最終更新日(Update)'13.11.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 小林 梨花 |
「穴まどひ」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 鈴木喜久栄 、檜林 弘一 ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 村上 尚子、内藤 朝子 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(出 雲) 小 林 梨 花 |
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瑞穂の国日本では、今年も新米の収穫の時期を迎えた。新米が収穫されると、天皇が新穀の神酒と神饌を天神地祗にすすめ、またこれを食され感謝をされる祭儀がある。各地の神社でも新嘗祭があり、家庭では神佛にお供えをして感謝をする。 新米を炊く香に父母のよみがへる 松原トシヱ 新米の届き後継ぎ育ちけり 高田 茂子 新米を指輪外して研ぎにけり 大村 泰子 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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祖 母 安食彰彦 虫すだく火輪欠けたる五輪塔 ちちろ鳴くまだ帰りこぬ丑の刻 過去帖の院号の祖母月鈴子 委員長の潰れし耳やつづれさせ 朝顔を褒めし若者通り過ぐ 一人居る昨日も今日も秋日和 部活の児おむれつを食ふ葡萄食ふ 空蝉の体重計に乘つてをり 日 雷 青木華都子 梅雨雲を帽子のやうに男体山 涼を呼ぶおばんざいとふ京料理 沙羅落花裏返し干す僧の下駄 雷を雷さまと言ふ里ことば 神杉を揺さぶり過ぐる日雷 いかづちの通り道とふ杉並木 木下闇二人掛けなる石の椅子 韓半島眼下に朝の二重虹 忘れもの 白岩敏秀 口中に梅干の種秋暑し 鎌の刃を砥石にかくる長崎忌 新涼や塩ふる朝の茹卵 鈴虫に夜空は星をふやしけり 天の川旅のたよりの青インク 忘れものあるかにとんぼ戻りくる 掃苔や耳の大きな歳長者 灯台のひかり崩れ秋の波 浮いてこい 坂本タカ女 蕗の葉にくるみさくらんぼが届く 座右の銘なるもの持たず浮いてこい 鯵の背の飾り庖丁薄暑かな 温燗のもつきりなりしどぜう鍋 煩悩の身をでて遊ぶ浮いてこい 水口に置きある砥石釣舟草 魔除てふにんにくを吊る秋立つ日 人恋し振れば実の鳴る喘息薬種 暑気払ひ 鈴木三都夫 窈窕と富士痩せ衣更へにけり 水涸れず不動の滝の名を存し 仰ぐともなけれど涸れぬ滝として 谺して三光鳥の山深し 霧晴れてくれば又蒸す山路かな ほろと酔ふ吾が九十の暑気払ひ 手波もて流れに乗せし灯籠かな 流灯会終へし川面の真暗闇 |
炎 天 山根仙花 炎天に晒されてゐる山河かな 焚きし火の色奪ひゆく炎暑かな 吊すより風鈴山の風を呼ぶ 百日紅空青々と暮れにけり さゆらぎもなき新涼の仏の灯 早稲は穂に紺深めゆく日本海 夜は虫の声のとりまく一戸かな 鵙鳴くや庭先に焚く今日の塵 栗 の 頃 小浜史都女 豪雨あと生れし蝉か秋を鳴く 藪蘭や棹売りのこゑ谺して しじみ蝶露に溺れてゐたりけり 川の濁り戻つてきたりつづれさせ 親不孝通りはむかし白芙蓉 山歩きたのしみ栗の落つる頃 栗食みし跡あり猿かゐのししか 稲穂垂れ囃子の稽古はじまりぬ 神 の 里 小林梨花 赤米の稲穂を掲げ神の里 澄む水に写る一樹の紅き色 秋色に染まる谷間の静けさよ 地獄絵を見るごと谷の破蓮 破れ蓮の透き間透き間の光かな 澄む水の底に根を張る古代蓮 まつかな実散らし神庭の山法師 放心の夕べ鳴きつぐ法師蝉 橡 餅 鶴見一石子 昭和の手沁み沁み見入る終戦日 遥かなる戦火の記憶星飛べり 橡餅をひさぐ落人道の駅 毒茸にあかるき雨の平家塚 平家塚櫟大樹に昼の虫 狩人の邑の木の実を拾ひけり 九十九里漁火一つ流れ星 師の一句心経とせし秋扇 秋 夕 焼 渡邉春枝 乘るはずの電車遠のく残暑かな 休暇果つ上り框のランドセル 転びてもすぐに起くる子赤とんぼ 秋夕焼遊び足らざる子が一人 段畑のてつぺんに墓鳥渡る 手の届くところに眼鏡夜半の秋 つまべにの弾けて風をいざなへり 厨の火落してよりの望の月 |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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晩 夏 大石ひろ女 手付かずの遺品に対ふ盆用意 大綱を海に引き合ふ盂蘭盆会 焼酎の酔ひに本音をふと洩らす 風音に耳聡くなる晩夏かな 盆終へし吾に独りの時戻る 草刈女首のタオルを裏返す 夢 の 中 奥木温子 青嵐裏返しゆく恋の絵馬 咲き満ちて相触れず散る合歓の花 祷るとは指を組むこと終戦忌 月見草震へて開く夜の帳 夏果つるみんみん蝉の間延び鳴き 虫時雨夢の中まで入り来る 大 花 火 清水和子 放流の山女なかなか掴めざり 板の間は昔ながらや冷し瓜 看板の狭を片蔭にバスを待つ 大花火の欠片真直ぐ落ちてくる 水底の砂の紋様夏の果 一人旅の子を待つ駅の秋暑かな 流 灯 辻すみよ 対岸の手筒花火の火の涼し 明け暮れの日々朝顔に気を貰ふ 蜻蛉の同じ高さに同じ向き ふる里の川懐かしき流灯会 静かにも行く流灯の闇深し 中洲まで出て流灯を送り出す 星 月 夜 源 伸枝 引く波に転ぶ小石や秋立てり ふんはりと畳むブラウス秋の風 新涼の水に筆の穂ほぐしけり 庭石に残るほてりや星月夜 文机に向ふやすらぎ虫の声 膝ついて結ぶ靴紐萩の風 菊 人 形 横田じゅんこ 脇僧の一人は女秋涼し 葛の花こぼれて風の混み合へり ひとりとはつつましき数秋刀魚焼く 夫と子の墓に秋日の濃かりけり ありつたけの水吐き出せりばつたんこ 菊人形手足つけられをりしかな 流 星 浅野数方 流星やおだやかに引く浜の汐 ないしよごと少しありけり酔芙蓉 ゆつくりと腹式呼吸花木槿 月を待つ裸婦像小さき翼持つ 十六夜やほごす着物を膝に寄せ 吾と夫の中に父ゐて秋刀魚焼く 盆 踊 渥美絹代 はきものの揃へてありぬ祭宿 信州に入るや一位の実をふふみ 盆踊やつと覚えしころ終はる 盆踊かがひの昔ありにけり 燈籠を瀬音近くに点しけり ひとすぢの煙の見ゆる厄日かな |
夜 潮 森山暢子 女子供のせて舟出す花火の夜 草市や夜潮の匂ひして来たり 出土品おなじものなく稲の花 佛壇に亡母の財布敗戦日 馬追や女が銭を借りに来し 猿酒や木地積み上げて木地師小屋 秋 の 風 西村松子 咲ききりて彩こぼさざる古代蓮 晩夏てふ淋しきひびき月仰ぐ 秋立つや空水色に明けてゆく 門火焚くほどよき風の生まれけり 傾ぎたる流灯に寄する波やさし 揚舟に網干してあり秋の風 秋 灯 柴山要作 初秋の影整ふる加波筑波 城址とは草むすところ法師蝉 轆轤場の暗き土室つづれさせ 秋灯人間国宝の轆轤 糸瓜棚がお休み処蔵の街 遊舟の舫ひしままや秋暑し 打 ち 水 荒木千都江 水滴を溜め蜘蛛の巣のたゆみけり 夕凪や遠き明りも瞬かず 屛風立ちして威圧せる雲の峰 ねぎらひを交はして暑さしのぎけり 打ち水に昇る土の香日の匂ひ 送り火の消えて夜風の立ちにけり お砂踏み 久家希世 一杓の水を地蔵へ萩の風 初々しき萩の風あり六地蔵 露けしや地蔵の膝のさすり艶 秋雨や濡れし札所のお砂踏み 秋の湖へ鏡をちひさく一打せり 色鳥や庭で番となる気配 秋 の 蠅 篠原庄治 馬用の曲り瓜売る草の市 秋灯下文字の歪める虫眼鏡 仏心を捨てて叩けり秋の蠅 秋風や捕らはれ猿に鉄格子 きりぎりす草の青きに紛れ鳴く 帰燕翅ぶ山峡の空紺深し 秋 夕 焼 竹元抽彩 道をしへ登山ガイドの傍に 猛残暑なれども星の潤みをり 宍道湖を真紅に染めし秋夕焼 処暑の湖風が優しくなりしかな 夜さりの灯湖畔に確と虫の声 一杯は寿蔵に注ぐ菊の酒 桐 箪 笥 福田 勇 飴色になるも離さぬ籐枕 二粒づつ指に転がし大根蒔く 桔梗や母の生れは花平 箪笥より母の形見の秋袷 秋扇や母の遺せる桐箪笥 旅立の前に山田の水落す |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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鈴木喜久栄 灯台の点りて烏瓜の花 檜林 弘一 しばらくは滝の飛沫の中にをり |
