最終更新日(update) 2017.11.01 |
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平成29年2月号掲載 句会報 |
白魚火坑道句会再開 |
渡部 幸子 |
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仁尾正文先生の追悼句会以来途絶え、淋しく感じておりました坑道句会の再開の話が持ち上がったのは確か文化の日のことでした。突然の電話の朗報に藁をも掴む嬉しさ。話はとんとん拍子に進み、先ずは主宰にお伺いしたところ、都合をつけて下さる旨の連絡。私達は期待に胸踊らせて喜び合いました。 何分と高齢の私達に何を以って皆様方をお迎えしようかと迷いましたが、吟行袋に役立つことを願って、自分達で縫える小袋を作ることに決めました。様々の端切れ、余り布を繋ぎ合わせて、色とりどりの紐を通しながら、句友との絆を深めようとの案が浮かびました。その袋を歓迎の長寿袋と名付けることにしました。又、当日の句会へ十六島の有志より新海苔の差し入れが有り、当日馳走にお出しすることにしました。有志のお方、欠席の方々より句会へ金一封をいただくなど心温まる心遣いに支えられ、温もりのある句会となることを念じました。 十二月二日金曜日。待望の坑道句会の当日を迎えました。昨日の雨は何処へやら、冬晴れの好天に恵まれて、私達の句会を祝福するかに青空に鳶の笛が聞こえて参ります。北浜句会・JA北浜の十余名は早朝より出掛けて心を一つに準備にかかりました。色とりどりの袋が机上に並べられ、歓迎を色取って呉れました。午前十時、日本海一望の大玻璃を持つ海の宿へ三十二名の出席者を迎えました。久し振りの再会に手を取り合ってよろこぶ姿が見られ、会場にはほのぼのとした触れ合いの輪が広がって、笑いの輪が溢れるほどでした。やがて白岩主宰の御到着になり、しばし鳴り止まぬ拍手で出迎えました。 健やかな主宰の御臨席を仰ぎながら素晴しい句会が開催されました。最初に進行係の原和子様より御丁寧な御挨拶があり、当日の行程につきねんごろな説明と注意事項をお聞きしました。そして御指名により北浜句会の渡部が両句会を代表して、不馴れにも拘わらず歓迎の挨拶をさせていただくことになりました。 小林梨花先生を失った私達に、色々と御心配と励ましの言葉をいただきましたことと白岩主宰、仙花先生、安食編集長、編集部の皆様方そしてこの会を再開するに当たって日々御尽力いただきました原和子様始め皆々様に心より御礼申し上げると共に今後の御指導をお願い申し上げ、挨拶に替えさせていただきました。そして主宰を囲んで記念の集合写真が撮られました。 その後それぞれに吟行に出掛けることになりました。外に出れば北山連峰には風車十基が眩しく光を回し、南方には国引岬が優雅な姿を横たえて、山襞には坑道句会の生みの親の仁尾先生の魂の眠る鉱山の山並がまるで友禅のごと美しく彩どり、改めて仁尾先生をお偲び致しました。 歳月の移り変りを振り返る時、高齢化により坑道句会が小林梨花先生へバトンタッチなされて幾年、私達北浜とJA北浜がお手伝いを重ね、お世話させていただき、楽しい句会が続きました。その間大勢の俳人の吟行の場として親しまれ、心豊かな触れ合いが生まれましたこと、今になって走馬灯のように甦って参ります。小林先生の突然の御逝去によって皆様とお会いする機会を失い、増々縁遠くなるばかりでしたが、今日この日を迎えることが出来ましたこと、私達一同喜びに浸って居ります。泉下の仁尾先生、小林先生もきっとおよろこびの事と存じます。 吟行の道すがら主宰と歩を合わせ、綿虫のこと、ひつじ穂、あやとり等、季語の不安なのをお尋ねしながら、和やかに心暖まるひとときでした。それぞれの吟行を終え、佳句をふところに満足した笑顔で戻られました。やがて昼食の時間。弁当の外に差し入れの新海苔のお吸物に舌鼓しながら、行程のとおり十二時半出句。一般は出句五句、選句五句、白岩主宰には出来るだけ多くの選句していただきました。山根仙花先生、安食編集長、武永江邨先生、三島玉絵先生には特選五句を選んでいただきました。披講には西村松子様と渡部美知子様をお願いし、てきぱきした澄み渡るお声に耳を澄まし、名乗りの返事が飛びました。先生方には懐しいお声でユーモア溢れる選句発表をしていただき、とても和やかな雰囲気でした。白岩主宰には特選句だけでなく入選句の評も伺うことが出来ましたこと誠に感謝致しました。白岩主宰の特選句六句には御褒美が準備されて居り、緊張の中にも楽しい和気藹々の勉強会でした。閉会の時間ぎりぎり迄先生にお尋ねしたりして、散会を惜しみながら、坑道句会の再会をお約束して帰路に着きました。 白岩主宰特選六句 当日一句抄 |
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平成29年2月号掲載 句会報 |
栃木白魚火忘年句会報 |
小林 久子 |
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十二月四日(日曜日)栃木白魚火の忘年句会が、宇都宮中央生涯学習センターで、二十二名が参加して開かれました。 折りしも午前中、リオ五輪とパラリンピックの県勢選手の祝賀パレードが、市役所と県庁を結ぶシンボルロードで行われ、沿道は祝福する人々で賑わいました。 十二時半から、宇都宮支部長中村國司さんの司会により、鶴見一石子会長の挨拶を頂戴し、星田一草副会長より、投句・選句の説明を受けました。 投句は五句、選句は七句(曙・鳥雲作家は十句、うち特選三句)、披講は、中村國司さんと松本光子さんで進められ、成績は本倉裕子さんから発表されました。 上位入賞者には賞品が授与され、特選句を中心に選評を頂き、最後に中村國司さんにより、記念撮影を行い予定通りの時間に終了されました。 その後、席を移して例年通り割烹伊勢佐岐にて忘年会のひと時を過ごし、今年の活動を労い散会となりました。 当日の特選句と今日の一句は、次の通りです。 無鑑査同人特選句 星田一草選 加茂都紀女選 柴山要作選 齋藤 都選 宇賀神尚雄選 星 揚子選 松本光子選 今日の一句(五十音順) 二十二名 |
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平成29年2月号掲載 句会報 |
東京・栃木白魚火有志吟行俳句会報 |
中村 國司 |
