最終更新日(Update)'16.09.01 | |||||||||||||||
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季節の一句 稗田 秋美 |
「一番滑走路」(作品) 白岩 敏秀 |
曙集・鳥雲集(一部掲載)坂本タカ女 ほか |
白光集(村上尚子選)(巻頭句のみ掲載) 三原 白鴉 、高橋 裕子 ほか |
白光秀句 村上 尚子 |
白魚火集(白岩敏秀選)(巻頭句のみ掲載) 杉山 和美 、寺田 佳代子 ほか |
白魚火秀句 白岩 敏秀 |
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季節の一句 |
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(福 岡) 稗田 秋美 |
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食欲のますます増しぬ生身魂 新開 幸子 河童忌や不意に垂れ来し蜘蛛の糸 岡 あさ乃 子も婿もややもO型赤まんま 飯塚 比呂子 |
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曙 集 | |
〔無鑑査同人 作品〕 | |
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風 鈴 坂本タカ女 蕨採り熊出る話してをりぬ 山吹の白を咲かせてひそと住む 真赤なる夕日落ちゆく代田かな Uターンする田植機の手際かな 散るといふよりくづれたる牡丹かな 傷みきし地神の注連や蝉時雨 気まぐれに鳴る風鈴のそれつきり 立ち寄りしついで網戸をはめくれし 更 衣 鈴木三都夫 地震怖し松蝉のふと鳴き止みし 望郷の茶の芽を噛めばほろ苦く 茶摘女の一葉一葉を誤たず 頃なれば駅に新茶のおもてなし 牡丹に溺れし虻の行方かな 咲きそめし卯木の花に雨催ふ この夏を乗りきる衣更へにけり 微々と揺れ浜昼顔の怯むなし 花 合 歓 山根仙花 花合歓や波音籠る峠越す 花合歓や繰返し読む女文字 大屋根の反りを豊かに青葉寺 刃物屋の刃物刃物に雷走る 真つ直ぐに風切つてゆくサングラス あり余る程の薫風貰ひけり 海よりの風を斜めに夏帽子 山の田の水より暮るる花菖蒲 寝 汗 安食彰彦 池のぞむ首もたげたる青大将 結界の池の亀の子首のばす 寝汗かく彼岸の父にしかられて 水を打つきれいに打つて呉服店 おとがひの汗そのままに郵便夫 夏旺ん四拍手の音たえまなく 夏草や坊の礎石に忘れ鎌 部活動にからめとらるる夏休 三 河 湾 村上尚子 梅雨晴間海へ鳶の輪ゆるめけり 夏帽子水族館に列つくる 涼風に押されて長き橋を行く 緑濃き島に弁財天祀る 万緑や六角屋根のレストラン あめんばう三河の空を掴みけり 足元に海の広ごる露台かな 向きかへてヨットにはかに辷り出す 燕 尾 服 小浜史都女 子もおなじ燕尾服着て巢立ちけり 身の内の小骨が鳴りぬ梅雨の入 酢の匂ひ麹の匂ひ梅雨深し 沢飛び石ひととびごとの梅雨の音 吉野葛こくつと噛んで芒種かな 夏至の日やあらかぶ赤く煮上がりし 身の丈のくらしたのしも滝仰ぐ 心までは濡らさじ滝を離れけり |
白 絣 鶴見一石子 三叉路は風鈴売の休みどこ 働けることは倖せ汗一斗 冷奴男兄弟他界せり 心太すすり戦火の話など 夏切や大内宿はそば処 田植唄弁当二百届きをり 麻暖簾北鎌倉の甘味処 ありし日の洗ひ晒しの白絣 白 南 風 渡邉春枝 時の日の目覚め促す鳥の声 白南風や島のうしろに島ありて 行きも雨帰りも雨の登山靴 風鈴と同じ高さにてる坊主 育休のパパのごろりと昼寝中 日盛りの咄嗟に思ひ出せぬ文字 心地よき疲れや甘きアイスティー 人影に点る門灯ほたる舞ふ 三河蒲郡 渥美絹代 赤き星光り蜜柑の花香る 松落葉降る竹島の遥拝所 あをあをと藻の残る岸南吹く 海へ出て輪をかく鳶や枇杷熟るる いくたびも鳥影よぎるバルコニー 父の日の吹かれて渡る橋長し 濁りたるみづうみ夏至の夕日差す 柚の花や親しく言葉かけくれし