最終更新日(update) 2026.03.01
令和8年 檜林弘一 作品
年深し 年惜しむ 福達磨

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令和8年1月号に掲載

年 深 し
石段を十段余し息白し
細やかにして肌刺しぬ冬の雨
大原の里は墨絵に雪催
枯蓮をぶつ散らかせる風止まず
白菜のけなげに玉を結びけり
酌みあひて煮込みの進む鰤大根
マスカラの濃き眼の並ぶ年忘
雑踏へ抗ふままに年深し

令和8年2月号抜粋の目次へ 
令和8年2月号に掲載

年惜しむ
冬深し白目の魚拓貼る酒場
熱燗や皿に小ぶりの干し魚
鳥影のかたまつて来る冬野かな
相輪の冬青空を支へをり
文机の隅に小春のひかり差す
長椅子にくぼみのひとつ年の暮
能面の頰の艶めく冬座敷
音立てず進む秒針年惜しむ

令和8年3月号抜粋の目次へ 
令和8年3月号に掲載

福 達 磨
箒目を直す巫女をる初社
年新た額に集へる六歌仙
初寄席にドミノ倒しの笑ひ立つ
慧眼をひとつ開きぬ福達磨
競艇へ乗合バスの発つ四日
人日の腕に重たき腕時計
松過の朝の珈琲豆を挽く
母の忌の間近となりぬ小正月

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