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自然薯の食に多弁の父なりき 切株は栗鼠のテーブル木の実落つ 初産の牛に藁足す秋の冷え 秋麗眉整へて逢ひに行く 串抜けば火の匂ひある下り鮎 甘き酒舌にころがす蛍の夜 作業着のぴんと乾きぬ広島忌 今朝秋の水に磨ぎゐる米一合 夕焼雲乗せて大きく川曲がる 焼べ足して送る苧殻の尽きるまで 流灯会母知る人と語りつゝ 声変りして少年の夏終る 郵便夫袖を下して夜の秋 校長は長身二学期始まりぬ 手の平にホタル明るく光りけり |
田口 耕 萩原 峯子 花木 研二 稗田 秋美 鈴木 利久 篠﨑吾都美 田久保峰香 森井 章恵 若林 真弓 山田ヨシコ 加藤 美保 大石登美恵 天野 幸尖 脇山 石菖 滝井 光子 |
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鳥雲逍遥(10月号より) |
青木華都子 |
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民宿の簾越しなる波の音 |
武永 江邨 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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磐 田 村上 尚子
ご飯炊く湯気しゆるしゆると今朝の秋 牧之原 内藤 朝子 夏雲を割つてアルプス聳え立つ |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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いち日の始まる林檎丸く剥く 村上 尚子 この林檎は、皮を切らぬように時間をかけて楽しみながら剥いている。私どもは林檎が四つ割、八つ割であろうが、このように丸く剥かれたものであろうが、一切れを口にするとき余り気にしない。作者は、「いち日の始まる」朝林檎を丸く剥いて一日を明るく過ごそうとしているのだ。 雷鳥の首伸ばしては鳴きにけり 内藤 朝子 作者は山登りが好きで、かつても雷鳥の句で巻頭を占めたことがある。白魚火誌友には山好きが多く、日本百名山すべてを踏破した加茂都紀女さんの外にもたちどころに十名程の顔が思い浮んでくる。 空蝉や友子同盟謂れ書 中村 國司 江戸時代坑夫(友子)は家康の難を救ったか何かの謂れで帯刀が許されていたという。その頃から横断的な職種組合である友子同盟という組織があった。諸外国の職種組合は強力で一つの組合がストライキに入ると国内のあらゆる所が麻痺してしまうが、友子同盟の如く弱い組合では事業主に圧力をかける力はなかった。しかし、この時代に職種組合があったということは特筆すべきこと。坑夫として技倆が上り職親が友子に取り立てるべく何名かの職親の推せん状をつけて友子同盟に申請し認められると坑夫免状が付与された。失業した時などこの免状を持って全国各鉱山の友子交際所へ就職斡旋を頼むと相談に乗ってくれ、そこが求人していなかったら別の所へ連絡し斡旋をしてくれた。この間一宿一飯が付与された。一種の互助的なものが友子同盟の役であった。現在日本の鉱山は外国産品と価格で太刀打ちできず全滅状態、勿論友子同盟もない。 納涼のカラオケに出る団扇持ち 松原 政利 広島大学のキャンパスを前に広島白魚火会が吟行俳句大会を行ったとき作者は出てきていた。懇親会の折カラオケの芸名は持っているので白魚火同人になればノンプロ歌手として施設などを慰問したいといっていた。今夜は地区の納涼カラオケ大会にぷらっと出てみた。カラオケが始まるとじっと他人の歌を聞くことは先ずあるまい。 オホーツクの一穢なき空雁渡る 花木 研二 清潔な句柄と声調のこの作家北辺諷詠は爽快である。今世界でも一穢なき環境はオホーツクの他何個所もはあるまい。 書架に抽くギリシア神話や黒葡萄 大隈ひろみ 本棚からギリシャ神話の一冊を取り出したということ自体瀟洒であるが季語に置かれた「黒葡萄」が凄い。この作者の器量である。ギリシャ神話がいよいよ神秘性を増した。 斐伊川に野性の戻る秋出水 古川志美子 暑き野良共に携へ生きてきし 良知あき子 今年の猛暑は気象庁のあらゆる記録を更新した。その中で夫と共に炎暑に立ち向かい耕し続けてきた。このような人々が居る限り日本の農は守り続けられる。 |
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