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白魚火東京大会の折り、地理的に近い者同士が一緒に吟行しようとの機運が生まれ、今年七月に東京白魚火の萩原一志さんと企画して巣鴨周辺吟行会を催した。この時は句会場の定員という事情もあって、東京からは寺澤朝子先生をはじめ八名、栃木の有志は六名の参加だった。 酷暑の中ではあったが、寺澤先生の謦咳にふれた栃木の若手たちは、そのひとつひとつの言葉に深く感動している様子であり、それがとても印象的であった。 今回の十一月三日は、その「返し」と云う訳ではないのだが、紅葉の佳い季節であることから、日光市の田母沢御用邸で合同の吟行会を催すこととなった。 吟行のコースは、日光駅から徒歩で神橋・太郎杉・二社一寺(東照宮・輪王寺・二荒神社)へ進み、湯葉料理の昼食後さらに西へ進んで釈迦堂(妙道院)の「殉死の墓」へ、最後に御用邸内を見学し、その邸内で句会を催す、というもの。駅から駅まで約七時間だが、その割に濃厚な吟行会となった。 参加者は萩原一志さんをはじめ県外から八名。県内からは星田一草先生など十四名、合計二十二名であった。わけても三重県から檜林弘一さんのご参加にはみな感動した。 日光駅の再会から、宇都宮駅近(ちか)餃子屋での別れまで、たてよこななめに豊かな交流の輪ができた。 「今日の一句」集(作者名は五十音順) |
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平成29年3月号掲載 句会報 |
旭川白魚火忘年・新年句会 |
沼澤 敏美 |
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今年の北海道は、八月の台風の連続上陸による水害被害、旭川では十月下旬のどか雪が根雪となり冬に突入するなどの天候異変です。喜ばしいことは、日本ハム日本一、コンサドーレのJ1昇格です。 十二月十七日に、旭川白魚火忘年句会を、旭川市内某所で催しました。今回は、札幌から三名(奥野津矢子、西田美木子、佐藤琴美)の参加があり十四名での忘年句会でした。 句会は、五句投句、選句・選評の後、「忘年会」に移りました。宴は、札幌からの参加も相まって和気藹々と進み、恒例となった山菜(竹の子・蕗・蕨・銀杏)が景品の阿弥陀籖です。景品が当たると歓声が沸き楽しく居心地の良い忘年会もお開きとなりました。二次会は、男四人でカラオケを楽しみました。 当日の各自詠句は、次のとおりです。 曇りなき眼をして仔牛冬ざるる 坂本タカ女 狐桶狸桶とや寒造り 平間 純一 枯葎座禅解きたるひざがしら 奥野津矢子 人の世の甘さ辛さや葛湯吹く 西田美木子 カーテンは開けておきましよ雪あかり 佐藤 琴美 鉄橋の軋みに咳をこぼしけり 小林布佐子 球子画く富士山真つ赤外は雪 吉川 紀子 隙間風家が呼吸をしてをりぬ 萩原 峯子 わからないから面白い冬の句会かな 山田 敬子 獣たち寒満月の宴かな 中村 公春 熱燗や猫を相手のひとり酒 今泉 早知 じやれ合うてをる虎の仔の雪まみれ 石川 純子 ばら色の人生何処ピアフの忌 望月よし生 冬の月鉈目するどき円空仏 沼澤 敏美 旭川白魚火新年句会は、一月九日(成人の日)、新人一名も加わり十二名の出席を得て市内のホテルで開催されました。句会は、はじめに平間さんより出句、選句の注意事項があり、各自五句出句、七句選。坂本タカ女会長、平間純一特選、普通選自由で始まり、一時間ほどの選句の後、萩原峯子さんの披講により進められました。平間純一、坂本タカ女普通選、特選の発表があり、坂本タカ女特選三句には、会長直筆の短冊の賞品が授与されました。 坂本タカ女会長の新年を迎えてのご挨拶、会長から指名の会で一番若手の下吉まことさんの祝杯で懇親会の運びとなりました。懇親会は、着物姿の出席者もおられ華やいだ雰囲気のなかお酒も加わり、多弁となる選評もあり、和気藹々のなか会は進みました。会の最後に中村公春さんの「一本締め」で終了の運び、二次会へ。 当日の各自詠句は、次のとおりです。煤逃げの口笛二階降りてくる坂本タカ女 初日の出空と海とのすき間から 平間 純一 寒四郎少しつまづく自動ドア 小林布佐子 蒲鉾を一切れ猫のお正月 小林さつき 煤逃げの口上聞けぬ一周忌 吉川 紀子 全容を見する大雪山淑気満つ 萩原 峯子 初仕事初笑ひから始まれり 大作 佳範 濃き墨の賀状の一句恩師より 中村 公春 雪晴や兎の足跡けんけんぱ 今泉 早知 塩狩の峠の木々や雪の塊 望月よし生 牡蠣食へば大人になつたと母の言ふ 下吉まこと 廃線の駅に機関車雪しまく 沼澤 敏美 互選一位(十点) 初笑ひ母在るかぎり母囲み 小林布佐子 互選二位(七点) みすずかる信濃の銘菓初点前 小林布佐子 互選三位(七点) 寝て起きて軽くつまんで三が日 下吉まこと |
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平成29年3月号掲載 句会報 |
浜松白魚火初生句会 |
松本 義久 |
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毎月一回の句会は通常第四土曜日十三時より初生北公会堂で行っておりますが、十二月は例年通り句会と忘年会を、十七日(土)に初生中集会所で行いました。句会は午前十時開始、事前に五句投句をまとめられた句稿より五句選(例月は七句選)で披講を終えた後、渥美絹代先生より肌理細かな添削と選評をいただきました。 続いて、表彰の前に句集「仏恩」を上梓した佐藤陸前子さんへお祝いの花束贈呈を行い、句会渥美先生特選上位五名に先生の短冊を、以下特選に賞品授与があり、十四時近くに句会を終了し、忘年会に移りました。 川上征夫さんの詩吟により、特選一、二位 仏壇を磨き今年も終りけり水島 光江 冬麗や小学校の兎小屋徳増眞由美 の両者を称え、祝したあとなごやかな宴となりました。数々の歌の披露の最後に全員輪になって、亡き仁尾正文先生の十八番だった「ともだち」を合唱して先生を偲び終了しました。 特選句 仏壇を磨き今年も終りけり 水島 光江 冬麗や小学校の兎小屋 徳増眞由美 冬晴れの一と日峠の祠神 間渕 うめ 酒蔵を巡りていつか時雨けり 徳増眞由美 近々とゆふづつの出て狐罠 中山 雅史 さみどりの藁の香れる注連作り 福田 勇 おだやかな日和となりぬ枇杷の花 仁尾智恵子 冬桜をりをり鳥の声よぎる 安澤 啓子 十二月造花ばかりの歯科の窓 間渕 うめ 足元に暮色の迫る雪ばんば 早川 俊久 貼る札はお犬さまなり雪となる 坪井 幸子 庭によく鳥の来る日や神迎 坂田 吉康 蔵書印少し傾ぶく寒夜かな 佐藤陸前子 手の甲に綿虫林業試験場 渥美 尚作 軒下に獲物吊るせる狩の宿 松本 義久 |
