最終更新日(Update)'14.04.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 宇賀神 尚雄 |
「言 霊」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 髙島文江 、古川松枝 ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
句会報 さざんか句会 横田 茂世 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 後藤政春、小林布佐子 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(宇都宮) 宇賀神 尚 雄 |
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焦がれ来し奥千本の桜かな 岡 あさ乃 花嫁の打掛けの如花枝垂れ 坂東 紀子 風出でて込み合うて来し花筏 小松みち女 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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黙 安食彰彦 如何ともしがたく黙の懐手 雪降れふれ食べよう鯉の糸造り うるめ焼く酒席の話たあいなく 蕗の味噌句会のあとの語らひに 立春や髪を梳きをる中学生 床にある花瓶に匠春を差す 正座して眺むれば梅ささやけり 春大根会釈をしつつ抜きにけり 千両万両 青木華都子 実万両千両も活け山の宿 陣なして日溜りが好き鴨浮き寝 鳴く鴨に応ふる鴨の二た三声 日の当る方へ方へと鴨の陣 二羽三羽来てまた四、五羽寒雀 をたけびをあげをり雪の華厳滝 風止んで雪の男体山眩し 戦場が原一面の雪の原 余 勢 白岩敏秀 笑ひ声近づいて来る福寿草 打ち込みの余勢五六歩寒稽古 寒の水童女の舌のさくら色 凍滝の力ぬかざる白さかな 雪晴や百葉箱へ靴の跡 枯野来し男に鉄の匂ひせり さくさくと土切る鍬に日脚伸ぶ 持ち替へてフォークの光る春隣 徒 然 草 坂本タカ女 闇汁の真赤な嘘のトマトかな 闇汁の鍋の底なる柿の種 雪卸し人夫のニッカーボッカーズ 逆睫抜かるる冬日顔にのせ 粗大ごみ貼り紙はりし炬燵かな 寒鰤の目玉がふたつ皿の上 返り咲く色寄り添うて金魚草 徒然草てふ駄菓子つれづれ女正月 浮 寝 鴨 鈴木三都夫 誰彼と御慶親しきどんどかな 直会の肴は鯣どんど終ふ 一宮勅使参道青木の実 その科の枯れてもしだれ桜かな 臘梅の香の滞りをるところ かがなべて掛けし手塩の冬牡丹 人知れず落ちて日を浴ぶ藪椿 鴨ゐるはゐるは浮寝を分ちあひ |
初 湯 山根仙花 庭石のどつかと座り山ねむる 冬海へ灯台孤独の灯を廻す 煮凝りの舌に溶けゆく一人の餉 針山に針の林立寒に入る 雲一つなき寒晴れとなりにけり 賜りし余生やふふむ寒の水 人生の余白を生きて屠蘇祝ふ 初湯出て短き十指反らしみる 金時味噌 小浜史都女 仕留めたる猪に猟犬哮りけり 薄氷に地団駄踏みし跡ありぬ 姫沙羅にしろがねの芽や四温晴 「くまもん」の鸚鵡返しや春隣 やらはれし闇匂ひけり節分会 立春の金時味噌を飯の上 巣づくりのはじまつてゐる砂防ダム 磧焼き風が大きくなりにけり 潮 の 香 小林梨花 金網の向かふに続く雪の原 石垣の裾にひらりと冬の蝶 海へ傘傾け歩む寒の入 寒雀群れて大樹を占領す 大寒の水をたつぷり手向けけり 盆栽の松の上なる忘れ雪 海苔あぶる厨に仄と潮の香 波飛沫かかり艶めく桜の芽 仏 道 鶴見一石子 男体の雪襞太くきほひ立つ 一番星消えゆく大地冴返る 海光の三保の松原朝霞 義の史実つたふる湖沼鳥帰る 春蘭の張りつく岩場仏道 磯節の浪轟轟と春を呼ぶ 春耕の畝千本の息づきす かぐや姫ゐさうな嵯峨野竹朧 日脚伸ぶ 渡邉春枝 大寒の森を出できし水の音 竹一本わたす結界寒牡丹 北風吹くや捕虜収容所ありし跡 水音の砕けて寒き寺苑かな 外出のつづく週末日脚伸ぶ とんどの火爆ぜて地酒の旨かりし 土鈴の音それぞれに寒明くる 山の歌うたひて芽立ち促せり |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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薔薇の芽 小川惠子 息白し磴駈け上がるサッカー部 丁稚小僧ゐさうな蔵の大火鉢 大寒の味噌汁に舌焦がしけり 梅ふふむ鳥居に触るる一枝より 薔薇の芽にささくれ風の容赦なく 桜の芽園児募集の案内板 吉 書 揚 奥野津矢子 語部のねぢりはちまき炉火熾ん 息白し廊下の角をまるくゆく 半纏の手が火を掻ける吉書揚 天空に鳶の旋回どんど燃ゆ 枯れ落ちてかさこそ騒ぐつるでまり すばしこくなる三寒の河烏 春 の 景 齋藤 都 早梅に弾みて来るよ園児服 春めくや砂場で直す袖の丈 公園の椅子深すぐる春の昼 水に添ひ起伏に添ひて春の風 春立つや封書の糊の早や乾く たたう紙のセロハン越しの春袷 初 景 色 西田美木子 風神の機嫌うかがひ雪を掻く 手で洗ふ襁褓日脚の伸びにけり 日向ぼこ胡座の中に稚を置き きらきらと蝦夷には蝦夷の初景色 庖丁始人参一本千切りに あたたかやみどり児といふ丸きもの 一 等 星 谷山瑞枝 楼門に彫られし干支や明の春 母用の雑煮の餅を四半分 凍満月一等星を引き寄せぬ 麦の芽や低く飛んでは休む鷺 一病もなくて軽やか四温晴 飛石のあれば跳ぶなり春隣 |
