最終更新日(updated) 2010.01.07 | |
期間:平成21年10月3-5日 於:函館市 花びしホテル |
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目次 1.大会動画 2.函館大会参加記 |
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大会動画 | |
大会の動画を掲載します。 内容: ・白魚火賞受賞のお礼の言葉 ・トラピスチヌ修道院 ・五島軒のカレーライス ・懇親会乾杯挨拶及び会の一こま ・静岡白魚火の懇親会出し物 ・閉会の万歳三唱 再生するには、画面真中の矢印をクリックします。 |
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平成21年1月号へ |
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「ルルドへの道」白魚火俳句大会in函館 |
(札幌)佐藤琴美 |
十月二日(金)北見よりの金田野歩女さん、札幌よりの奥野津矢子さん、二人の笑顔に迎えられ、新札幌より私が乗車、苫小牧よりこれまた百万ドルの笑顔で浅野数方さん乗車。初参加の不安と好奇心をのせ一路函館へ。小林布佐子さん、今泉早知さんは夫々単独で函館へ。和やかな雰囲気の中車中で第一回句会。句会係津矢子さんの提案で自句が披講されても、旅程中の句会では名乗らない事に。代表選者野歩女さん、数方さんへの配慮とのこと。作者名は後日解ったものです。 田畑が過ぎ左に海、右に樽前山、有珠山と列車の進む中コーヒーで一息。大沼、小沼、駒ヶ岳を臨みながら、函館到着。いつからか雨になっていました。数方さんが予約してくれた車に荷物を積み、朝市で昼食、五目海鮮丼はお腹に美味しく収まり、いざ吟行の始まりです。 海は雨でけむり、海猫が帰る準備をしている海沿いを走り、トラピスト修道院の裏手に到着。雨が少しずつ強くなる中「ルルドへの道」を登ります。ルルドとはフランスの少女が聖母マリア様に会って奇跡が起き巡礼地となった所とあります。牛舎の横より続く杉林の道を歩き、途中信徒墓地にてしばし佇む。 更に石段 を登る途中津矢子さん煙茸発見! その後も津矢子さんの眼力続く。箒の先 が上 に向いて咲いているような箒茸発見! マリア像に到着です。石垣を大きくくり貫いた中に聖母マリア様が。海に向かってロザリオを腕に提げ、私たちを迎えてくれました。蔦が色付き始め雨に濡れ荘厳な雰囲気が漂い、唯々沈黙の時間でした。 蔦の門を潜り帰り道の途中赤い実を付けた草丈一メートル位のもの発見。蝮草の実との事、驚きです。 雨の中正門へと移動。かたく閉ざされた大きな門、海まで続く一本の急な坂道、修道士たちは何をしているのかと思いを馳せました。 外人墓地へ移動、一通り歩き四阿に入り烏賊舟や大型船を眺めてから喫茶店へ。温かいロシアンティで人心地ついて今日の吟行はこれまでです。 ホテルに着き、雨に冷えた身体にお風呂を頂き至福の時間でした。夕食後第二回の句会。 秋潮にすとんと落つる裾野かな 数方 火の山に山の重なる初紅葉 津矢子 箒茸ルルドへ祈りの磴のぼる 野歩女 杉林によつきと蝮草は実に 琴美 十月三日(土)昨日の雨は句を詠むため神からの賜物であった気がします。今日は一転秋晴れ。朝食前に朝市へ。観光客も多く楽しい散策、唐黍を分け合って食べながら、生簀の中で立泳ぎしている烏賊、鮭や蟹等々朝市の活気をそのまゝ持ち帰り、朝食後は第三回の句会。 電車で大会会場の花菱ホテルへ移動。大きな看板に圧倒されながらロビーへ。中庭の百日紅が歓迎してくれました。受付を済ませ次の吟行地「香雪園」にタクシーで向かう。 雪の中に梅香る園ということでこの名が付いたとの事。又篤志家が私財を投じて代々守っているという庭園でもあります。百年以上経っている樹々の太さと高さに圧倒されました。赤松が青天まで峙つ光景は見る者を無へと運んでくれます。