最終更新日(Update)'15.07.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 横田 じゅんこ |
「鼓笛隊」(作品) 白岩敏秀 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)坂本タカ女 ほか |
白光集(村上尚子選)(巻頭句のみ掲載) 鈴木 喜久栄 、岡 あさ乃 ほか |
白光秀句 村上 尚子 |
仁尾正文先生を偲ぶ坑道句会 小林 梨花 |
白魚火集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 林 浩世、中山 雅史 ほか |
白魚火秀句 白岩 敏秀 |
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季節の一句 |
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(藤 枝) 横田 じゅんこ |
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蟬鳴いて梅雨はとつくに明けてをり 仁尾 正文 半夏生発条巻き式の腕時計 二宮 てつ郎 夕星に南部風鈴鳴り出しぬ 久家 希世 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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蝮 屋 坂本タカ女 蛇出づる道端馬頭観世音 あるあると蛇の蛻の話かな 踏み潰したるごはんつぶ蠅生る 蝮屋のいまもまむし屋つちぐもり 引き返し覗く蝮屋おぼろかな 懸命に水車を廻す雪解水 種浸しありぬケットを掛けありぬ 聞えくる峠の汽笛春霞 灌 仏 会 鈴木三都夫 灌仏会花の七堂伽藍かな 飾られし花影婆娑と甘茶仏 甘茶仏とろりと濡れて在しけり 万朶はや雨の落花となりにけり 散る花に取り残されてゐる思ひ つつじ句碑躑躅がくれに見えてきし 訪ふ句碑の年毎険し躑躅山 一年に一度逢ふ句碑躑躅燃ゆ 古川句碑 山根仙花 木々どれも歓喜の声をあげ芽吹く 惜しみなく空の広さへ木々芽吹く 逢ひに来し緑の中の古川句碑 葉桜の影踏みて訪ふ古川句碑 地に低く咲くたんぽぽに佇みぬ 水音のかすかにありし青すだれ 鐘の音の長き余韻や春夕べ 薫風や古き唱歌を口遊む 大 手 毬 安食彰彦 ふりむけば白を極めし大手毬 山風にほろりと咲けり更紗木瓜 全円の蒲公英の絮風待ちて 茄子苗とトマトの苗を二本づつ 田も畑も杉菜ばかりの村境 はんなりと影を持ちたる黒牡丹 田植機を降りて夕日を拝みけり 雨蛙鳴く日交渉まとまらず 白 牡 丹 青木華都子 けきよけきよとほうと鶯声試し 結ばずに包む風呂敷さくら餅 散る牡丹明日咲く牡丹白牡丹 ぼうたんの一気に崩る紅と白 通り抜け出来るお寺の白牡丹 花は葉に並んで二本山ざくら 蓬摘む指先よもぎ色に染む 駄菓子屋のどれも百円柏餅 豆 の 花 村上尚子 昭和の日富士が大きく見えてをり 剪毛期荒繕ひの牧の柵 羊剪毛仕上げの爪を切りにけり ぐづる児に少し手ごころ豆の花 春服の女史軽軽とチェロを負ふ 一人だけ乗せてバス行く桐の花 生えたての歯を覗きをり新樹光 夕薄暑物干し台に人のこゑ 先 師 小浜史都女 千坊の一つのこれり囀れり 先師より教はりし姫踊子草 一枚だけ残りげんげ田鋤かれゆく 負荷すこしかけて歩けり金鳳華 草いちご木いちごも花終る雨 竹の子の掘られしあとの力雨 見たくなき蛇帰りにも見てしまふ 娘の家とおなじびつくり茱萸熟るる |