冬 萌 出口サツエ 一湾の潮目定かに淑気満つ 透き通る鳥の一声寒の晴 探梅や生家の見ゆるところまで 日の温みありて廃家の梅早し 冬萌や小流れ跳べば跳べさうな 歩き出すまでの寒さと思ひけり 雪 眼 鏡 村上尚子 犬進む方を恵方と信じけり 白鳥に見られて池を巡りけり 雪催切り倒す木に×印 雪眼鏡外すそれほど若からず ひらめ干す沖まで晴れて日本海 風花や丹波但馬の国境 新 雪 森 淳子 古暦いはくありげな二重丸 母偲ぶよすがとなりし雑煮かな ポストまで新雪踏んでゆきにけり 歌留多とる手の重なりし夜もありし 味噌汁のうまき四日となりにけり 掌中の重さ確かむ寒卵 立 春 諸岡ひとし 山茶花の夜来の風に散りにけり 幼子が母の手に盛る年の豆 老二人年の豆食ふ五六粒 満開の梅に番の鳥遊ぶ 春立つや白き浮雲青き空 立春の頬掠め降る細雪 |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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髙島 文江 凍ゆるむ口ほどけ良き京干菓子 古川 松枝 寒雀転がるやうに舞ひ降りぬ |
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ずつしりと肩に重たき寒さかな 水音に近づいてゆく初詣 初糶に向ふ仔牛の鳴きにけり 段畑に影の屈折日脚伸ぶ 雪催ひ納屋に眠れる三年味噌 大寒や二人のたまごかけごはん 松過ぎて慶びごとの便りあり 花柄のエプロンつける春立つ日 若水や石燈籠の灯のゆらぎ 水仙の香につつまれて歩きけり 一羽きてまた一羽きて初雀 燭台に蝋のあふるる五日かな 書初の文鎮正し座を正す 実万両馬頭観音までの坂 朝焚火いつもの顔の揃ひけり |
田部井いつ子 中村 國司 新開 幸子 坂田 吉康 山田 春子 若林 眞弓 福永喜代美 根本 敦子 大隈ひろみ 山本 美好 勝部チエ子 金原 敬子 井上 科子 三浦 紗和 貞広 晃平 |
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鳥雲逍遥(3月号より) |
青木華都子 |
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吟行の余韻にひたる露の宿 |
今井 星女 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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高 松 後藤 政春
夜回りの鉦の過ぎゆく大晦日 旭 川 小林布佐子 人が来て卓をつなげり女正月 |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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探梅や橋を渡りて僧戻る 後藤 政春 探梅と橋を渡って戻る僧との取合せであるが、下句の具象が一語一語明快だ。八日八晩不眠で座禅を組む十二月の臘八会がある雪安居の終った頃であるが、この僧については読者の受け取りに任せている。だからそれぞれが描いた像で自由に受け取ってよい。 人が来て卓をつなげり女正月 小林布佐子 この作者も同人賞を得て何年かになる。すぐにでも白魚火賞を受けるのでないかと思われたが伸び悩んでいる。鏤骨の跡が残っていてこれが瑕瑾になっている。旨く言わんとしたことがその因のように思う。 どんどの火餅焼く事も厄払ひ 大石 越代 何処でもそうであるが、大勢で同じ行事を見ると殆んど同じような句が見えて選者をがっかりさせる。その中で季語が三つもあるにかかわらず掲句に注目した。 波音も潮の匂ひも二月かな 今津 保 三音の季語は掲句の如く用いるべきである。「風五月」とか「街薄暑」「縁小春」の「風」「街」「縁」は場所をくっつけて五音にしているのだが、詰まって息苦しくしているだけで言葉ひいては一句の足を引っぱっている。序に言うと「猫昼寝」というようなのがあるが、「昼寝」は人間に係る季語で「猫昼寝」は無季である。 祖父の忌を畳替へして修しけり 出口 廣志 「祖父の忌」「畳替へして」「修しけり」どのしらべも明快。そして頭から一本通ったひびきがすかっとしている。石田波郷は「霜柱俳句は切字響きけり」を示して韻文を強調した。俳句で一句の内容と韻律のどちらが大事かという問に「どちらも大事であるが強いていうと韻律の方にウエイトを少し多く置いている」と言っている。 霜柱ざくつと沈む靴のあと 鈴木 和枝 霜柱がざくっと踏まれて沈んでいる。靴跡を見ると子供だけでなく大人のものもある。霜柱は誰でも踏み崩してみたいもの。素朴な作品であるが共感する向きが多かろう。 束の間の大家族なる寝正月 吉野すみれ 戦前戦中の一家の構成は祖母が居て、家長が居て総領夫婦に二、三人の子や総領の兄弟、姉妹も居て大抵は八名九名という数であった。正月になると離れて暮す二男夫婦や娘の一家が子供を連れて帰省するので客間も居間も大家族時代同様の状態で寝正月をしている。 |
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