最終更新日(Update)'13.07.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 横田 じゅんこ |
「緑さす」(近詠) 仁尾正文 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)安食彰彦ほか |
白光集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 奥野津矢子 、西村ゆうき ほか |
白光秀句 白岩敏秀 |
鳥雲逍遥 青木華都子 |
白魚火集(仁尾正文選)(巻頭句のみ掲載) 岡あさ乃、大澄滋世 ほか |
白魚火秀句 仁尾正文 |
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季節の一句 |
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(藤枝) 横田 じゅんこ |
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跳んで見せ蝦夷赤蛙雨あがる 坂本 タカ女 手につきし蛍のにほひ子にかがす 柴山 要作 父の日の料理を父が作りけり 森 志保 一ケ寺は雲の上なり夏遍路 中野 元子 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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蝮 酒 安食彰彦 木の間より古墳の径の孕鹿 鳥引いて囁く浪のありにけり 鳥引くや赤き陽日本海に落つ 三代の表札かくる薔薇の家 牡丹散る風は飄飄踉踉と 河鹿鳴く小川の流れ太古より 牛蛙咆哮低し闇深し 握手して縁側で酌む蝮酒 花 粉 症 青木華都子 紅梅の香や朝刊を取りに出て 露天湯の湯気に一輪梅ひらく 木の橋根づいてをりし花すみれ 春の虹韓半島を下に見て 春寒しハングル文字で書く手紙 春田打つ土手でいただくにぎりめし 泪目となりたる杉の花粉症 駄菓子屋で買ふ百円の柏餅 山羊の小舎 白岩敏秀 日曜の朝のはじまる百千鳥 納豆の糸ひく朝を雉啼けり 日を弾く力の満ちて水温む やはらかく手の沈みたる蓬籠 切株に座せば風来る山すみれ 遠足の声の集まる山羊の小舎 坐すのみのぶらんこ少女去りにけり 少年の恋春潮の揉み合へる 男 料 理 坂本タカ女 密室のやうな樟剪定夫 剪定夫巣にくる鴉見てをりぬ 割りをりし薪の匂へる涅槃寺 洋弓の的の彩り花大根 いちめんの菜の花明り富士遥か 六本木歩く夜桜並木かな 蒜叩く擂粉木男料理かな 髪染めてくる少年やつばくらめ 茶 摘 み 鈴木三都夫 句帳ペン花見の杖のあれば足る と見かう見最もしだれ桜かな 人形と別る荼毘の火花の寺 藤棚の花影淡く踏みにけり 藤棚の藤を見せんと抱き上ぐる ぼんぼりを藤へ点せし朧かな 代を掻く伸びし茶の芽に急かされつ 機嫌よく伸びし茶の芽を摘みはじむ |
夕ざくら 山根仙花 鶯に励まされつつ磴のぼる 水音へ乗り出してゐる蕗の薹 春遅々と路地に人住む声もなく 狗犬の口の中まで春寒し 参堂の道々春を惜しみけり 反故を焼く火の色やさし夕ざくら 行く春の一湾に波なかりけり 葉櫻の影の騒げる石畳 四 阿 小浜史都女 鹿尾菜刈けふが最後と刈りゐたる 昼過ぎの朝市通りつばめ来る 四阿に穀雨の雨を払ひけり 躑躅垣越し茫洋と街一つ 薫風や晴れ女ゐて先導す 武者幟遊覧船の船着場 砲台の錆び浮き青葉若葉かな 野苺や水さ流しに砂防ダム 白 牡 丹 小林梨花 朝風に膨らみ初めし白牡丹 花片は生絹のやうな白牡丹 シャッターを切る幾度の白牡丹 微かなる風にも震へ白牡丹 夕風に幽かなる香を白牡丹 早々と散つて了ひし白牡丹 総廟の上の明るさ若楓 トロ箱に入れて貰ひし山の蕗 赤 穂 塩 鶴見一石子 鯛釣草鯛百匹を揺する風 百円の渡しいまでも諸葛菜 花菜漬赤穂の塩の甘味かな 金雀枝や本家分家の地争ひ 青嵐死は突然にやつて来る けふもまた泣蟲山の夏霞 麦秋や金波銀波の風生るる 気心の知れし言葉の冷奴 山 鳩 渡邉春枝 種まくや指の先まで年重ね 花菜風グーチョキパーの指体操 山鳩のよく鳴く日なり畑を打つ すかんぽを噛めば戦後の味がせり 