ライラック 金田野歩女 札幌のどの道ゆくもライラック 道庁の庭にベンチとライラック われも又一詩人たりライラック 緑蔭を幌馬車でゆく蝦夷の旅 緑蔭に山荘行きのバスを待つ 湖と森に囲まれチセ涼し 手拍子で踊るメノコや夕涼し 「鶴の舞」踊るコタンの夏の宴 氷 旗 今井星女 項垂るるほどの花数繡毬花 さくらんぼ雀勝手に朝ごはん 木天蓼の花を散り敷く堂の屋根 蟻のぼる木肌の荒き大柏 本堂の引戸全開夏の風 同じ瞳をしてお揃ひのサンドレス くるくると客を誘ふ氷旗 蝉時雨総門よりの石畳 巣鴨とげ抜き地蔵界隈 寺澤朝子 托鉢と見れば尼僧や風死せる 水打つて風呼ぶ地蔵通りかな 洗ひ観音細身におはす涼しさよ くわんおんへ涼しく水を参らする 地蔵通りは婆の原宿冷し飴 あぢさゐや明暦大火供養塔 露涼し千葉周作の墓どころ 「金さん」眠る宝篋印塔夏深し |
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鳥雲集 | |
一部のみ。 順次掲載 | |
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紙魚の跡 森山 暢子 海のもの手秤で買ふ祭かな 漆掻き赤子抱くこと許されず 短夜や女が指を鳴らしをり 杉山を背負うてゐたる鮎の宿 境内をお借り申して梅を干す 紙魚の跡一字に固執してゐたり 青 葉 闇 柴山 要作 大樟は園の語り部青葉闇 放縦に伸ぶる夏萩志士の墓 蔵町の路地の奥より夏衣 九十三と軽く答へて草を引く 陶匠の大きな草屋夏木立 仏頂窟の辺りもつとも青葉闇 鮎 の 串 竹元 抽彩 植田守る注連巻く石の田神様 朝市の魚涼しき眼でありぬ 梔子の花の別れを悼みけり 瞬きの隙に蝮を見失ふ 蚊遣火やゴンと書きある犬の小屋 化粧塩焦げて固まる鮎の串 夏 至 福田 勇 洞窟に戰火の跡や花梯梧 蹲に音して落つる実梅かな 啼きながら森に消えゆく時鳥 夏至の日や刃こぼれしたる鎌を研ぐ 鍬休め捥ぎたて瓜をかぶりつく 蹲の脇に吊るせる釣忍 梔 子 荒木 千都江 川風に翻弄さるる小判草 植ゑし田と並びて湖の光りをり 風立ちて梔子の香のひろごりぬ ひと雨のつぎの雨音梅雨に入る 青空のかたすみ茂る大銀杏 犬を避け又犬に逢ふ夏帽子 紫 陽 花 久家 希世 紫陽花に笑顔埋めて逝きし人 睡蓮に漣の立つ山の池 唐突ににいにい蟬の鳴き出しぬ 万緑に彈む鳥声澄み渡る 赤米の棚田に雨やはたた神 再会の実のつんつんと山法師 |
毛虫の子 篠原 庄治 岩櫃の城址に長くる夏わらび ほととぎす峡のかはたれ啼きとほす 無人駅つづく単線立葵 吊り下がる糸を操り毛虫の子 夏草や牧に立つ牛伏する牛 合歓の花夕べ静かに葉を畳む 白 靴 齋藤 都 白靴や木陰は風の新しき 初夏の風行き止まる菩薩像 虹二重顔のわからぬ遠会釈 七月や乾きなかばの鹿沼土 母の忌の雨に枇杷の実艶を持つ 確かむる茅の輪くぐりの作法かな アスパラガスの花 西田 美木子 姥百合や土地の鴉の水呑み場 剥がれゐるおんこの木肌蟬の殻 開拓と共に百年桐の花 青ぶだう窓辺に蔭をくれにけり 仄暗き森の入口蟬の穴 母のことアスパラガスの花咲けば 玉 の 石 谷山 瑞枝 海開き祢宜の木沓の砂まみれ 蓮の花孔雀ゆつくり羽を閉づ 稚児笹に狐日和の風涼し 城の井の石積み密に夏蕨 梅雨茸多聞櫓に玉の石 捩花やきざはし低き仮舞台 青 梅 雨 出口 サツエ 青梅雨の山ふところを一輌車 見下して神話の国の大青田 吊忍たつぷり濡れて売られけり 大絵馬の駿馬嘶く青葉風 うかうかと喜寿迎へけりサングラス 古時計音なく刻み梅雨深し 初 音 森 淳子 啄木の墓に聞きたる初音かな 初音きき啄木の墓去りがたし 奉行所の屋根より高き松の蕊 花曇礼拝堂の重きドア 春光の一条射せる懺悔室 春深し煉瓦倉庫の鉄の鍵 |
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白光集 | ||
〔同人作品〕 巻頭句 | ||
村上尚子選 | ||
