最終更新日(Update)'15.03.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 萩原一志 |
「行方知れず」(作品) 白岩敏秀 |
「邪気払ふ」(作品) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)坂本タカ女 ほか |
白光集(村上尚子選)(巻頭句のみ掲載) 間渕 うめ 、西村ゆうき ほか |
白光秀句 村上 尚子 |
白魚火集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 田口 耕、森 志保 ほか |
白魚火秀句 白岩 敏秀 |
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季節の一句 |
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(東 京) 萩原 一志 |
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つるし雛鳥に魚に虫に毬 小浜 史都女 大川に潮の満ちくる涅槃西風 寺澤 朝子 係留の船みな白し春一番 林 浩世 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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冬 の 壁 坂本タカ女 海鳴りや行方くらます冬の蝶 木枯や石塊土台漁夫の家 鮭採卵場鎖す手袋の落ちてをり 草まみれなる犬ふぐりの返り花 落葉松林白樺林時雨けり 羽搏かずとび交ふ鴎浪の花 炊きたて茸飯土鍋ごと風呂敷に 吾が影の猫背うすうす冬の壁 笹 鳴 鈴木三都夫 採るよりも零るる数の零余子かな 園丁の箒にかかる龍の玉 一羽鳴き二羽ゐるらしき笹子かな 笹鳴の鳴き零したる茶の実かな 雨寒し宿る術なき石仏 寒蘚の石の座寒き一羅漢 冬桜枯木に花を咲かせけり 茶の花の咲き残るまま年越さん 三 日 山根仙花 ポケットに手を突つ込んで枯野ゆく 葱刻む音の忙しき目覚めかな 攻めてくる柚子湯の柚子を押し払ふ 部屋部屋のまだ落ち着かぬ初暦 一冊の歳時記机上に去年今年 変りなき初山河あり有難し 立ちのぼる初湯の湯気に身を沈め 新しき句帳をひらく三日かな と ん ど 安食彰彦 気負はずに生きんと思ふ二日かな 告げぬこといろいろとあり餅を焼く 受験生ほつたらかしに山眠る 神官の手よりとんどの御神酒受く 神苑の青竹爆ずる大とんど 笛の音に煽られてゐるとんどかな 神苑のとんど紅蓮となりて果つ おもむろにマスクを掛くる美人かな お 元 日 青木華都子 長梯子掛けて捥いだる柚子四、五個 除夜の月仰ぎつつ鐘撞いてをり 蝶凍つる靴脱ぎ石の日溜りに 夜明け前雪から雨となつてをり のけ反つて撞く除夜の鐘二打三打 初明かり男体山の真上より 正座して聞く説法やお元日 短冊にしたたむる句やお元日 初 東 雲 村上尚子 木枯の吹き残したる山の月 無傷なる朴の落葉を重ね持つ 霜柱踏んで返事の大きな子 学僧の声きびきびと十二月 杉の秀に星を飾りて年籠 初東雲波押し合うて来たりけり 音少し弾ませ包丁始かな 切山椒となりの部屋の笑ひ声 豆腐サラダ 小浜史都女 身の丈のくらしもよくて冬構 鳰昏れて水の匂ひも昏れてきし 町並に白抜きのれん師走来る コンセントで水車のうごく十二月 十二月八日冷たき小芥子の目 田仕事の男勝りや山眠る 柚子風呂に百を数へし日もありぬ 豆腐サラダ大根サラダ年忘れ |