五月来る耳なれぬ名の洋野菜 初夏の風をゆらして発車ベル 図書館のいつもの席や緑さす 母の日の午後の珈琲熱くして |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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パントマイム 横田じゅんこ 桜蘂降る降るパントマイムかな 一羽出て二羽戻り来る巣箱かな ふらここの天にゐる子と地にゐる子 鯉のぼり洗濯物のごとたたむ 朴の木の花のはじまる高さかな 迷路めく薔薇といふ字を好みけり さ く ら 浅野数方 遠山のうすむらさきや桜鱒 手庇に幾多の棹や鳥帰る ふつくらと団子の焼くる花見茶屋 花衣還暦ふたつみつ越えて 花時の小川を跨ぐ馬の道 桜散る蔵の茶房の砂時計 棟 梁 渥美絹代 花過ぎの鶏の出歩く山家かな 榧の花咲ける一番札所かな 春の虹橋渡る間に消えてをり 棟梁の今日は棚田の畦を塗る 水音に沿ひつつ歩き春惜しむ なんぢやもんぢや咲ける林業試験場 筍 飯 池田都瑠女 野仏の小銭を散らす春疾風 寂れゆく商店街や黄沙降る 春空に透かして通す針の穴 何処訪ふも筍飯でもてなさる 蕗味噌に母の想ひ出一しきり 原発を遠見に泳ぐ春の鴨 春 水 西村松子 初蝶のはや影もちて立ちにけり 湖の日を待たせて魞を挿しにけり 一丁の鍬春水をもて洗ふ 芽起しの雨茶山より茶山見る みどりさす玻璃の明るさスープ煮る 神名備の裾渺渺と麦青む 沙 汰 森山暢子 人の代のいくばく春田打ちにけり 蛇出づる女人の沙汰を知りたくて 雛みて枯山水の庭を見て 雉鳴くや遠く過ぎ去るものたちに 花疲れ雨切つて飛ぶ鳥を見て 一島のどこも黒ぼこ春深し |
囀 れ り 柴山要作 雲巌寺背山前山囀れり 雪柳やさしき文字のかさね句碑 野の花も挿して明日待つ花御堂 睦むごと卵塔五十花馬酔木 いさかひかはた求愛か春の鴨 藍甕のつぶやき合へる春の昼 葱 坊 主 荒木千都江 咲きてほめ散りてたたふる桜かな 地虫出づ野はゆるやかに力ぬく 動く灯はみな朧なる湖畔かな 八重椿八重の重さの音落とす 沖からの風に向ひて青き踏む 潮風を受けて真つ直ぐ葱坊主 白 牡 丹 久家希世 じわじわと山水の滲む芹を摘む 昂ぶりを静め見詰むる白牡丹 閉づる仕草日暮れに馴染む白牡丹 青あをと菖蒲の映る山の池 稜線に茜の淡と夕蛙 麦の穂の色揃ひたる細雨かな 楤 の 芽 篠原庄治 庭を掃く箒に軽ろき花の屑 連翹の周り明るく昏れにけり 楤の芽の擡げはじめし首を摘む つばめ来る昼に人無き山家かな 畦の泥盗んでゆけりつばくらめ 風薫る万歩越えたる歩数計 目 借 時 竹元抽彩 鈍色に宍道湖包む養花天 花屑をつけて御座すや撫で仏 蜑路地を直角に出て春の海 桜蕊掌に落つ雨催ひ 襖絵の虎が牙剥く目借時 行く春や名残りを惜しむ夜の酒場 手打蕎麦 福田 勇 新築の軒に早くも燕の巣 晩春の旅で買ひたる一夜干 浜風を一杯受けて喧嘩凧 葉桜や旅の途中の手打蕎麦 常滑の急須に新茶汲みにけり 皐月咲く村のはづれの赤ポスト |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
白岩敏秀選 | ||
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奥野 津矢子 雪解急色あるものを晒しけり 西村 ゆうき 散る花の軽さ両手にとどめをり |
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飛花落花息を足しつつ磴登る 杏咲く植ゑし父の忌重ねつつ 花の色花に戻して夕日落つ 雪解山鹿鳴く声の谺して 対岸に遠会釈して春帽子 二次会の赤きカクテル春の宵 二拍子に商談決まる新茶市 隅田川花の筏を流しけり 藤の房ひねもす香りゆらしけり 春光やブロンズ像の少女跳ね 春夕焼明日の米を研ぎてをり 手を置けば耿史の句碑に花の冷 初夏の風に芯ある雲巌寺 夕映はむらさきいろに恵那山の春 山風の真直ぐに来る青田かな |
吉田 美鈴 西田 稔 大滝 久江 今泉 早知 宮崎鳳仙花 内田 景子 山本まつ恵 山羽 法子 河島 美苑 江連 江女 守屋 ヒサ 福田はつえ 秋葉 咲女 井原 紀子 江角眞佐子 |
