最終更新日(updated) 2006.12.6 

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仁尾正文 近詠
湖 国 松明あかし 十二月八日
白 息 持つてけと 猫 柳
旅 人 雨安居 夏 炉
去年かな 花  野 姿  川
平成17年仁尾正文近詠 へ


平成18年12月号抜粋の目次へ
  平成18年12月号に掲載

      姿 川
 隙間なく彼岸花立て姿川
 両毛の仲間の集ふ新走り
 朝寒やどの道行くも渓の音
 稲妻の裂きたる空を湖の上
 SLの終点近し青みかん
 川底の真砂の躙る水の秋
 ライダーの一団過ぎて萩乱す
 運動会中止の煙火揚りけり

平成18年11月号抜粋の目次へ

      
      花 野

 合歓の花天女の睫毛かと思ふ
 
 峰雲をいくつも立てて甲斐の国
 
 壜の水汚し蝮の生きてゐる
 
 二年もの三年ものの蝮酒
       とも
 夏痩せしひと羨しめば羨しまれ

 雲すこし軽くなりたる展墓かな
 
 鈴花を立て連ねたる千枚田
        鈴花は稲の花・この地の方言
 
 水車場の跡より花野拡ごれる


平成18年10月号抜粋の目次へ
  平成18年10月号に掲載

      
      去年かな
    ど
 緑蔭の奥処に棲みて九十九髪
 
 後継ぎの子と海の日の宮大工
 
 手筒花火師さらしにも伊達競ふ
 
 青柿のむんずと口を結びけり
 
 樹下にゐて蝉の時雨に叩かれし
 
 峰雲の先端のべつ千切れゐる
      園部雨汀氏逝去
 鯵茶漬共に食ひたる去年かな

平成18年9月号抜粋の目次へ

      夏 炉
 水田に退路絶たれし麦畑
 夏柑の若木結実許されし
 炎天の高きにニッカボッカーズ
 連れ出されたる父の日の百貨店
 庵の名掲げ夏炉を焚いてをり
 夏の炉の框の焦げ目数知らず
 夏の炉の炎ゆるりと裏返る
 夏の炉の燠より剥がれたがる尉


平成18年8月号抜粋の目次へ
  平成18年8月号に掲載

        雨 安 居  

 母方は長寿の系譜椎の花

 オホーツクより六月の花便り

 雨安居の大寺の大甍かな

 山法師寺は羅漢の寄進欲し

 句碑を見て泣いてくれたる青葉かな

 境内を一渓刳り岩煙草

 山門の敷居尺角緑さす

  井伊の里すでに青田となつてをり

平成18年7月号抜粋の目次へ

      旅 人
 旅人にうぐひすこゑを惜しまざる
 稜線の五合目の辺の春入日
 山桜仰ぐ日本の空があり
 浦島草今なほ隠れ切支丹
 蒔かぬのに生えて芥子菜さはに咲く
 草餅の一色になり杵を置く
 豆飯の豆剥かされてゐる男
 農継がねば継がなくてよし鯉幟


平成18年6月号抜粋の目次へ
  平成18年6月号に掲載

        猫  柳

 みづうみの端がここまで猫柳

 天主跡雪解の風があるばかり

 お焼き食ひ仏都長野の遅日かな

 残雪をまなかひにして千曲川

 はくれんや学僧は身を惜しみなく

 草餅の一と色となり杵を置く

 任侠の港の水の温むかな

  普陀落の海に向く羅漢鳥帰る

平成18年5月号抜粋の目次へ

      持つてけと
 持つてけと若布蕪を抛り投げくれし
 いづ方もまだ手付かずの春田かな
 冴返る予報は百発とも当る
 雛買うてやれざる悔を今もかな
 べんけいの一串もなき春の炉辺
 仮の世に生れて永き日を惜しむ
 胸像の眉間にかけて春の霜
 青き踏む牧場があれば寄り道し


平成18年4月号抜粋の目次へ

        白 息

 わが系譜八代ばかり屠蘇を汲む

 年の酒うからに下戸はなかりけり

 号令の白息声に遅れけり
    
 師の墓域杏の冬芽色もてる

  冬籠り香炉ゆるゆる燻らせて

 地境に冬耕集ひ高話

 泣きにきて存分泣けり初映画

 寒土用まさかまさかの訃なりけり

平成18年3月号抜粋の目次へ

      十二月八日
 大本営発表十二月八日
 挙手の礼して白息を吐きにけり
 睡るにも体力要す風邪籠り
 咳けばあらぬところが軋みけり
 雑炊に味出て熱の下がりけり
 水仙の花梗真直伸しけり
 忘れ得ぬこと一つあり年忘れ
 家例とふものなけれども年用意


平成18年2月号抜粋の目次へ

       松明あかし

 銀杏の矢玉のごとく落つるなり

 建仁寺垣の結び目いてふ散る

 黄落の横殴りせる奥の道
    十一月十二日 須賀川市 松明あかし
 火鑽(き)りしてより始まりし火の祭

  火祭の炬火を点せる長梯子

 はぐれては又はぐれたる火の祭

 火達磨となり炬火倒る冬祭

 心願を一つ増やして花八手

平成18年1月号抜粋の目次へ

      湖 国
 目通りに鵙の贄あり驚けり
 志賀の湖秋尽くる日のざんざ降り
 義仲寺のまだ破れざる芭蕉の葉
 浮御堂石蓴畳に鴨のゐる
 夕時雨束の間ながら三上山
 茶の花を摘んで金粉零しけり
 冬耕のはや仕上れる湖国かな
 祝ぎ事のすべて終れり冬紅葉

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