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平成29年4月号掲載 句会報 |
栃木白魚火新春句会 |
江連 江女 |
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この冬一番の寒さが宇都宮を襲う中、平成二十九年一月十五日、二十五名の出席者により新春句会が開催されました。 はじめに、鶴見会長の挨拶があり、句会係の方への労い、会員皆さんの健康を願うお話がありました。 句会は、出句五句、選句は会員が七句選(うち特選一句)、役員・鳥雲同人は十句選(うち特選二句)、で行い、披講は松本光子さん、成績発表は熊倉一彦さんが担当しました。又、五十嵐藤重さんが第二句集「山揚げ」を上梓されましたので、会長より栃木白魚火のお祝いの花束を盛大な拍手の中贈呈しました。 最後に鶴見会長と星田副会長の選評があり、大変勉強になりました。いつもの様に皆さんの明るい集合写真を撮り散会となりました。 役員・鳥雲集同人の特選(○は今日の一句) 星揚子特選 |
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平成29年5月号掲載 句会報 |
函館白魚火会新鋭賞受賞お祝会 |
森 淳子 |
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春の訪れを告げる蕗の薹が咲き始めた三月四日、平成二十九年度新鋭賞を受賞された富田倫代さんのお祝会を出席者十三名により湯の川温泉にて開催いたしました。 函館白魚火会代表今井星女さんよりお祝の言葉及自筆の色紙が渡されました。 「女医として俳人として菊の宴」本人にぴったりの句です。 六年前同じく新鋭賞を受賞した西川玲子さんより会員を代表して花束が贈呈されました。 富田倫代さんは受賞の喜びに頬を染め、微笑みながらの挨拶に出席者一同大きな拍手を送りました。 余興には、山越ケイ子さんの格調高い詩吟、加藤大詞さんの朗々たる歌曲。お二人の歌声にうっとりと聴き入りました。 宴も佳境に入り、出席者一同による「函館賛歌」を広瀬むつきさんの指揮のもと元気に歌い、最後は最高齢の佐久間ちよのさんの乾杯の発声により終了いたしました。 その後三月例会を行い、今井星女代表の選評をいただき有意義な時間を過ごしました。 会員の一句を掲載いたします。 (作者名は五十音順)不在投句一名 黒点をちりばめしごと鳥帰る 今井 星女 |
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平成29年6月号掲載 句会報 |
高森町「松源寺」吟行句会句会報 |
大澤のり子 |
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平成29年6月号へ |
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浜松の渥美絹代先生から「飯田で吟行句会を行いたい」との便りに、経験のない私共は期待と戸惑いの中、「松源寺」と「松岡城跡」を吟行地に選び当日(三月十九日)を待ちました。 春の訪れの遅い信州も句会当日は薄い春霞に包まれ風も穏やかで、南アルプスの山々も望むことができました。 戦国の時代、織田軍の焼き討ちに遭った松岡城の跡を守り続けてきた松源寺は、NHK大河ドラマ「女城主直虎」の主人公である直虎の許嫁、井伊家の御曹司「亀之丞」が匿われた寺で今脚光を浴びています。交通の便の無かった昔からあった浜松との縁でしょうか、現在の住職様も浜松の出身で、私共を歓迎して下さいました。また北原みどりさんが当寺の檀家で、万全の橋渡しをしてくれました。 句会は浜松・名古屋・中津川・諏訪・飯田から三十九名の参加で、村上尚子先生を始め四名の先生方の選句と選評をお聞きすることが出来ました。最後に弓場忠義様より全国大会へのお誘いを頂き句会終了となりました。皆様飯田へのエールを有難うございました。 村上尚子特選 |
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平成29年6月号掲載 句会報 |
坑道句会その後 |
福間 弘子 |
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平成29年6月号へ |
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昨年十二月二日に再開した坑道句会は、第二回目を四月五日、眼前に十六島湾、背に山を負う出雲市河下町の中屋旅館で、二十六名の参加を得て開催しました。句会は、出句七句、代表者選は、特選山根仙花九句、その他五句、入選十句、会員は十五句選で行いました。 選者は、山根仙花先生、安食彰彦先生、武永江邨さん、三島玉絵さん、森山暢子さん、荒木千都江さん、久家希世さん、渡部幸子さんの八名。披講は、西村松子さん、渡部美知子さんで進められました。 中屋の前には、春夏秋冬天候によって姿を変える十六島湾があり、西方面の鰐渕地区の谷川を遡ると、故仁尾正文先生の勤務していらした鰐渕鉱山や社宅の跡、他の谷には小さな田畑や茶畑等人々の暮しがみえます。東方面の北浜地区には、出雲風土記に記されている「許豆神社」五社が今も大切に残されています。郷土歴史研究家の藤岡大拙先生は、「そのままの形で残されているのはこの土地に住む人々の信仰心の賜物、敬意を抱く」と語っておられます。 そして新しい景観として、山に海岸に学校に植えられた二千本の桜があります。 故小林梨花先生は北浜公民館主事としてこの事業に携わられ、この桜への思いは一入であったと思われます。その思いを平成二十八年六月号「曙・鳥雲集同人特別作品」に遺されました。この度の坑道句会も二時間余りの吟行の後、句会がはじまりました。 坑道句会ではたびたび中屋を宿として句会があります。それは、いつ来ても小さな感動があるからです。昭和鉱業(鰐渕鉱山)の社内報に端を発せられた坑道句会が六十年近く続いているのは、この地に立ってみると分かる気がします。 二十九年四月坑道句会 当日一句抄 |