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鳥雲逍遥(6月号より) |
青木華都子 |
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つややかな辛夷の花芽雨弾く |
田村 萠尖 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
仁尾正文選 |
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出 雲 岡 あさ乃
桑解くや石の標の札所道 浜 松 大澄 滋世 甲斐駒のたてがみなびく朝桜 |
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白魚火秀句 |
仁尾正文 |
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花筵上座下座のなき円座 岡 あさ乃 筆者は四十数年のサラリーマン生活を送ったが、内三十五年は鉱山であった。何故か鉱山は桜の名所になっている所が多く、地元の自治会役員を招待したり、近隣から花見に来る者らが相次いだ。掲句は、それらと違って鉱山事務所自体の花見のようだ。上座には所長、次長や課長が並び、下座には新入社員や若手社員が自ずと占めた。上司の中でもこういう宴席が好きで自らハメを外す者、余り興味がなく、少し居るとさっさと帰ってしまう者など様々である。どちらにしても元気な社員たちは大騒ぎして座は盛り上げる。 甲斐駒のたてがみなびく朝桜 大澄 滋世 甲斐駒は、甲斐に産する馬。古来駿馬とし名高く、当時国内最強といわれた信玄の騎馬軍団の主体をなしていた。 岩かがみ六字を称へ今日の無事 平間 純一 この句の六字は「六字の名号即ち南無阿弥陀仏」あるいは「六字陀羅尼の文殊菩薩の真言、あんばけだなる」の何れか。六字を毎日読経して一日の無事安心を得た。ということは近親者が亡くなり喪に服しているのであろう。平常は般若心経や御真言の唱名は耳にして知っているが四十九日迄毎夜家族の一人がリーダーになって読経することは仲々うまくゆかぬ。七日毎に来る僧に真剣になって学び喪明けの頃はすっかり安定してくる。一日一日無事に六字が唱えられて心が安まるのである。供花の岩かがみが此岸の者をも癒やしてくれる。 正門を入れて受験子写しけり 石川 寿樹 この正門は受験の子が是が非でも入りたい学校の表門であろう。出来上った写真を額に入れて机上に置き毎日これを見て「憧れ」をかき立てて励んでいるのである。 母の齢越えて卆寿のさくらかな 水出もとめ 「母の齢越えて」という句はゴマンとある。このフレーズに続くのは自己の思い、とパターン化している。が、この句は作者が卒寿になって眺めた桜。くどくどと物を言ってないので読者は身に引きつれて思いを拡げることができる。 麗かや造酒屋の宝井戸 大澤のり子 「宝井戸」は広辞苑にない。作者の造語であろうがひびきがよく宝の如く大事にしている井戸ということも分り、この造語は成功している。銘酒には極上の水が命。宝井戸には宝の如き水が噴湧するのである。 夏に入る領巾振山も玄海も 脇山 石菖 領巾振山は唐津市浜玉町の背後にある鏡山。万葉集や肥前風土記によると、美人の松浦佐用姫は恋人の大伴狭手比古が朝命により任那救援のためこの地より朝鮮に出兵した折、別れを惜しんで領巾を振り続けた。この悲恋の物語りは広く知られているが、掲句は、夏に入った領巾振山と玄海だけを呈示してインパクトのある作品とした。読者を信頼し切った諷詠である。 大学へまつすぐ続く桜かな 林 浩世 描かれたのは大学まで真直ぐ続く桜の並木だけである。単純極まりのないとも無言の句ともいえるが強靭な作品である。「まつすぐに」との描写からは、この道を眉を上げて大股で通っている若人が浮かんでくる。無限の未来のある彼等にエールを送っているかのようだ。本年の浜松白魚火会総会句会、一〇九人、二一八句中特選一位に推した句である。 春暁や白樺の幹赤々と 岩渕 洋子 夏の日の出二十分程前に富士山の肌が真赤に染まることがある。赤富士といわれ有名な |
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