雲の流れと共に園内をゆっくり散策。尺取虫の行き先を案じ、栗を拾い、五十雀が来てくれ、まさしく「小鳥来る」です。 ビジターセンター前の杉の大木の丸椅子と、一枚仕立ての分厚いテーブルで第四回の句会。 秋澄むや買ふあてもなき朝の市 野歩女 色鳥や朝一番の電車発つ 津矢子 団栗も栗もたはたは栗鼠来たる 琴美 豪商の蔵の復元小鳥来る 数方 ホテルへ戻り、さあ投句の用意。初日は三句です。嬉しくて嬉しくて多弁になりました。句を作れなかったらどうしようと不安いっぱいでしたから、何とか投句できる句があり目標達成です。万歳!皆さんに感謝! その後、数方さん、津矢子さんは披講や句会係の打ち合わせやお仕事に。私は野歩女さんと投句係を一緒にさせて頂きました。 午後四時より総会、六時半より懇親会。選者席は決まっており、津矢子さんと野歩女さんのテーブルに坐らせて頂きました。皆さんは一年振りの再会、椅子の温まることのない程飛び回っていました。私は隣の栃木県の方とお話させて頂き楽しい時間でした。初参加という事で野歩女さんが主宰はじめ先生方に紹介して下さいました。 初日最後のイベントは希望者のみ夜景見学。雨上りの空には満月、絶好の夜景日和、私は句になりませんでしたが、皆さんは俳人でした。 十月四日(日)早知さん、布佐子さんも合流、鹿沼の田原桂子さんもお誘いして立待岬、碧血碑への吟行でした。谷地頭小・中学校出身という地元のタクシー運転手さんの、子供の頃の函館の話も聞かせて貰い楽しかったです。ホテルに戻って第五回句会。 記念写真、式典と続き、句会の前には机上に初日の句のプリントが配られていました。四百句もあり、読み応えがありました。披講の時間となり、入選特選が次々発表され拍手、拍手。すばらしい!選評で仁尾主宰が「特選は大会の華」と仰しゃっておられたのがとても印象に残りました。 星田一草先生特選に 秋雨の音の他なしトラピスト 津矢子 懇親会の余興では、世界の蜷川も負けそうな旭川の吉川紀子さん演出で「ベルサイユの薔薇」配役も衣装も決まっており、文明堂のコマーシャル替え歌「俳句は一番、投句は二番、三時のおやつは特選よ」を何人か背中に貼りカンカン踊りをしました。楽しさ最高潮でお開きとなりました。 十月五日(月)野歩女さん、数方さんは代表選、津矢子さん、布佐子さん、早知さんは句会係に。私は栃木県の方々と散策です。河口近くで鯎の大群を眺め、津軽下北半島、函館山もはっきり見えました。「函館山は昔の人は象を見た事がないから臥牛山と名付けたけど、あれは臥象山だね。」との言葉に大笑い。言われてみると象にそっくり。帰りは浜菊、野ばらの実、初鴨に出合いました。 句会の披講、選評も時間通り終り、最後は万歳三唱。来年は浜松での大会です。又お会いしましょう。帰りは布佐子さん、早知さんも一緒でした。 アイヌ名の駅のつづきし草紅葉 布佐子 秋雨のホテルの聖書開きけり 新聞に秋烏賊包みお裾分け 早知 臥牛山声の明るき小鳥来る 鐘楼のひもに秋風触れてをり 桂子 秋汐の色変りをり魚群かも 出会った多くの皆さんに感謝いたします。 |
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イクラご飯 |
(群馬)町田 宏 |
はるか先の事と思っていた全国大会が足早に迫る。キップも手許に届き、旅の準備は整った。 セーターを持つか持たぬか明日は旅 吉村道子 待宵や句帳一つの旅用意 櫻井三枝 北海道はもう寒いんじゃないか、こんな心配をよそに降り立った函館空港は、青木副主宰よりいただいた大会案内状にもあった通り穏やかな秋の陽が、そして心地よい風が我々一行を迎えてくれた。 さはやかな北の大地に降り立てり 金井透穂 しかしこの案内状の行間に、あるすばらしい仕掛けがちりばめられていた事は後になって知る処となる。 開会迄寸暇を惜しんで吟行に出掛ける。 そして向かった先の修道院は、その昔訪ねた時と変わらず、秋風の中静かな佇まいを見せてくれた。 教会の午後の讃美歌秋深む 三上美知子 圧巻は大会初日の夜に設営されていた。 