開眼法会 小林梨花 声明の響く御堂や緑立つ 開眼法会墓石輝く蝶の昼 空に書く白毫の筆春深し 新緑や朱き法衣の袂揺れ 若葉風開眼法会の経流る 開け放つ堂に飛び込む夏燕 転読の風に揺らめく夏の燭 緑さす色とりどりの風の旗 杉 花 粉 鶴見一石子 人を恋ひ大地を恋ふる別れ霜 束の間のごろ寝賜る目借時 杉花粉いまさら何を咎むるや 幸せはほどほどがよし夜の新樹 あやめ草江戸へ百里の水車 天領の里綿菅にうもれけり 木道のくの字くの字の水芭蕉 鳴き龍の哭ける薄暑のこゑにぶし 滝 渡邉春枝 渓流の底まで透けて若葉風 語るごと男滝女滝の響き合ふ 滝落ちて滝のしぶきに煽られし 滝壷の瑠璃より深き色湛へ 濃淡の若葉かさねて山深し 滝を来て滝に憩ひの荷を下す 滴りの一滴づつの流れかな 髪洗ふ秘境の谷を下り来て ゆ く 春 渥美絹代 正文を語るに春の踏込炉 おん僧の摘みし蕨の丈そろふ 桜蘂降る分校の投票所 いきなりの大粒の雨御開帳 ゆく春の峠越えゆく路線バス 天窓に白雲あふれ武具飾る 大鯉の跳ね矢車のよく鳴りぬ 葉桜やバイク影濃くよぎりゆく 白 木 蓮 今井星女 白蓮の日ごと日ごとの蕾かな 白蓮のつんつん空へ蕾上ぐ 白蓮の蕾ふくらむ昨日今日 白蓮の葉に先がけて花ひらく 白蓮の白を極めて影もたず 夜の闇に白木蓮のあかりあり 「サイタサイタサクラガサイタ」と幼き日 廃校となる学舎に桜咲く 名残の雪 金田野歩女 名残の雪意地張るやうな降りつぷり 春日和白熊の仔の授乳中 三世代揃つて仰ぐ紫木蓮 レプリカの象の骨格花曇 鰊の目と視線合はさぬやう捌く 春風や小樽名代の蒲鉾屋 西向きの書道教室薄暑光 車椅子に譲る木道水芭蕉 麦 の 秋 寺澤朝子 筆文字の馴染みて来たる仏生会 とほく鳴るお帰りチャイム花おぼろ ビルの間に結びて流れ花筏 読書いま幕末時代春の闇 ひと雨にぬれて生き生き軒菖蒲 乳母車に子犬満載五月来る 蜿蜒たりし若き日憶へ麦の秋 「暫」の像に睨まる若葉寒 |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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藤 見 富田 郁子 藤寺の藤の盛りに誘はるる よき日和老婆も猫も藤見かな しだれ咲く藤に飛びつく三才児 藤棚の卓にひらひら花が散る 藤棚の下に浮世を忘れけり 藤ゆれて夢うつつなる卒寿かな 蝶 の 昼 桧林 ひろ子 膨らんで来て囀りの木となりぬ お布巾のひらひら乾く蝶の昼 老鴬の貫禄の声揃ひけり 鉄線の花水平に咲きそろふ 小判には少し間のある小判草 サングラス似合はぬ年となりにけり 老 鴬 武永 江邨 一枚は上戸ばかりの花見茣蓙 燕来る空家となりし軒覗く 八重椿朝の靜寂に落ちにけり 老鴬の声撥ね返すダム湖かな 老鴬の兄の忌日を告げに来し 老鴬の声筒抜けや忌を修す 水 芭 蕉 野口 一秋 人肌の一献八十八夜寒 鳴竜を鳴かせ日光夏のはじめ にんげんの貌貌貌や水芭蕉 末席を汚してをりぬ余り苗 仏心の掃きのこしたる蟻地獄 アカシアの花の天麩羅乙なもの 夕つばめ 福村 ミサ子 手裏剣のやうに飛び交ふ雨つばめ 光りつつ春田をめぐる水の音 雉子鳴く動くものなき村の昼 花街の名残りの路地や夕つばめ 開きゆく力に揺るる牡丹かな 七七忌姉に剪りたる白牡丹 新茶注ぐ 松田 千世子 句碑の裾忘れ杖あり麗らけし 夕さりの風の柔らぎ茶の芽立つ 連れ添へば無言も会話新茶注ぐ 母の日や唐桟縞の母を恋ふ 雨あとの開ききつたる破れ傘 空つぽのバス折り返す茶摘どき 風 光 る 三島 玉絵 城門の乳鋲の銹や花曇り 花冷や温め直す薬草茶 胸像の耳ふくよかに風光る 高空を風通り過ぐ竹の秋 火袋を抜くる風あり若楓 梵鐘の余韻の籠もる朧かな 飛花落花 織田 美智子 口笛を吹きて犬呼ぶ木の芽晴 手にほぐす土や蛙の目借時 豆の花天気予報のはづれけり 校門のあたり最も飛花落花 桜しべ降る産土の百度石 クローバーの四つ葉を捜すいまもなほ |
草 競 馬 笠原 沢江 ざわめきを煽る潮風草競馬 声援が茶原に届く浜競馬 竹の子の掘り手を連れてふる里へ 一頭が号砲恐れ草競馬 負けと見て外れてゆきたる草競馬 吹き荒れに怺へてゐたる実梅かな 春 の 海 上村 均 投錨の音して春の湖明けぬ 急坂の尽きてひろごる春の海 ひらひらと大河に出でし蝶戻る 菜の花や舟を操る竹撓り 囀りや巫女が塵焼く奥の院 仲春を鳥の語らふ雑木山 大 曝 書 加茂 都紀女 手伝ひに戻る寺の子端午の日 筍の伸び放題や寺行事 本堂の鴟尾の金色五月晴 廻廊に僧の沓音風薫る 大般若心経唱和大曝書 もてなしの筍飯の五升炊き 初つばめ 関口 都亦絵 岩山の梵天掠め初つばめ 胸突きの磴の氏神花万朶 花筏鯉の尾鰭が崩しけり 乳の香の残る牛舎や雀の子 