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平成29年6月号掲載 句会報 |
足利學校・鑁阿寺、お花見吟行会 |
中村 國司 |
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平成29年6月号へ |
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東京白魚火会の皆さんとの合同吟行会に味を占めたと言う訳ではないが、地勢的にお隣同士である群馬の皆さんとの交流も面白いだろうと、予てお話したことのある鈴木百合子さん、天野幸尖さんに声をかけたところ、お二人がきわめて乗り気であったので話はとんとん拍子に進み、新たな枠組みの合同吟行会の実現となった。 折角の機会なので安食編集長に白岩主宰のご招聘を相談したところ、「是非よろしく」との快(こころよ)いご返事をいただき、この企画は幸先よくスタートしたのである。 日取りはご多忙な白岩主宰の日程と調整して先ず決まった。 吟行場所は、群馬方面の皆さん、東京方面の皆さんとの移動距離がほとんど同じである栃木県足利市が最適であろうとの判断で決めさせていただいた。 句会場は、多勢で利用できること、吟行地からの移動に便利であることなどを考慮して、足利學校入口の「足利まちなか遊学館」を探し出して決めた。ここは駅から徒歩十分余り、足利學校まで一分、鑁阿寺まで三分という至便の立地。遠くから集まって吟行し、休憩・昼食・句会をするには、それも日帰りでするには絶好の場所と思われたのだ。 昼食の時間を主宰と白魚火会員の交流に活用したいので、「遊学館」に弁当を取り寄せ、皆で同じ食事を摂りながらひと時を楽しむこととした。 以上の準備を済ませてご案内したところ、最終的に三十七名の参加申込があり、主宰も前泊されてのご参加が決まり、また、文學の森社から取材で遠藤理恵氏のご参加が、さらに鑁阿寺から一切経の拝観も許され、いよいよ本番の日を迎えた。 当日の天候は晴れ。風は微風。桜はおよそ三分咲き。絶好の吟行日和であった。吟行地の見どころや固有名詞については末尾に解説を付すこととして、まずは当日の作品からお楽しみいただきたい。 白岩敏秀主宰詠 白岩敏秀主宰特選 今日の一句(作者名五十音順) 出句総数は百八十五句。主宰は二十句選。他は十句選。出句から清記・選句・三百八十句の披講・講評までを約四時間でスムーズに終われたのは白魚火の底力というものであろう。 皆さんそれぞれ好成績だったが、最高点句は新人の上松陽子さんの「水温む人の影呑む鯉の口」、十一点であった。次の十点句は、主宰選一位の篠原庄治さん「鳥の恋ゆるす古刹の大甍」、新人の熊倉一彦さん「膝小僧並ぶ縁側あたたかし」、ベテランの松本光子さん「竹秋の古井に水の音を聞き」。次の九点句は竹内芳子さんの挨拶句「はるかより師を迎へたる花の中」、主宰選三位の中村句「花三分青空七分大甍」。八点句は主宰選四位の飯塚比呂子さんの句「経堂の暗さを出でて花仰ぐ」。七点句は星揚子さんの「石畳きれいに掃かれ花の寺」であった。六点句以下も佳句揃いだが、ここでは略する。 句会後の懇親会は大半の方が参加され、電車の時間を気にしながらも、主宰との貴重な時間を堪能されていた。帰路、天野幸尖さんからのメールに、来年は是非群馬でやりたいとの申し出があり、とても感動したことを記して、会報とする。 *鑁阿寺は鎌倉時代に足利義兼によって建立された真言宗大日派の本山。元々は足利氏の居館であった。その面影として水量豊かな堀割が寺領を囲む。本堂のほか、一切経堂、太鼓橋などがある。樹齢六百五十年ほどの大銀杏の偉容も。 *足利學校は日本最古の學校として知られる。隆盛時は学徒三千といわれ、天文十八年(一五四九年)にはイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルにより 「日本国中最も大にして、最も有名な坂東の大学」と世界に紹介された。 *學校には孔子の中庸の教えを具体的に見せる「宥座之器」や、読めない字・意味の解らない言葉を紙に書いて松の枝に結んでおくと、翌日にはふり仮名や注釈がついていたという「かなふり松」がある。それらは吟行の注目の的であった。 *昼食の「お茶付弁当」は、後輩の営む=からふる=というレストランに頼み込んで作ってもらったのだが、大盛りながら美味しいと好評であった。以前にも吟行の昼食で世話になっているが、愛想の良いこの店の女将が白魚火仲間になればと願っている。 |
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平成29年7月号掲載 句会報 |
栃木県白魚火総会及び 祝賀会、俳句会 |
阿部 晴江 |
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平成29年7月号へ |
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四月十六日(日)栃木県白魚火総会及び祝賀会、俳句会が二十六名の出席のもと、宇都宮市中央生涯学習センターで行なわれた。 総会では、行事・予算などの議案が承認された後役員改選があり、会長に星田一草、副会長に宇賀神尚雄・加茂都紀女、幹事長に柴山要作の皆さんが選出され、その他の役職も決定した。また名誉会長に鶴見一石子さんが推薦された。 次いで中村國司さんの句集上梓祝賀会が行われた。星田会長はじめ皆さんからの心のこもった挨拶、お祝いの言葉、記念品料、花束贈呈があり、中村さんからの謝辞があった。その後、赤飯弁当による会食に移り、和やかな一時を過ごした。 俳句会は、五句出句、七句選(役員・鳥雲同人は十句選)で行った。その結果は次のとおり。(句の冒頭の○印は「今日の一句」) 鶴見一石子特選 |
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平成29年7月号掲載 句会報 |
浜松白魚火会第十九回総会句会 |
鈴木喜久栄 |
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平成29年7月号へ |
