最終更新日(update) 2013.12.01 | ||
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平成25年12月号より転載 |
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みづうみ賞は、毎年実施の“白魚火"会員による1篇が25句の俳句コンテストです。先ず予選選者によって応募数の半数ほどに厳選され、更に主宰以下の本選選者によって審査・評価されて、その合計得点で賞が決定します。 | ||
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発表 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成二十五年度 第二十一回「みづうみ賞」発表 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第二十一回応募作品について予選・本選の結果、それぞれ入賞者を決定いたしました。 御応募の方々に対し厚く御礼申し上げます。 平成二十五年十一月 主宰 仁尾正文 |
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(名前をクリックするとその作品へジャンプします。)
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みづうみ賞 2篇 |
星 揚子 (宇都宮) 野の風 首伸ばし詰襟正す卒業子 あたたかやホース躍りて水飛びぬ 芽吹きしを避けて神籤を結びけり ぺんぺん草鳴らす左右に耳替へて 花筏波の形に停泊す 寺までの狭き道幅竹の秋 黴臭きことまた由緒あるごとく 父の日の父は畑に掛りきり この道は獣道かも草いきれ 涼しさや裏麻布の陣羽織 夕焼や電柱のなき城下町 豆腐屋の白き長靴秋澄みぬ 地図になき道の分かれ目萩の花 野の風となりて花野を抜けにけり ポケットに袖先入れし案山子かな 枯芒芯にかすかな薄緑 雪蛍蔵に小さな映画館 発掘の遺跡突き上ぐ霜柱 寒鴉弾みをつけて飛び立てり 手袋の利き手は後に嵌めにけり |
受賞のことば 星 揚子 この度は栄えある「みづうみ賞」をありがとうございました。思いもよらぬ受賞に驚きと信じられない気持ちでいっぱいです。 昭和六十年四月に「いまたか俳句会」に入会してから、早二十九年目になります。今は亡き橋田一青先生の「ものをよく見て詠む」ようにとのお教えのとおり、客観写生のもとに作句してまいりました。 自然や日常生活の中での発見や感動を句にできた時の喜びは一入です。もちろん、思うように表現できない苦しさもありますが、句を作ることにより、心が豊かになってきたことを感じております。また、平明で、人の心に響くような句が作れるよう心掛けていきたいと思います。 この度の「みづうみ賞」は平成二十一年に続いて、二度目の受賞となり、大変光栄に存じます。 これも偏に仁尾先生はじめ、白魚火の諸先生、栃木白魚火、いまたか俳句会の皆様のお蔭と心から感謝いたし、御礼申し上げます。 これからも精進してまいりますので、ご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 住所 栃木県宇都宮市 生年 昭和三十一年 |
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渥美絹代 (浜 松) 山 桜 よき風の通り白木蓮開く トラックの荷台椿の枝に触るる むらさきの風呂敷ほどく春の宵 養蜂箱芹の流れに近く置く 分校の跡一本の山桜 春雷や農鍛冶の打つ山刀 とめどなき落花クレーン車の伸ぶる 田に引ける水よく走り昭和の日 炭窯のまはり蕨の長けてをり 山羊小屋に春の落葉の積もりゆく 麦の秋日暮は雑魚のよく跳ねて やはらかき粥に塩ふる青葉木菟 孵りたる金魚に色の出てきたる 形代に息かく夕日まだありて 簗番に大きな星の出てゐたる 盆用意一つづつ出す漆椀 まつさらな梯子の踊櫓かな 流灯を置きたる草の湿りきし 山女焼く匂ひ踊の輪に届く 蜘蛛の囲のかがやく二百十日かな |
受賞のことば 渥美絹代 この度は「みづうみ賞」をありがとうございます。鳥雲同人となり、もういただけない賞だと思っておりましたので、ことのほか嬉しく思います。七百号記念の今回は鳥雲同人も資格あり、という応募内容を読み、是非挑戦してみようと思いました。 昨年は体調を崩し、しばらく入院を余儀無くされました。初めての入院生活でしたが、まず思ったことは、「自分には俳句があってよかった」ということ。病室からの眺めや病院のことなどを、日記がわりに句にしていました。そして何よりも、「吟行がしたい」と強く思いました。その思いが、主治医も驚くほどの回復への原動力になったと思います。病気から立ち直らせてくれた俳句、今回の受賞は何よりの励みとなります。 仁尾主宰をはじめ、選をして下さいました先生方、そしていつも句座を共にしていただいている天竜白魚火会、浜松白魚火会の皆様に心より感謝とお礼を申し上げます。 住所 静岡県浜松市天竜区 生年 昭和二十五年 |
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平成25年6月号より転載 |
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みづうみ賞は、毎年実施の“白魚火"会員による1篇が25句の俳句コンテストです。先ず予選選者によって応募数の半数ほどに厳選され、更に主宰以下の本選選者によって審査・評価されて、その合計得点で賞が決定します。 |
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発表 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成二十五年度 第二十回「みづうみ賞」発表 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第二十回応募作品について予選・本選の結果、それぞれ入賞者を決定いたしました。御応募の方々に対し厚く御礼申し上げます。 平成二十五年五月 主宰 仁尾正文 |
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みづうみ賞 1篇 |
大石益江 (牧之原) 恵 方 初参りいつもの道を恵方とし 菰内の日差し諾ひ寒牡丹 寒肥に茶畑少しづつ目覚め 豆撒くも拾ふも一人芝居かな 蓬摘む蓬の上に籠のせて 茶畑におしめりと言ふ春の雨 父母の墓見ゆる畑の茶摘みかな 茶摘女も茶山も齢重ねけり 煮る蕗の母の味にはほど遠く 下ろされて大き息吐く鯉幟 苗渡す役もひと役田を植うる 空ばかり眺めて梅雨の茶刈かな 畦草の蛇の重さに撓みけり 存分に散りて盛りの百日紅 退院の夫に用意の夏座敷 コスモスに触れ来し風のやはらかし 烏瓜蔓にいのちを繋ぎけり 揺さぶりて棒のごとくに大根引く 干し大根素直な色に乾きをり 身ぶるひし身を膨らます浮寝鳥 太陽の目覚めの遅き冬至かな 燃ゆるほど声の集まる焚火かな 御洒落などとうに忘れし着脹れて 欲しいもの何にもなくて日向ぼこ 飛行機の触るるかに発つ蜜柑山 |
受賞のことば 大石益江 彼岸も近づき少しずつ寒さも和らいでまいりました。レタスの収穫もあと一週間で終ろうとしている日、「みづうみ賞」の御連絡を戴きました。身体の疲れもどこかへ飛んでゆく程の驚きでいっぱいです。これもひと重に熱心に御指導下さる、鈴木三都夫先生、静岡白魚火の先輩方々、句友の皆様の暖かい励ましのお陰と深く感謝しております。思えば五年前島根全国大会の折、表彰される方々を見て、賞に届かなくても挑戦してみようと思い立ちました。毎月の句会の出句にも精一杯の私です。三都夫先生は「忙しくても俳句は作れる。」と常々おっしゃいます。私なりの努力の始まりでした。思いがけなく戴いた賞を心の糧として、尚一層作句に勉強を重ねて参ります。仁尾正文主宰、先生方々、白魚火の皆様、本当にありがとうございました。今後共何卒宜敷くお願い申し上げます。 住所 静岡県牧之原市 生年 昭和二十四年 |
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