最終更新日(update) 2025.03.01
令和7年 檜林弘一 作品
行く秋 年惜しむ 年新た <
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令和7年1月号に掲載

行 く 秋
群青の海原残し鷹渡る
流星の空真つ二つとはいかず
口笛を花野の風に乗せてをり
照り返す光の澄みぬ水の秋
おほかたは風に任せて秋の蝶
チャルメラの音遠ざかる星月夜
口切れば金箔の舞ふ今年酒
後戻りできぬ紅葉でありにけり

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令和7年2月号に掲載

年惜しむ
浅漬を嚙む音茶漬啜る音
返り花ちらほら咲かせ寺内町
石庭に開かずの扉花八手
落柿舎の木の天辺に冬の鵙
洛中をもうひと回り年惜しむ
裸木の上枝下枝のひかりあふ
隙間風乗せて一輛電車かな
梟や闇の奥なる伊賀甲賀

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令和7年3月号に掲載

年新た
輪飾に意固地の捩れありにけり
逆立ちを初空へ向け獅子瓦
一喝を降らす鳥居の初鴉
新しき苗字の女礼者かな
縀帳の揺らぎ始むる初芝居
悪友と揃うて発ちぬ初電車
たこ焼におまけの二つ初戎
仕出し屋の来てをる寺の小正月

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