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白魚火総会の前日の正午過ぎ、白岩主宰、三原編集長補佐、そして秋の全国大会の開催地の代表として同行していただいた福本國愛様を浜松駅にて出迎えました。今年は、仁尾前主宰の三回忌にあたりましたので、弓場会長他役員数名と、車二台に分乗し三方原の霊園に向かいました。そこには仁尾先生の奥様始め、天竜句会、初生句会のメンバーに迎えられ、鳥の囀りを聞きつつ仁尾先生の墓前にそれぞれの思いを報告しました。 その後、奥山方広寺の境内に建つ句碑に向かいました。そこには、梧桐句会のメンバーが綺麗に掃除をして待っていてくれました。どっしりとした仁尾先生のお姿を象徴するかのような句碑に触れながらしばらく先生の思い出話に浸りました。最後に川上征夫さんの吟詠で「衣手を押へて灌仏し給へり」を聞きお別れしました。今、NHKの大河ドラマ女城主「直虎」の舞台龍潭寺へ向かい、ここで歴女の林浩世さんの説明を聞きながら拝観しました。夜は街中の居酒屋で素顔の主宰に触れながら賑やかなひと時を過ごしました。 四月二十二日(土)、浜松アクト交流センターに於いて「第十九回浜松白魚火会総会」を出席者九十一名と来賓白岩主宰、三原編集長補佐、顧問の黒崎治夫先生をお迎えして開催されました。総会は渥美副会長の司会で始まり、弓場会長の挨拶、来賓の白岩主宰、三原編集長補佐、顧問黒崎先生の各氏の挨拶を頂きました。 平成二十八年度活動及び決算報告、平成二十九年度活動計画及び予算案も議決されました。役員改選は弓場会長以下前年度と同じ役員が再任されました。つぎに、白魚火各賞受賞者の紹介に移り、同人賞鈴木喜久栄、新鋭賞山田眞二、みづうみ賞佐藤升子、同秀作賞斎藤文子、大澄滋世、鈴木喜久栄の各氏に花束贈呈、受賞者を代表して鈴木喜久栄が謝辞を述べました。句会に移り、阿部芙美子さんと斎藤文子さん、代返者に林浩世さんと花輪宏子さんが担当して、選者の白岩主宰、黒崎先生、村上先生、渥美先生、野沢先生の特選入選及び会員の互選高得点者に賞品が授与されました。総会句会の終了後はホテルオークラにて、鈴木誠さんと林浩世さんの司会により六十八名の参加を頂き盛大に懇親会が開かれ、中締めに塩野幹事長の「皆で鳥取の全国大会に行こう」の掛け声の唱和にて終了、和やかなひと時を過ごすことが出来ました。文末ではありますが、今年の総会及び句会に愛知三名、中津川二名の方々にご参加をいただきありがとうございました。 白岩敏秀先生特選五句 |
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平成29年7月号掲載 句会報 |
浜松クリエイト句会 「第一回浜松城公園吟行」について |
大庭 成友 |
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平成29年7月号へ |
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恒例の浜松祭りも終えて、浜松っ子もさすがに疲れ果てたのか、街もなんとなく静まり返ったような五月十一日(木)、当句会初の吟行を行いました。天候にも恵まれ絶好の吟行日和となりました。 当句会の前身である浜松白魚火俳句教室は、平成二十七年九月から弓場忠義会長、渥美絹代先生の下で、初級教室として発足、十三人の会員が毎月第二木曜日の句会に参加、俳句のイロハをご教授いただきながら今日を迎えることが出来ました。 当句会には、その道のプロのような方々がおり、吟行では公園に茂る木々や花々の名前、浜松城の成り立ちや石垣等についても懇切丁寧にご教授いただきました。また、公園内では大きな蛇に遭遇された方や、人を全く恐れない青鷺が石段を上りながら蜥蜴を餌にしている場面を見た方など、それらを何とか俳句にしてやろうと四苦八苦していました。 句会は、歩いて五分の「居酒屋やまと」。奥の部屋を借りきって昼食後、句会。午後三時半に終了し、解散しました。 「自然とふれあい楽しく俳句をつくって見ましょう」当会初めの、募集パンフレットのキャッチフレーズです。皆様、一日吟行を楽しく満喫されました。 吟行の一句抄 |
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平成29年7月号掲載 句会報 |
白魚火名古屋句会 |
野田 美子 |
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平成29年7月号へ |
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「渥美先生、がんばってとってみます。」 私がそう宣言したのは一月の事。名古屋近辺は誌友が少なく、なかなか俳句会を催すことができません。第一回は静岡大学の安藤さんが熱田生涯学習センターを八月にとってくださったため、浜松より先生方に来ていただいて俳句会を行うことができました。しかし、安藤さんは浜松に在住で名古屋まで来て場所とりをすることは容易ではありません。第一回の刺激的でとても勉強になった句会を思い出し、何としても二回目を開催していただこうと、利便性の高い中村生涯学習センターの場所とりに乗り出しました。でも、とりに行ってみて、名古屋は生涯学習が盛んで簡単には場所とりができないということが分かりました。二ケ月前の月の一日に何と抽選で決まるのです。 抽選はまず並んだ順に番号が渡されます。次にその番号順に抽選箱に入っている番号を引きます。抽選箱に入っている番号が部屋をとっていける順番です。一番であれば一番に希望の時間、希望の部屋をとることができます。仕舞の抽選番号だと部屋がだんだん埋まっていき、とれる可能性が少なくなります。早めに行って並んでいたのに引いた抽選番号は四十八人中の三十八番。(どうしよう。こんな後の番号で。)目は八の字になり泣きそうになりました。前の番号の方達が大きなスケジュール表にサークル名をどんどん貼っていきます。週一の活動が多く、一気に四ヶ所とっていくサークルがほとんどです。(どうか、とられませんように。)祈っているうちに私の番。四月一日(土)は・・・。〝空いていました!〟さっそく渥美先生に電話で報告。先生も喜んでくださいました。当日は浜松から浜松白魚火会の弓場忠義会長、村上尚子白光集選者、今回のまとめ役の渥美絹代曙集同人、渥美尚作さん、安藤さん、名古屋から檜垣さん、伊藤達雄さん、伊藤妙子さん、竹中さん、中津川から井上さん、吉村さん、私の十二名で句会が行われました。とても和やかで笑いの絶えない句会でした。「楽しかった。」と皆さんが言ってくださり、がんばって場所とりをした甲斐がありました。 一句抄 |