踊子草をどり疲れを見せぬ色 老鶯に力をもらひ八合目 与謝野晶子の堺 奥田 積 落花あぶる晶子の歌碑や朝まだき 駿河屋は晶子の生家花すみれ 利休井戸へ飛石づたひ花ぐもり 茎立つや鉄砲屋敷の細格子 山川に山川の音山桜 白波のせかるる瀬音濃山吹 雨のひかり 梶川 裕子 雨の日は雨のひかりに柳の芽 甘茶佛背すぢ正して濡れ給ふ 春昼の汲み出してゐる舟の塗 竹垣の縄目の揃ふ木の芽風 雨意こめて湖平らなる残り鴨 庫裡の灯の墓域に洩るるおぼろかな 初摘新茶 金井 秀穂 花辛夷暮れかねてゐる一と所 三寸の小釈迦に適ふ甘茶杓 観音の捧ぐる蓮華花の雨 裏山に雉子の棲みつく杣家かな 太極拳の仕種ゆるゆる花の下 初摘みの新茶速達便でくる |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
村上尚子選 | ||
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鈴木 喜久栄 うぐひすの一声杜を濡らしけり 岡 あさ乃 遠足の列を遮る信号機 |
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風に折れては噴水の立ち上がる 春筍の重さに尖る畚の底 少しづつ下ろすファスナー花疲れ 乾杯は手作りジュース春の宵 尾鰭まで風を貰ひて鯉幟 母山羊の乳房おもたき卯月かな 桐箱に納むる雛の重さかな 大輪の緋牡丹いさぎよく崩る 留守番を詰碁で過ごす日永かな 昭和の日午後より雨の上がりけり 手の平に数たしかめて種をまく 月朧文草々と結びけり 鯉のぼり吹奏楽の音にそよぐ 百植ゑて百の花咲くチューリップ 葱坊主踵つぶれしスニーカー |
大石登美恵 西村ゆうき 牧沢 純江 西川 玲子 大石 益江 北原みどり 浅見 善平 高添すみれ 貞広 晃平 鍵山 皐月 落合 勝子 若林 眞弓 有田きく子 山口 和恵 水出もとめ |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
白岩敏秀選 |
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浜 松 林 浩世
巻癖のとれぬ賞状木の芽風 浜 松 中山 雅史 負鶏の鶏冠ちぎれてとびにけり |
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白魚火秀句 |
白岩敏秀 |
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帆は風を大きくはらみ夏近し 林 浩世 海原の風をはらんで大きく膨らむ白い帆。或いはうねり来る波に右に左に揺れているかも知れない。 作り滝匂ひなき水流れをり 中山 雅史 涼を感じさせるために、料亭や公園に滝を作ることがある。岩組も水も本物。しかし、「神ませば」とも思われず、「群青世界」も轟かない滝である。特に、万緑の山を断ち切って来た水のワイルドな匂いがない。 大き手は男の勲章畑を打つ 若林 光一 長年、農に従事してきた手である。厚くてがっしりと大きい。 検針員ゆすら咲く庭通りけり 鈴木 利久 どの検針員もそうだと思うのだが、彼等はすっと影のようにきて、影のようにすっと帰ってゆく。勿論、顔が合えば会釈は交わすのだが。 大雪山の源流下り山女釣る 岡崎 健風 大谷川もんどり打つて夏に入る 秋葉 咲女 広辞苑によると大谷川は「栃木県西部の川。中禅寺湖の水が落下して華厳滝となり、含満ヶ淵・日光市をへて鬼怒川に合流する(略)」とある。さすれば、もんどりを打った辺りは華厳の滝あたりか。 畑打ちの畝まつすぐに駒ヶ岳に伸ぶ 小嶋都志子 「駒ヶ岳」を辞書で調べてみると六つの駒ヶ岳があった。 鶯の声あたたむる藪の中 鶴田 幸子 春の鶯の声は、まだ幼くてたどたどしい。一声鳴いてはしばらく休む。それを作者は次に鳴く声をあたためていると捉えている。幼いものや未熟なものに対する暖かい思い遣りが感じられる。きっとやさしい人なのだろう。 |
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