをり 三原 白鴉 引く波を追うてゆきたる桜貝 渡部美知子 魚干せば鰭より乾く枯岬 西村 松子 切干のちりちり縮む浦の風 ⻆田 和子 円卓に上下はなし女正月 原 和子 待春や風にしたがふ風見鶏 野田 弘子 花筏当りさはりの無き会話 足立智恵子 小寒の廊下に検査結果待つ 三島 明美 こつこつと時計が急ぐ春炬燵 小村 絹代 父の背に眠りて帰る七五三 青木 敏子 玉砂利の音小気味よき初詣 森脇 和惠 息災は時に退屈春炬燵 竹元 抽彩 海苔を掻くいま引き波の岩場かな 岡 あさ乃 安食 彰彦選 居眠りの耳にとまりし冬の蠅 岡 久子 座蒲団の先客は猫冬座敷 藤江 喨子 握らるる限りを握り鬼は外 渡部美知子 寒の水に浸けたる餅の白きこと 庄司八千枝 通学路そつと手に取る初氷 児玉 祥平 荒木千都江選 蠟梅の輝きのまま落つかをり 荒木 悦子 引く波を追うてゆきたる桜貝 渡部美知子 落椿水に遊ばれ流れけり 土江 比露 花の雨愛しき風情ありしかな 竹元 抽彩 春夕焼雲に落暉の余情かな 竹元 抽彩 生馬 明子選 幼子を呼べば小春の鳩の中 藤江 喨子 新しき靴に履き替へ青き踏む 中林 延子 輪飾を掛け終へ厨にひとり酌む 寺本 喜徳 いぬふぐり試歩の夫より渡さるる 西村 松子 どんど火の夜空に弾け海へとぶ 土江 比露 池田都瑠女選 岩壁の空に張りある寒の明け 森山 啓子 針祭る握り鋏は妣のもの 中林 延子 花筏当りさはりの無き会話 足立智恵子 ふと思ふ余生いくばく毛糸選る 岸 寿美 春めくや会ひにゆきたき人のゐて 安部 育子 岡 あさ乃選 窯跡に残る煉瓦や草青む 藤原 益世 荒磯の波蹴散らして海苔を摘む 樋野美保子 ていねいに針さす刺繍日脚伸ぶ 原 和子 寒海苔や波また波の中に摘む 小澤 哲世 海苔を掻く小柄な母の大きな手 生馬 明子 小村 絹代選 折鶴に折り込む春の光かな 船木 淑子 斐川野の吹き出す麦の青さかな 金築暮尼子 待春や風にしたがふ風見鶏 野田 弘子 山彦となりてとんどの触れ太鼓 原 みさ 日の辻や北帰ととのふ雁は野に 久家 希世 久家 希世選 雨の日の雨と遊びて若菜摘む 江⻆トモ子 折鶴に折り込む春の光かな 船木 淑子 書初や第一画に墨あふる 川谷 文江 冬うらら命宿ると報せ受く 三島 明美 濃紺のスーツ新調草青む 清水あゆこ 竹元 抽彩選 飛び移る鳥をあらはに冬木立 郷原 和子 防波堤ひと飲みにして冬怒濤 川谷 文江 引く波を追うてゆきたる桜貝 渡部美知子 浚渫の川底透ける寒の明け 原 みさ 見ゆることなかりし先師稲の花 生馬 明子 寺本 喜徳選 野火放つ猛れば人の声猛り 川本すみ江 魚干せば鰭より乾く枯岬 西村 松子 切干のちりちり縮む浦の風 ⻆田 和子 頬杖の羅漢もおはす梅日和 安部実知子 冬うらら命宿ると報せ受く 三島 明美 西村 松子選 折鶴に折り込む春の光かな 船木 淑子 荒磯の波蹴散らして海苔を摘む 樋野美保子 春潮の差して夕映織り始む 寺本 喜徳 古代蓮太古の風を纏ひけり 持田 伸恵 風花や石垣ゆるぎなき城址 岡 あさ乃 原 みさ選 夕映や風引き連れて椋鳥の群 牧野 邦子 窯跡に残る煉瓦や草青む 藤原 益世 切干のちりちり縮む浦の風 ⻆田 和子 藍染の風にさらされ柳絮飛ぶ 妹尾 福子 待春や風にしたがふ風見鶏 野田 弘子 三原 白鴉選 色変へぬ松やいくさの傷の跡 大菅 喬子 来し方を我が影をほめ十三夜 勝部アサ子 針祭る握り鋏は妣のもの 中林 延子 息災は時に退屈春炬燵 竹元 抽彩 風花や石垣ゆるぎなき城址 岡 あさ乃 渡部美知子選 夕映や風引き連れて椋鳥の群 牧野 邦子 早梅や暮色はそつと摺り足で 渡部 幸子 魚干せば鰭より乾く枯岬 西村 松子 山彦となりてとんどの触れ太鼓 原 みさ 息揃へ若きらの舁くとんど竹 佐藤 康治 |
|
無断転載を禁じます |