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平成29年7月号掲載 句会報 |
旭川白魚火お花見句会 |
沼澤 敏美 |
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旭川白魚火お花見句会は去る五月十三日、八名の参加で開催。今年の旭川の桜の開花は五月三日でした。旭川の桜の開花はその年により開きがあります。開花のない句会、桜が散った句会と様々です。今年の「お花見句会」は、花が実となる頃合いでした。当日は幹事の日頃の行いが良かったのか、快晴。 今年の句会場所は、昨年と同じ場所。旭川の隣町、東川町のキトウシ高原ホテルでの開催です。東川町は、大雪山の麓の町で、水道設備がなく良質の地下水で生活をする町。良質なお米をはじめ農産物を生産。「旭岳温泉」、「天人峡温泉」等の温泉地登山の出発地点です。高校生の「写真甲子園」が開かれる地でもあります。バスでホテル周辺を周回しての吟行です。頂上には、満開の山桜二本が出迎えてくれ、お城を模した展望台からは代田が輝きを放っています。温泉に浸かり、昼食を頂き句会です。昼食でのお酒の勢いも加わり、多弁となる選評もあり、和気藹々のもとお花見句会は進みました。 当日の各自詠句は、次のとおりです。 景しづまる殊のほかなる代田かな 坂本タカ女 |
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平成29年8月号掲載 句会報 |
静岡白魚火 総会記 |
本杉 郁代 |
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今年は例年より春の訪れが遅く大茶園牧之原台地が萌黄色となってきたのは四月下旬となりました。 一番茶の収穫作業も一段落した五月十四日に平成二十九年度静岡白魚火会総会が、当地出身の檜林弘一氏を顧問としてお迎えし三十七名の出席を得て開催されました。 一、総 会 二、俳句大会 当日の鈴木三都夫先生 作品 三句 檜林弘一氏 作品 三句 檜林弘一氏選 ・名誉会長と檜林弘一氏からは特選五句に色紙が授与されました。 鈴木三都夫先生講評 三、懇親、祝賀会 鳥雲同人選 坂下昇子選 横田じゅんこ選 本杉郁代選 小村絹子選 |
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平成29年9月号掲載 句会報 |
「浜松白魚火会」島田吟行 |
高田 茂子 |
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六月十八日(日)。今年度の浜松白魚火会吟行俳句大会を、島田市で行いました。 黒崎治夫先生詠 黒崎治夫先生選 村上尚子先生選 野沢建代先生選 大村泰子先生選 高得点句 小学生の句 |
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平成29年9月号掲載 句会報 |
平成二十九年度 実桜総会吟行記 |
平野 健子 |
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六月二十日、青天の総会の日となりました。 苫小牧・札幌組十二人は、JRの「カムイ7号」で旭川へ行き、旭川組四人と合流。送迎バスで宿に向かいました。 柱状節理の岩肌をむきだした山を横に見て樹海の中を走り、途中で「銀河の滝」に寄ってもらいました。幅は細いのですが見上げる断崖からの水が激流の川に落ち込む様は壮大でした。 水を蹴り水に落ち着く滝しぶき 数方 林道を抜けて開けた山の麓に大雪高原山荘はありました。旭川から二時間です。周りの山々はあちらこちらに雪渓が見え、玄関には秘湯を守る会会員の提灯と熊よけスプレーありの張り紙がありました。ここで北見からの二人を合わせて総勢十八人です。 部屋に荷物を置いて早速吟行です。宿のそばには森林パトロールの小屋があって下山してくる五~六人の隊員と遭遇しました。 高嶺草鉈下げ森林パトロール 野歩女 又、ヒグマ情報センターもあり、ここら辺は羆の生息地との事で、親子熊の剥製が置かれ、たくさんの羆の写真にはそれぞれ名前がついていて、ビックリポンでした。 剥製の小熊の瞳山すみれ 布佐子 羆住む山のふところ余花残花 香都子 ほかには小規模ながら灰色の泥状熱湯のボコボコ沸いている所、ゴウゴウと音をたてて蒸気の噴出している所もあり、硫黄の匂いがただよいます。道の脇には色とりどりの可憐な花も咲いていました。 靴底を通す地熱や夏の山 みつい そんな時下山してくる御夫婦に会いました。聞けば御主人は八十九才との事、これにも驚きました。 健脚の翁嫗の登山杖 健子 四時から一回目の句会(いつも御一緒だった研二さんの欠席を少し寂しく思いました。) 万緑を映しきれざるダム湖かな 若葉 持ち物は文庫一冊青嵐 敦子 紫蘭咲くカムイミンタラ旭川 あき女 ゆづり合ふ細き山道夏桜 純子 てのひらを平らに浸す草清水 津矢子 翠巒やどこに立ちても水の音 香都子 六時夕食。山菜釜飯、虹鱒の塩焼きなどお腹いっぱいになりました。 七時過ぎから一時間ほどの総会で初日の予定は終了です。 六月二十一日、早朝の温泉に入りました。単純酸性泉、半透明乳白色のお湯で、雪渓の見える露天風呂もあります。七時の朝食まで時間があったので外に出てみました。すでに何人かが散策しています。 山の端に夏至の朝日の差し昇る 美木子 露涼し朝のしづけさ独り占め 節子 大雪山糠蚊の中を日が昇る キヌ子 蒸気の吹き出すそばに源泉があるそうで見に行きました。幅一m位の暖かい川があり川底は真白、沸き出す所は小さかったのですが、手を入れて思わず引込めました。七十度だそうです。眼前にそびえる山は赤や黄の土の色がむきだしになっていました。 源泉の赤き山肌夏の雲 喜代 朝食後八時から吟行。ヒグマ情報センターで現在の羆の動きを聞き(昨日も見たそうです)、集団で声を出しながら歩けば大丈夫、との事で出発。ほどなく残雪の所で、長靴をはいていなかった人達はリタイア。雪どけのためぬかるんだ所あり、雪渓あり、木の根や石ころにも神経を使いつつ、蕗の薹、水芭蕉、山すみれ、その他名も知らぬ花をながめながら登ります。折り返しの所まで来ると、そこは水芭蕉の大群落でした。限られた時間なので後ろ髪をひかれつつ下山しました。 十時から二回目の句会です。 山荘の長き廊下や鵺の啼く 早知 夏山の漆黒ゆらす鵺の声 すみれ 夏炉焚く毎日山を見る暮し 津矢子 余花白し夫なほ恋しと君逝けり 紗和 あかときの山に消えゆく登山鈴 布佐子 句座の間に夏鶯の遠音かな 野歩女 師の忌来る白山千鳥濃かりけり 数方 十二時昼食。カレーライスが絶品でした。 一時お別れの時間です。北見組は車で、他十六人は又送迎バスで旭川まで。旭川で四人と再会を約束し、残り十二人は札幌、苫小牧へもどりました。 今回はまさしく晴れの女軍団。ちなみに札幌はその夜から大雨になりました。 最後に総会を担当して下さった旭川の皆様、本当にありがとうございました。 集まればみんな青春蔦若葉 津矢子 |