去年今年 小林梨花 古里の如き温もり掘炬燵 不意に降る雪に埋もるる地主神 行く年や沖よりの風がうがうと 燭の炎の瞼に残る去年今年 年始とてスマホで交はす親子かな 名湯の匂ひに浸る初湯かな 初漁の出船の汽笛高らかに 寒に入り耳の奥まで疼きけり 津軽富士 鶴見一石子 菊焚いてけふの力を賜はりぬ つつましく生くる真情お茶の花 冬銀河涛が涛打つ鹿島灘 津軽富士真向ひにあり大根干す 米糠も雑ぜて寒肥打てといふ 熱燗や飯台にあるつまみ塩 置き薬買ひ薬ある掘炬燵 天命は切りひらくもの冬北斗 初 景 色 渡邉春枝 冬鳥の好きな木のあり森のあり マネキンの高き鼻梁や寒波来る 凍つる夜の薬缶に満たす山の水 すぐそこと言はれて遠き冬田道 着ぶくれの肩のふれ合ふ秘佛堂 群鳥の一斉に翔つ初景色 初春や寺に伝はる玉の石 石手寺の香煙まとふ五日かな 数 へ 日 渥美絹代 乾きゆく港の糶場冬夕焼 数へ日の母に日射しの深き部屋 飾売り月の明るくなつてきし 煤払しばらく風の止みてをり 忌籠の家南天の実のたわわ ひとひらの雲の流るる松飾 墓道の途中御慶を交しけり 光りつつ流るる川や麦青む 時 雨 忌 今井星女 太陽は燃えはらはらと牡丹雪 降る雪をあたたかしとも思ひけり 一としばれ来て大根の漬かりけり 鰊づけ氷と共に食卓に 雑用といふ言葉なき師走かな 芭蕉庵に羽根を休めし都鳥 時雨忌や庵に今も蓑と笠 露の世に恥づることなく生きたしと 空 風 金田野歩女 冬の地震崩されてゐる軒の薪 寒の濤真正面の無人駅 空風に押され浮足五歩六歩 松飾りやうやう築後二十年 紫の雲の棚引く二日かな 縫初や直ぐに乱るる針の山 賑やかも静かも宜し四日かな 色白の寒月仰ぐ家路かな 初 山 河 寺澤朝子 羽子板市一段高みに幸四郎 その先は浅草六区飾売り 高階の窓の下行く夜番の柝 中天に月皓々と年行く夜 初山河一人ひとりに母郷のあり 嘶いて寄りくるポニー初社 踏みさうな近きへはづみ初雀 東国の土やはらかや若菜摘む |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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冬 鴎 上村 均 遠く来し船に群がる冬鴎 ともづなを解くや港に冬の虹 ゴンドラの影の這ふなり冬紅葉 水仙や農家に残る牛舎跡 一舟を川に残して冬日落つ 寒林の隙をするする日の沈む 去年今年 加茂都紀女 南から今日は北から雪だより 柊の咲く二荒山の裏鬼門 奥殿の弥陀見そなはす除夜明かり 筑波嶺に満月あがる五日かな 七草を探して風の姿川 割烹着の白にこだはる松の内 臘 梅 関口都亦絵 鴨浮寝相寄る瀞の碧さかな らふ梅のはや香を零す坂の家 ダムとなる母校最後の初国旗 美しきさくら炭の火お初釜 寄せ植ゑの小さき春を窓に置く 子ら帰り生気の戻るシクラメン 雪が降る 奥田 積 残菊は「片付けました」と妻のいふ 農小屋のセメント瓦冬ざるる 息で描く硝子の絵文字クリスマス のんびりと妻の買物雪が降る 電線の混みあつてゐる雪の朝 郵便受をはみ出す手紙雪ばんば 地 酒 梶川裕子 筆太の地酒の徳利熱燗に 人の訃の駈けぬけてゆく虎落笛 水明りほどの華やぎ枇杷の花 風花の舞ふ御城下のなまこ壁 山門は閉づることなし銀杏枯る 伯耆富士のよく見ゆる日や大根干す 風 花 金井秀穂 風花のいのち大地に触るるまで 相寄りて炬燵はみかん剥くところ 白き息箱根の山を駆け下る 浄め塩ほどのお降り賜はれり 病床の枕辺に吊る新暦 初暦先づ捲り見る十二枚 |
鴨 の 長 坂下昇子 小春日の雲が羊になりにけり 枯木立教会に灯の点りたる 全長を見せて羽博く鴨の長 富士に日を残して暮るる枯野かな 足跡のたちまち消ゆる冬砂丘 息吐いて今朝の寒さを確かむる 大 晦 日 二宮てつ郎 海眩し裸木の声聞えさう 電子辞書打ち違へたる時雨かな 枯山や枯トンネルや通院路 遠き音また一つ生れ冬の暮 枕許の懐中電灯虎落笛 電柱の無言と対し大晦日 ひよんどり 野沢建代 御降りの雪の残れり三日堂 集落は二十に足らずひよんどり 奥の間に面置く棚や霜の声 斎竹で囲む御手洗冬椿 笛の音の届く棚田の蕗の薹 臘梅の見上ぐる丈となり匂ふ 冬 芽 星田一草 出雲より便りの届く神無月 読み止しの眼を移す蜜柑山 鴨寄り来ポケットにあるパンの屑 牡丹の冬芽は確と朱を抱く 尖塔の十字架に日矢片時雨 冬ざるる送電線が山繋ぐ 初日の出 辻 すみよ 力抜く葉より落葉となりにけり 数へ日やゆつくり廻る観覧車 着ぶくれて少し恥らひありにけり 如来様くすぐるやうな煤払ひ 茶原より喚声あがる初日の出 普段着で行く産土の初参り 干支の鈴 源 伸枝 牛の仔の太きゆばりや冬うらら 百円で動く木馬や山眠る 冬麗や筆にふくます墨の色 湧くやうに綿虫ふゆる古戦場 行く年の埃を眉に木地師かな お降りや掌に鳴る干支の鈴 |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