それは歓迎の宴の後、副主宰肝煎で、函館山での夜景と満月に迎えられた事であった。 函館山に向う車内の灯は消され、幻想的な百万弗の夜景が右に左に展がる、宴の酔いも加わって慣性の法則のおもむくままに身を委せる、同じ道に精進する友と満月と夜景のコラボレーションは、一年に一度いや一生に一度の忘れられぬ夜の巡り合いとなった。 ほろ酔うて函館山へ月を見に 竹元抽彩 名月に一歩近づく山の上 鈴木ヒサ バスのガイド嬢がくり返し乗車バスの番号を確認させていたが、約束の時間になって駐車場に戻って来て納得した。これ程の数のバスが山頂の駐車場にひしめいていたとは。 名月を置き去りにして山下るる 渡部美知子 北海道は寒いだろう、一枚余計に羽織って行こうか、こんな心配が少し丈役に立ったのは、これから迎える厳しいシベリヤからの北風をちょっぴり感じさせた、ここ函館山でほろ酔の頬をなでた夜風であった。 色変へぬ松亭々と五稜郭 出口廣志 お世話になったタクシーの運転手さん、客の我儘に、道順よくかつ軽妙な話術で見えない処まで案内してくれる。車内は笑いあり感動ありの賑やかな道行となる。 どの坂もよき名がついて秋うらら 吉田智子 散策の途中立寄った蔵造りの店のあたたかいコーヒーのもてなしも心に残る。 一位の実ふふみて歩く北の街 野田弘子 パチリと撮った写真の遠景にかつてあこがれの地北海道に誘ってくれた青函連絡船が、今は港に海の記念館として繋留されていた。 黒船の着きし港を鳥渡る 大石ひろ女 函館のすぐれた素材を名シェフのバスのガイドさん、タクシーの運転手さん方の腕によりをかけた案内により函館がより一層好きになりました。 想い出となりし函館冬近し 群馬は今、利根川の氾濫防止と首都圏の水がめとしての八ツ場ダム建設中止でゆれています。そんな情況の中会員一同全国の誌友に伍して句の道に精進して行きます。 北海道白魚火の皆さん、仁尾主宰始め本部の先生方、それからそれから多くの句友に、感謝感謝、函館白魚火推奨のイクラご飯に腹鼓を打ち、再会を約し全国に散った句友の皆さん、三年後五年後立派な鮭になって相まみえる日のある事を念じつつ、参加してよかった、そして楽しかった函館大会の記とします。 |
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函館一日目 |
(浜松)林 浩世 |
リュック姿で円坐B句会の仲間の宇於崎桂子さんと晴天の函館空港に降り立ってから、慌しくも楽しい白魚火全国大会が始まった。大きく広がる青空にこれからの三日間への期待が膨らむ。 栗田幸雄さんと待合わせをした駅で、若い修道女が通り過ぎていかれたのが、函館らしいと思われ、なんだかわくわくする。 秋風に吹かれて若き修道女 浩世 まず、栗田さんお薦めのワンコインバスで旧函館区公会堂へ。明治時代の俤を濃く残しており、函館港を見下ろす絶好のロケーションのバルコニー、ダンスパーティーをしたであろう広間と、少々ハイカラさん気分。 函館はあまり大きな街ではないので、三人でゆっくりと歩いて回ることにし、たっぷりと秋を満喫した。沿道の木々も北国にやって来たのだなと思わせる樹種で、いちいの実は一粒ずつかわいらしく生っており、ななかまどの鮮やかな赤い実が青空に映えている。蔦はところどころ燃えるような赤さで、建物を彩っているし、草花も美しい。すれ違う人はみな旅人のようだ。 秋薔薇の美しい旧イギリス領事館では、ティータイムとし、イギリス風のお茶を楽しんだ。 ハリストス正教会までの道は車が一台ほどの秋の日のあふれる素敵な道だった。教会の建物は小さいのだが、一歩中に入るととても心打たれるものを感じた。信仰の厚い教会に自ずと頭が下がった。キリスト教についてあまり詳しくない私たちに、牧師の方は優しく教えてくださった。 穏やかな牧師の声や蔦紅葉 桂子 カトリック元町教会は抜けるような青空に教会の尖塔が鋭く延びていて、大きく、厳かな佇まいだった。懺悔室も片隅にあり、手ずれの聖書や讃美歌の本があった。