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平成29年9月号掲載 句会報 |
坑道句会一畑寺吟行記 |
原 和子 |
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去る六月二六日(月)、坑道句会としては久しぶりに全国的に目のお薬師様として親しまれ、崇敬を集めている醫王山一畑寺への吟行句会をもった。当日は心配していた雨も上がり、朝から日が差す絶好の吟行日和となった。苔むした千三百余段の石段の続く標高二百メートルの山上境内には老鶯、ほととぎす、十一などの鳥声が絶え間なく聞こえ、万緑に包まれた目のお薬師瑠璃光如来を安置する瑠璃光殿は一層厳かな風格を呈していた。古木が囲む境内は、梅雨最中とは思えない爽やかな涼風が吹き渡り、木立の間から望む宍道湖は変わらずゆったりとして、心を落ち着かせてくれる。 境内はどこもきれいに整備され、近年新たに設置された、水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する「目玉おやじ」や「のんのんばあ」の小ぶりの像が目を引く。のんのんばあとは水木氏が幼いころに水木家に仕えていたお手伝いさんのことで、とても信心深く、目の悪かった氏を連れて度々一畑寺にお参りしたという。また、このお手伝いさんはたくさんのお化けの話を水木氏に聞かせ、それが後年の鬼太郎の物語につながったといわれている。そんな縁で、氏の晩年にこれらの像が境内各所に設置された。そんな今昔入り混じった不思議な空気を感じさせてくれる山上には、コテージ二棟もあり、若い人にも親しめるおしゃれな空間ともなっている。 二四名の句会参加者は、早々に受付けを済ますと、広い境内や万緑なす参道などに散らばり、思い思いにお気に入りの場所で句作に没頭した。 句会場は、寺務所を兼ねた弥勒尊仏を祀る下生閣二階の大広間。沢山の御仏の並ぶ須弥壇にこの春新しくなった百余の美しい花の絵がはめ込まれた格天井が映える。投句締切りは、正午。それぞれ七句の投句を済ますと、参道の真ん前にある蕎麦・精進料理のもんぜんから取り寄せた特製弁当に舌鼓を打った後、句会に移った。 当日の選者は、山根仙花、武永江邨、三島玉絵、森山暢子、荒木千都江、久家希世、渡部幸子の各氏、披講は西村松子、生馬明子両氏が務めた。 絶好の吟行日和と素晴らしいロケーションに恵まれて、多くの佳句が生まれ、充実した句会となった。 各参加者の当日の自選一句は、次のとおり。 当日の一句(掲載は、氏名の五十音順) |
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平成29年10月号掲載 句会報 |
群馬白魚火会総会及び俳句会 |
遠坂 耕筰 |
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四月二十五日、群馬白魚火会は平成二十九年度総会を開催した。 荒井孝子副会長の司会進行により、冒頭篠原庄治会長より挨拶があった。そのなかで群馬白魚火会の会員数の減少に触れられた。具体的な数字を聞くとなるほどと思わされた。昔は百名前後の会員がいたと聞くので高齢化とはいえさみしい感がある。続いて鈴木百合子さんより前年度の事業報告が、さらに仙田美名代さんより会計報告がなされ、承認を得た。そして鈴木百合子さんより平成二十九年度事業計画案が発表され、その他意見交換の後、総会を終了した。休憩の後、町田宏副会長の進行により句会に移り、三句投句五句選で行われた。披講は奥木温子さんが担当された。作品は、子供を優しく見守るものや、自然の営みを表現したもの、時の移ろいを格調高く謳うもの、日常の何気ない仕草等、それぞれ句に個性があり大変勉強になった。最後に金井秀穂さんより講評をいただき、お開きとなった。 当日の作品(自選) 補助輪を外す自転車燕来る 飯塚比呂子 花びらを吸つては吐ける鯉の口 福嶋ふさ子 ほぐれては組まれては花筏かな 鈴木百合子 老桜と共に古りゆく地蔵堂 荒井 孝子 せせらぎに風の筋あり花筏 竹内 芳子 ふらここや爺の押す手のやはらかし 八下田善水 初蝶のはづむがごとくもつれ合ふ 清水 春代 折からの花びらも飲む鯉幟 金井 秀穂 透き通る花びらに似て女医の爪 篠﨑吾都美 紙コップ風に転がる花見茣蓙 篠原 庄治 何度でも帽子欲しがる春北風 仙田美名代 赤々と掃き寄せられて落椿 宮﨑鳳仙花 春愁や古漬の味噛みしむる 水出もとめ 梵鐘の余韻のうすれ囀れり 奥木 温子 現世の囀僧の説く浄土 町田 宏 鶯のひねもす鳴いて山の昼 剱持 妙子 子等なくも桜歴史を刻みけり 関 仙治郎 木の芽晴れ麓の街にアドバルン 岩﨑 昌子 水仙の続く道程花の駅 森田 竹男 花の下車夫の出立軽やかに 関本都留子 雪形の駿馬の跳る駒ヶ岳 天野 幸尖 背ナの児の顔で弾ます桜かな 荻原 富江 閉園の庭閑散と花の散る 高橋 見城 競ひ合ふ百花爛漫花の駅 青柳 誠一 風吹けば風に従ふ落花かな 遠坂 耕筰 |
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平成29年10月号掲載 句会報 |
平成二十九年度栃木白魚火 第一回鍛練吟行句会報 |
松本 光子 |