村上尚子選 | ||
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間渕 うめ 初買や蕾あまたの花の鉢 西村 ゆうき 山の日の大らかにあり冬木の芽 |
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山寺の大藪小藪三十三才 連弾の肩に肩触れクリスマス 白菜をきゆきゆつと鳴かせ漬けにけり 前山に雲の影おく師走かな 伴奏は足踏オルガン聖歌隊 大鍋を自在に預け冬籠 畑に置く菜にとんがりの雪帽子 田を守る神に一献お元日 一週間咲いて今日より冬の薔薇 夜神楽や幕の端より風の入る 年の瀬をよいしよと越して九十歳 ゴーガンの画集見てをり外は雪 散紅葉忍び返しの鉄の錆 角刈りにされて垣根の年用意 大根引き夕日を背負ひ終りけり |
大滝 久江 吉田 美鈴 中村美奈子 富田 育子 花木 研二 井上 科子 荻原 富江 田原 桂子 中村 國司 阿部芙美子 油井やすゑ 池森二三子 原田 妙子 大石伊佐子 梶山 憲子 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
白岩敏秀選 |
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島 根 田口 耕
貝殻や踏めば砕くる冬の音 浜 松 森 志保 待ち合はせ場所まで枯葉踏みて行く |
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白魚火秀句 |
白岩敏秀 |
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海鳴りの囲みし島の三が日 田口 耕 今年の正月は雪で始まった。これを「御降り」と思えばめでたいが、荒れるとそうとばかりは言っていられない。作者の住む隠岐島へのフェリーは欠航となってしまう。 待ち合はせ場所まで枯葉踏みて行く 森 志保 街路樹の枯葉なのであろうか。葉を落とした木々の上には寒々とした空がある。待ち合わせの刻を気にしつつ行く歩に、枯葉を踏む音がついてくる。 輝いて冬鳥の発つ林かな 田原 桂子 この冬鳥は一羽なのか数羽なのか不明だが、筆者は数羽と解したい。一羽では空の広さや林の広さに負けて「輝く」印象が薄くなるからである。 雪匂ふ一本道を帰りけり 西村ゆうき 雪明かりのなかに続く一本の道がある。彼方には町の灯りがあり、その一つが我が家の灯り。灯りの方へ雪の匂いの道をひたすらに、ただひたすらに歩いて帰る。 子の茶碗しまつて終るお正月 横田美佐子 「来て嬉し帰って嬉し」という言葉があるそうだ。子ども達が帰省して元気な姿を見ることは嬉しい、子ども達が帰って忙しさから解放されるのも嬉しい…とのことだろう。 着ぶくれて体重計の狂ひけり 玉木 幸子 お正月膝から膝へ送る嬰 加藤 明子 嫁いでいた娘が赤ん坊と帰ってきたのである。家族全員で赤ん坊を、宝物のように膝にとってはあやしている。赤ん坊が笑えば家族のみんなが笑う。暖かで和やかな一家団欒のひとときである。 湯たんぽや母の足より眠りつく 柴田まさ江 今時の湯たんぽの材質は様々でプラスチック製のものまである。材質はどうであれ、効果は皆同じ。健やかな安眠を約束してくれる。 |
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