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三原 白鴉 郭公の団地の空を統べて啼く 高橋 裕子 薫風や屋号掲ぐる旧街道 |
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氷砂糖水練終へし子に一つ 綿菓子の奥に顔あり祭の子 白樺に風の優しき半夏かな マドンナと名付けし金魚鰭返す 石の目にこだはる石工蝸牛 三粒づつ言葉かけつつ豆植うる 蟻地獄大き獲物を引き寄せし 吊橋の揺れ正面の滝仰ぐ 梅雨晴間十五センチの靴洗ふ 白シャツの住職パパと呼ばれをり 夏燕駐在さんは何時も留守 サイホンの音立ててゐる梅雨晴間 あめんぼの一掻きが生む光の輪 傘寿翁大向日葵を咲かせ居り 十薬の匂ひの残る軍手干す |
森 志保 保木本さなえ 佐々木よう子 岡 あさ乃 宮澤 薫 池森二三子 和田 洋子 篠原 凉子 米沢 操 清水 純子 加藤 美保 八下田善水 落合 勝子 池田 都貴 多久田豊子 |
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白魚火集 |
〔同人・会員作品〕 巻頭句 |
白岩敏秀選 |
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宇都宮 杉山 和美
組立つるベビーベッドや夏座敷 多 摩 寺田 佳代子 オリーブの花や海峡見下ろして |
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白魚火秀句 |
白岩敏秀 |
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眼の前の空気の揺らぐ炎暑かな 杉山 和美 炎暑は夏の暑さのピーク。太陽は存在する影さえ許さないほどに燃えている。作者は街を歩きながら、眼の前の空気がふと揺らいだように感じたのである。あたかも、空気が炎上してできる蒸気の揺らめきのよう。炎暑がもたらした白昼の幻夢か眩暈か。 広縁に膝を寄せ合ふ半夏かな 寺田佳代子 半夏は七月二日頃で、まだ梅雨の半ばである。外で遊びたい子を宥めながら、広縁で本の読み聞かせや遊びの相手をしている。 竹皮を脱ぎ青年となりにけり 大川原よし子 揺れにもう仲間入りして今年竹 川本すみ江 竹の子の成長は早い。まだまだ小さいと思っていたら、翌朝の背丈に驚かされることがある。 カーテンの丸く膨らむ青嵐 牧野 邦子 明け放った窓から入る風がカーテンを揺らしている。そのゆるやかな揺れを見るともなく見ていると、思わぬ強い風がふわりとカーテンを丸く膨らませて去っていった。青嵐がカーテンを捉えた一瞬が「丸く膨らむ」。絶妙な表現である。青嵐という眼に見えないものを見える形で示している。 数珠なりの枝裏返し実梅もぐ 佐川 春子 数珠なりとは嬉しい豊作である。まず見えるところの梅をもぐ。そして、枝を裏返してもぐ。〈葉がくれにありと思ほゆ実梅かな 虚子〉。「枝裏返す」が豊かな実りを想像させる。 売家札額紫陽花の咲いてをり 北野 道子 「主なき」でも「空き家」でもない。ストレートに売家であり、売家札である。所在なさそうに風に揺れている売家札と今を盛りと咲いている額紫陽花。ミスマッチのような情景が無駄のない表現で詠まれている。 金魚草並ぶ二台の三輪車 岡田 京子 庭の隅にちんまりと並んでいる二台の三輪車。おそらく、飾りつけも同じ、色も同じなのであろう。仲のよい兄弟のものに違いない。庭で三輪車を力一杯漕いで遊んで、今はお昼寝の時間。目が覚めれば又、二人で庭を駆け廻ることだろう。可愛らしさを二台の三輪車で表した。季語の金魚草も動かない。 貝風鈴話題のつきて鳴りはじむ 川神俊太郎 勿論、風鈴は会話の最中でも鳴っていたにちがいない。ただ、話に夢中になって気づかなかっただけのこと。話題が尽きて黙りこんだときに、リーンと鳴った風鈴。これからが風鈴の出番と言わんばかりに涼しい音を立てている。風鈴に意思があるように捉えてユニークである。
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