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七月十六日、栃木白魚火第一回鍛練吟行会が二十名の参加により、栃木市の藤岡町渡良瀬遊水地に於て開催された。渡良瀬遊水地は栃木、群馬、茨城、埼玉の四市二町の県境にまたがる日本最大級の遊水地である。明治時代中期に足尾銅山の鉱毒水を沈殿させるため、田中正造や谷中村民の反対を押し切り、谷中村の廃村により遊水地化された。 現在、村の跡地は広大な葦原や調節池となっているが、谷中村の歴史を後世に残そうとの関係者の働きかけにより、村の中心部の役場、雷電神社、延命院などが史跡保存ゾーンとして保存されている。また平成二十四年にラムサール条約の登録湿地に指定され、植物約千種類、野鳥約二百五十種類の生息地としての環境保全、首都圏のオアシスとしての機能など重要な役割を果たしている。また、旧谷中村の跡地に土砂が堆積し、三千三百ヘクタールの遊水地のうち、千五百ヘクタールが葦原となっており、良質な国産葭簀が今でも盛んに生産されている。 今回その葭簀編みを見学させていただいた。棕櫚縄で編む部分は機械化されているが、一本一本手作業で葭を編機に差し込み、片足でペダルを踏みながら二本ずつ葭を編み込んでゆく立ち通しの作業に感銘を受けた。そして、旧谷中村の資料や田中正造の遺品、遺墨などが展示されている歴史民族資料館なども見学し、併設されている公民館に於て、七句出句、十句選の句会が行われた。 星田一草特選 一句抄 |
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平成29年10月号掲載 句会報 |
坑道句会荒神谷史跡公園吟行記 |
三原 白鴉 |
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平成29年10月号へ |
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坑道句会は、二か月に一回開催し、出雲周辺の地を選んで吟行句会を行うことを定例としている。八月は、国の史跡に指定されている出雲市斐川町の荒神谷遺跡周辺において吟行句会を行った。 荒神谷遺跡は、広域農道敷設予定地の発掘調査によって発見されたもので、神庭荒神谷の斜面から昭和五十九年にそれまでの全国の出土本数約三○○本を上回る銅剣三五八本が一か所に埋納されているのが発見され、さらにその翌年にはそこから約七メートル離れた地点から銅鐸六個、銅矛十六本が発見され、これらは後に一括して国宝に指定された。本数の多さとともに定説を覆す三つの青銅器が一か所から発見されたということから全国に一大センセーションを巻き起こしたことは記憶に新しい。周囲を森に囲まれた史跡公園は、この出土地を保存し、記念する施設として一帯が整備され、青銅器埋納跡、博物館、二千年蓮(大賀蓮)田、古代米田、睡蓮の広がる西谷池、古代復元住居や椿の森、憩いの広場などが設けられ、吟行には絶好の場所である。 この日(八月二十八日)の参加者は、松江、平田、斐川から集った二十二名。それぞれ電車、タクシー、自家用車等で現地に集合、十時から発掘時の状況を再現したレプリカの青銅器の置かれた遺跡、畦や小道を飾る草の花、草原を飛ぶ飛蝗、敗荷の揺れる蓮田、色づいた古代米の田圃、黄葉を始めた池の周りの桂や遊歩道に傾れる萩の花などなど自然豊かな広い園内をゆっくり巡りながら、句を案じた。 吟行を終えると近くの荘原コミュニティセンターに移動し昼食を取った後、各七句宛て投句、皆で清記の後、午後一時から句会(選者特選五句、並選十句、一般並選十五句)が行われた。 当日の選者は、山根仙花、安食彰彦、武永江邨、三島玉絵、西村松子、荒木千都江、久家希世、渡部幸子の各氏、披講は森山暢子、生馬明子両氏が務め、最後に三島、武永、安食、山根各選者から講評をいただき句会を終了した。 以下に各選者特選句及び各参加者の当日の自選一句を紹介し、報告を終えることとする。 山根仙花特選 安食彰彦特選 武永江邨特選 荒木千都江特選 久家希世特選 西村松子特選 当日の一句(氏名五十音順) |
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平成29年11月号掲載 句会報 |
白魚火名古屋句会 |
安藤 翔 |
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平成29年11月号へ |
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句会場は、前回と同じ中村区にある中村生涯学習センターというところである。中村区は名古屋駅もあり名古屋の中心地であるが、実は美濃路の史跡がたくさん残っているところで、ビルが並んでいるところから少し歩くと古風な街並みが見えてくる。句会場の最寄りの本陣駅というところも、豊臣秀吉が本陣を構えたところから来ているらしい。 今回の句会は九月二日に行われ、三回目となる。高校生、大学生の参加が多数あり、そのせいか人生の先輩方の句もいつも以上に若々しいものになっているように感じ、ここまで若さあふれる白魚火の句会というのも珍しいのではないかと思った。大学生俳人の中では「結社アレルギー」ということも言われるくらいで、結社に一定の距離を置いている人は多いように感じられる。(単なる食わず嫌いだと思うが。)そのような中で今回、このような句会ができたのはとてもよかった。 句会は、浜松・名古屋・豊橋・岐阜・中津川・大垣から飛び入り参加の方も含め二十二名の参加があり、うち七名が三十歳以下という、老若男女が俳句で繋がれるとても楽しい句会となった。 一句抄 パレットを広げ花野の中にをり 村上 尚子 草の実のとぶや五センチ髪切つて 渥美 絹代 桐の実のよく鳴り馬頭観世音 渥美 尚作 包装紙きれいにはがれ涼新た 安藤 翔 赤み差す南京黄櫨や処暑の朝 伊藤 妙子 かなかなや朴は葉裏を見せてをり 伊藤 達雄 蜩や恙無き日のくりかへし 井上 科子 秋簾捲き遠き子を思ひけり 大村 泰子 マタニティドレスを仕舞ふ秋の星 川口久瑠美 単線の本線離れゆく晩夏 檜林 弘一 道巾の水溜り越す秋日和 児島 彬 子とあそぶ母の背中に赤とんぼ 後藤 晶彦 秋の灯や通りに響く笑ひ声 柴田 莉穂 それぞれの葉に昏さある秋の風 竹中 健人 恵那山の迫りてきたる墓参 野田 美子 夏果つる汐ひく浜の小石にも 檜垣 扁理 鈍行の両手ふさがる盆の月 平野 朝陽 前髪のおでこくすぐる秋の風 藤原 良典 秋の空丸窓からは光射し 峯田静里香 小鳥来る路面電車のちんちんと 弓場 忠義 蝗飛ぶ原つぱ縄文遺跡かな 吉村 道子 夜半の秋雨音のみの露天風呂 渡辺 香苗 |
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