木の椅子に少し腰を掛けてみた。 聖ヨハネ教会はモダンな建物となっており、上から見ると十字架の形をしているそうだとか。受付の女性が温かく迎えてくださった。 どこの教会も信者の方々の思いが息づいていると感じられ、今も深く心に残っている。 一山の秋を深むるミサの鐘 幸雄 夜の懇親会の後、皆でバスを連ねて函館山まで行くことになった。津軽海峡を照らす名月。振り返れば函館の素晴らしい夜景。後で聞いた所によると、当日の夜景は中々見られないほどの美しさだったとか。仲秋の名月と函館の街の夜景を楽しむという贅沢な体験を全国から集まった白魚火の皆様とできたということは、本当に嬉しい思い出となっている。 句友みな肩を並ぶる良夜かな 浩世 全国大会の楽しみは吟行だけでなく、誌上でしか知らない遠方の方々と知り合うことが出来ることだと思う。私にも少しずつ知りあいが増えてきた。お会いできることの嬉しさといったら! また、円坐B句会でご一緒で、現在佐賀のひひな句会に所属されている金原敬子さんにお会いできるのも全国大会だからこそ。 楽しい三日間でした。お世話をしてくださった皆様、ありがとうございました。 来年は浜松大会です。お待ちしております。 |
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!の思い出 |
(出雲)渡部美知子 |
全国大会への参加は今回で四度目。全日程をゆったりと楽しんで帰って来ました。 思えば、初参加の時に何に一番驚いたかというと、白魚火誌友の熱気でした。再会を喜び合い、吟行と作句に集中し、入選句を讃え合い、懇親会では弾け、来年を約して別れる…。日常を離れた数日を、メリハリつけて楽しむ姿に圧倒されました。今回の函館大会もまさに熱気あふれる大会でした。 初めに素敵な吟行句の思い出から―。大会前夜の函館山は濃い霧に包まれていました。世界三大夜景も今夜は無理かもしれないと、半ばあきらめつつ、皆でバスに乗り山頂へ向かいました。街を抜け山道へ入った途端、霧がうすく濃く流れ始め、バスは霧に誘われるように進んで行きました。 その時ふと浮かんだのは、石原裕次郎が歌う“夜霧のしのびあい”…しのび逢う恋を~包む夜霧よ~知っているのか~ふたりの恋を…場所は違えど、こんな夜を歌ったんだろうなあなどと、一人甘い気分に浸った私。 ところが山頂は人人人で、甘い気分は一蹴され、修学旅行の学生に混じって歩く内に裕次郎の歌はそれっきりになりました。時折霧の底に夜景が浮かび、その都度大きな喚声があがります。私は何とかして霧を詠もうと、その晩遅くまで霧と格闘しました。 俳句大会当日、次々と読みあげられる入選句を聞きながら、次の一句に! 霧の函館忍び逢ひなどしてみたし 披講された瞬間、会場の雰囲気が一ぺんに和み、拍手が起こったのを覚えています。私も思わず拍手しました。格闘とは程遠いところから生まれた一句、と思いました。 次は出会いの思い出です―。白魚火誌上で“美知子”と書く名の作者は確か四人。機会があれば自分と同じ名の作者に会いたいと思ってきました。 今回その内の一人、三上美知子さんに会うことができたのです。しかも宿は同じ部屋でした。自己紹介してお互いに「あ!」と声をあげた次第。驚きが先になって、受賞のお祝いを言うのがあとになってしまいました。食事もお風呂も一緒という幸運な出会いを喜び、部屋では寺澤先生、上川先生、三上さんと四人、話が弾んで楽しい二晩をすごしました。 誌上の作者に会えることは大会の楽しみの一つですが、声をかけるには勇気が必要で、気弱?な私はなかなか声がかけられません。今回もきちんと話せた人はわずかでした。それでも名札があるし、いろいろな場で作者を知ることはできます。いつか話してみたいと思う気持ちは、次の大会まで大切に残しておくことにします。 大会準備に奔走された皆様、充実した三日間をありがとうございました。 |
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